例年通りなら堅実なレースだが……

北海道の古馬ダート路線はリステッド競走の大沼S、オープン特別マリーンSそしてGⅢ・エルムSと続く。いずれもダート1700m、つながりは濃い。この3レース、例年であれば前半2戦が函館、エルムSが札幌。ところが今年は変則開催のため、舞台は札幌、函館、函館。エルムSは函館で行われるので、より例年以上につながりが強いとみるべきだろうか。そういった点も含め、過去10年間のデータから臨戦過程を中心に考えてみたい。


過去10年エルムS人気別成績,ⒸSPAIA


まずは人気の傾向から。1番人気は【3-1-3-3】勝率30%、複勝率70%でまずまず。1番人気かつ前走が大沼SかマリーンSだった馬は【2-1-2-0】、複勝率100%だ。ただ今年のエルムSは実績馬が多数参戦、例年以上にハイレベルになる予感がある。おそらく1番人気はアメリカンシードかソリストサンダー。崩れるパターンか。それでも上位人気は堅実で、5番人気以内は【9-8-6-27】。これは北海道シリーズで戦ってきた馬同士の組み合わせになり、事前評価がしやすい点も影響している。ここも今年は他路線組が多く、人気を信頼できない可能性はある。


過去10年エルムS年齢別成績,ⒸSPAIA


ダート重賞のなかでも1700mという比較的スピード重視のコースであるためか、若い世代がいい。4歳【4-1-2-10】勝率23.5%、複勝率41.2%、5歳【5-2-4-20】勝率16.1%、複勝率35.5%のふた世代が有力。4歳アメリカンシード、ドスハーツなど、5歳オメガレインボー、トップウイナーなど候補は多い。同時にベテランの実績馬も多く、8歳以上【0-1-1-12】複勝率14.3%というデータには注意したい。


1700m戦の経験が重要

それではここからは前走距離に注目していこう。人気のデータでも触れたが、とにかく大沼S、マリーンSと小回りのダート1700mで戦ってきた馬が強い。1700m戦への慣れも大きなポイントになる。


過去10年エルムS前走距離別成績,ⒸSPAIA


前走が1700mだった馬【7-3-3-45】勝率12.1%、複勝率22.4%、1700mより長かった馬【3-5-7-37】勝率5.8%、複勝率28.8%。いわゆる距離短縮組も複勝率は五分だが、勝率では同距離が圧倒的。馬券を組み立てる際には、距離による傾向を頭に入れておきたい。なお、1700mより短かった馬は【0-2-0-19】。なかでも1600mだった馬は【0-0-0-9】、前走がかしわ記念だったソリストサンダーは危険な気配がする。


過去10年エルムS前走1700m組着順別成績,ⒸSPAIA


では前走1700m組について詳しく。着順別成績をみると、4着以下【0-2-0-27】、3着以内がよく、特に1着【4-1-2-10】勝率23.5%、複勝率41.2%、2着【2-0-1-3】勝率33.3%、複勝率50%がいい。スワーヴアラミス、オメガレインボー、トップウイナー、ダンツキャッスルなど例年ならもっと評価されていい馬が、実績馬の出走により人気落ちする可能性があり、見逃せない。


過去10年エルムS前走1700m組位置取り別成績,ⒸSPAIA


さらに位置取り別成績をみると、逃げ【2-1-2-4】、先行【1-0-1-12】、中団【2-2-0-18】、まくり【2-0-0-0】までが好走ゾーン。後方だった馬は【0-0-0-11】と振るわない。スワーヴアラミス、オメガレインボー、トップウイナーを評価、ダンツキャッスル、ウェスタールンドはやや厳しそうだ。


過去10年エルムS前走1700m組位置取り別成績,ⒸSPAIA


最後に有力馬アメリカンシードや久々の実績馬ケイティブレイブ、ヴェンジェンスが当てはまる距離短縮組について、位置取り別成績をみる。極端な偏りこそないものの、1700mと同じく中団ぐらいまでで流れに乗って競馬した馬がいい。平安Sで逃げたアメリカンシードは1700m組と比べるとデータ上では劣るものの、やはり見限れない。小回り1700m戦にかわり、逃げるのか、どのぐらいの位置から競馬をするのか。相手関係や展開面もしっかり考えたい。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース公式コメンテーターを務める。


エルムSインフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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