山椒は小粒でもぴりりと辛い

2021年5月23日に東京競馬場で行われる第82回オークス。ここ3年で2頭の三冠牝馬が誕生しており、唯一その権利を有する白毛馬・ソダシに注目が集まるのは当然の流れか。

果たしてこの馬が最も戴冠に近いか。それとも、無敗を止める馬が存在するのか。今年も話題性十分のオークスを、過去10年のデータを駆使していろいろな角度から検証していきたい。

前走が4枠より内だと……

オークス出走馬の所属別(調教師)ⒸSPAIA
オークス出走馬の所属別(騎手)ⒸSPAIA


いつものように所属別から見ていくが、今回は調教師だけでなく、騎手の成績も調べてみた。まずは調教師別では、美浦3勝、栗東7勝。騎手別だと美浦1勝、栗東9勝。栗東勢が優勢なのは間違いない。

面白いのは、美浦所属馬の3勝はすべて栗東所属の騎手が挙げたもので、逆に美浦の騎手が挙げた1勝は栗東所属馬でのもの。要するに、美浦所属馬に美浦所属騎手が乗ったパターンから勝ち馬が出ていないことになる。

オークス出走馬の前走馬体重ⒸSPAIA


続いて馬体重との関係。前走馬体重が420キロ以下、または480キロ以上だった馬から勝ち馬が出ていなかった。

馬体重といえば思い出すのが1999年のオークス馬ウメノファイバー。小柄で切れるイメージが脳裏に焼きついているのだが、あらためて調べてみるとオークス出走時の馬体重が428キロ(前走からプラス12キロ)だった。もっと小柄な印象を持っていただけに、個人的にちょっとびっくり。それはともかく、大きすぎず、小さすぎずがオークス馬となる条件の1つのようだ。

オークス出走馬の前走着順ⒸSPAIA
オークス出走馬の前走人気ⒸSPAIA


先週行われたヴィクトリアマイルは、前走1着馬の好走確率が低く出ていたが、オークスは前走着順のいい馬が好成績を残している。具体的に書くと、前走1〜3着の馬が9勝しており、2着も9回。連対馬のほとんどがこのデータに該当している。特に前走1着馬は11連対と好走確率が高く、当然ながら過去の三冠馬も前走1着の条件を満たしていた。この項目は強いデータといえるので、ここはクリアしておきたいところ。

前走人気も同様の傾向。前走で1、2番人気に支持された馬は8勝しており、前走着順も同時に満たしている馬は勝利にぐっと近づくことになる。

オークス出走馬の生産者ⒸSPAIA


GⅠで活躍が目立つ(GⅠでなくても目立っているが)のが社台系生産馬。このオークスも例にもれず、ノーザンファームが11連対、社台ファームが5連対。

オークス出走馬の前走レースⒸSPAIA


ステップレースはというと、オークス好走馬が最も多いのは桜花賞組。7勝、11連対は他路線の追随を許さない。その桜花賞組を上回る勝率を残しているのが、ご存じ忘れな賞組。昔も、そしてリステッド格付け以降も勝ち馬を出して存在感を見せている。

同じくリステッド格付けとなったスイートピーS。2006年のカワカミプリンセス以来、好走馬が出ていなかったのだが、リステッド格付け元年(2019年)にいきなりカレンブーケドールが連対。昨年は不発だったが、格付けを契機に潮目が変わったのかどうか、今後も注目したい。

オークス出走馬の前走枠順ⒸSPAIA


面白いデータが出ているのは前走枠順。過去10年、前走で4枠より内を引いた馬は86頭、5枠より外を引いた馬は92頭出走したが、オークスを勝ったのはすべて前走で5枠より外を引いた馬。2着になった回数も5枠より外を引いた馬の方が多い。因果関係は不明だが、4枠より内を引いた馬の勝率が0%というのなら、これを活用しない手はない。

オークスのプラスデータⒸSPAIA
オークスのマイナスデータⒸSPAIA


最後にオークスにおけるプラスとマイナスデータを少々。プラスデータはディープインパクト産駒。どのレースでも活躍しているイメージだが、オークスでは断トツの8連対、さらに勝率、連対率も伴っており、より信頼のおける種牡馬となっている。

マイナスデータは2つ。まずはローテーション。桜花賞、忘れな草賞を使うと中5週となるので、この間隔がベストローテーションとなる。中4週以内からも6頭の連対馬が出ているので問題はないが、中6週以上開いてしまうと馬券に絡んだ馬はいなくなる。また、前走で逃げ、もしくは先行した馬から勝ち馬は出ていない。特に前走で逃げた馬はすべて着外となっている。

ソダシ、二冠に黄信号?

長々と書いてきたが、そろそろまとめに入る。今回の好走パターンは5つ。A「前走1〜3着」B「前走1、2番人気」C「社台ファームもしくはノーザンファーム生産馬」D「桜花賞か忘れな草賞経由」E「ディープインパクト産駒」となる。

マイナスデータも5つ。F「美浦所属馬で美浦所属の騎手が騎乗」G「前走馬体重が420キロ以下、または480キロ以上」H「前走が4枠より内」I「中6週以上」J「前走で逃げ、もしくは先行した馬」。

注目のソダシだが、好走データ「ABCD」のうち、4つを唯一満たしている。素直に本命といきたいが、問題はマイナスデータのH「前走が4枠より内」とJ「前走で逃げ、もしくは先行した馬」にも該当すること。「H」も「J」も2着の例はあるものの、勝率は0%。連軸としての本命ならありだが、人気を考えると妙味は薄く思案のしどころである。

では、好相性の忘れな草賞を勝ったステラリアはどうか。こちらは好データの「ABD」を満たし、マイナスデータはG「480キロ以上」のみ。ただ「G」の項目も勝率0%のデータ。勝ち馬を探すという観点から、こちらも本命にはしづらい。

今回挙げたマイナスデータの5つはすべて「勝率0%」のものばかり。マイナスデータがない登録馬となると、アールドヴィーヴルとタガノパッションの2頭だけ。このどちらかが本命候補と考えていいだろう。

まずプラスデータだが、アールドヴィーヴル「CD」に対して、タガノパッションは「A」だけ。さらに、王道の桜花賞組アールドヴィーヴルに対してタガノパッションはここ10年で連対馬が1頭しかいないスイートピーS組。ここはアールドヴィーヴルを勝ち馬候補に指名したい。420キロ台の小柄な馬だが、文中で出てきたウメノファイバーも420キロ台で、しかもクイーンC→桜花賞→オークスというローテーションまで同じ。本番での結果も同じといきたいところだ。

相手だが、マイナスデータのないタガノパッションは当然ながら有力候補。ソダシとステラリアは2着なら十分可能性はあるので相手には入れたい。あと1頭挙げるならアカイトリノムスメ。この10年、美浦所属で勝った3頭のうち、2頭はルメール騎手騎乗馬だった。

◎アールドヴィーヴル
〇タガノパッション
▲ソダシ
△ステラリア
×アカイトリノムスメ

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。
過去に馬券を買い間違ったことは何度もありますが、いい思いをしたのが2001年のオークス。買い目ではなく購入金額の間違いで、払戻額が思ったよりひとケタ増えていました。後にも先にも、おいしい思いをしたのはこの時だけ。買い間違いで外れたパターンの方が圧倒的に多いのは、日ごろの行いのせいでしょうか。

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