世界選手権3度出場、四大陸選手権銅メダル

フィギュアスケート女子で世界選手権に3度出場し、四大陸選手権で2度の銅メダルに輝いた24歳の本郷理華(中京大)が6月16日、自身のツイッターで現役引退を表明した。

5歳で競技を始めて2013年に全日本ジュニアで優勝し、身長166センチの長い手足を生かしたダイナミックな演技で氷上に華やかな彩りを添え、人々の記憶に刻まれたスケーター。2018年に名古屋からカナダに拠点を移していたが、18位だった2020年12月の全日本選手権での演技の写真とともに「全日本(選手権)を終えてたくさん考えて、自分の今の実力、結果、コロナでカナダへ行くことができない状況などあと1年やるかやらないか迷った時、現実的に考えて引退を決めて次の道に進み、頑張っていこうと決めました」などと引退の理由をつづった。

英国人の父、長久保コーチの下でGP制覇も

仙台市出身でフィギュアのコーチの母と英国人の父の間に生まれ、2006年トリノ冬季五輪女王の荒川静香さんや鈴木明子さんを育てた長久保裕コーチを追って9歳の時に名古屋に「スケート留学」。5歳から師事する恩師と共同生活を送った。

シニアにデビューした2014年のロシア杯で18歳にしてグランプリ(GP)シリーズ初優勝。同年のGPファイナルに出場して6位と躍進した。

アクセルを除く5種類のトリプルジャンプを跳べた上に、クラブの先輩だった鈴木明子さんにも指導を仰いだ豊かな表現力が持ち味で、世界選手権には2015年から3年連続で出場した時代は華麗な演技力だけでなく、独特の衣装でも話題を振りまいた。

2019年4月の演技を最後に一時休養。ジュエリーショップなどで働きながら、徐々に練習を再開して2020年9月の中部選手権で約1年5カ月ぶりに復帰。西日本選手権も通過して全日本選手権に出場し、総合18位の成績を残した。

20年間の現役生活を「皆様のおかげでこうして引退することができたと思います。一度離れた時に、そのまま辞めると思っていましたが、本当に辞めずにやり切って良かったと思っています」とも記した。

浅田真央は26歳、荒川静香は24歳で引退

ではフィギュアスケーターの引退時期はどれぐらいなのか―。日本の女子シングル選手の歴史を振り返ると、20代半ばの引退が平均して多い。

2010年バンクーバー冬季五輪銀メダリスト、浅田真央は2017年4月に26歳で自身のブログで引退を発表。1年のブランクを経て復帰したが、若手の台頭もあり、全日本選手権の演技後に「もういいんじゃないかなと思った」と決断した経緯を振り返っている。

2006年トリノ冬季五輪金メダルの荒川静香は24歳で引退を表明。「競技生活に悔いはない。晴れ晴れとした気持ち。プロスケーターとして胸を張って滑りたい」と述べ、プロに転向してアイスショーを中心に活動する意向を表明した。

1980年レークプラシッド冬季五輪で6位入賞した渡辺絵美は21歳、1992年アルベールビル冬季五輪で銀メダルを獲得した伊藤みどりは22歳で引退。1994年リレハンメル冬季五輪で5位入賞の佐藤有香は21歳、世界選手権を2度制した安藤美姫は26歳で引退している。33歳まで競技を続けた村主章枝のような例もあるが、むしろ異色の存在だ。

次の道も「自分らしく」

本郷はツイッターで「小学校3年生の時に仙台のリンクが閉鎖してから親元を離れ名古屋に移り、スケート漬けの日々を過ごしてきました」と自らの原点を振り返りつつ、多くの人に感謝。今後については「スケートを滑ったり、スケートに関わっていくことができればと思っています。次の道に進んでも、自分らしく笑顔で頑張っていきたいと思いますので、見守っていただけるとうれしいです」と明るく締めくくった。

最も印象に残っている大会は、優勝した浅田真央と共に2位で表彰台に上がった2015年のグランプリ(GP)シリーズ中国杯という。

スケーター仲間や同じ時代を過ごした選手から、ねぎらいも続々と寄せられた。体操女子の寺本明日香は「彼女は私がアキレス切った時応援メッセージくれました。その時、自分も自分なりにスケートをやりきりたいと。私も自分なりに体操をやりきりたいと勇気をもらった。りかちゃんがスケートをやりきれてよかった!かっこよくてダイナミックな演技が大好きです♡りかちゃん」とツイッターに記した。

競技人生で最も大きな目標としていた五輪出場はかなえることはできなかった。それでも、多くのファンに愛され、記憶に残る演技を見せたスケーターは第二の人生を持ち前の笑顔で力強くを踏み出しそうだ。

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