東京五輪より約1か月 パリに向けての戦いが幕を開けた

9月12日より、千葉ポートアリーナで第21回アジア男子バレーボール選手権が開催された。東京五輪の準々決勝で苦汁を飲んだブラジル戦から約1か月。すでに男子バレーの日本代表はそれぞれの道を歩み始めていた。

今大会の登録メンバーには、東京五輪での活躍が注目を浴びた主将であり大エースの石川祐希や、初選出ながら攻守に渡りチームの要となった高橋藍の名前が挙げられていた。一方、東京五輪で躍進を見せ、来季からイタリア・セリエAのビーボバレンティアでプレーをすることが決まっているサウスポーの西田有志や、来季からポーランド一部リーグのルビンへ移籍が決まっているセッターの関田誠大はメンバーから外れていた。

アジア選手権に出るメンバーも、海外に挑戦することを決めた日本代表の中心選手も、パリ五輪に向けてそれぞれの場所で新しい戦いをスタートさせた。

予選2試合は大エース・石川祐希抜きでの戦い

アジア選手権には16チーム出場し、予選グループリーグはA〜Dの4組に4チームずつ振り分けられて戦った。予選で各組の上位2チームに入れば、順位決定予備戦に挑むことができ、その結果をもとに準決勝のカードが決まり、決勝戦が行われるという方法がとられている。

日本の予選グループリーグの対戦相手はカタール・バーレーン・インド。どの対戦相手も強敵であり、安心できる試合は1つもない。しかし、初戦のカタール戦で、スターティングメンバーの中に石川祐希の名前はなかった。

大エースでありチームの精神的支柱でもある主将の石川は、東京五輪後の練習で背中を痛めた影響により、予選の2試合はベンチから若い選手の活躍を見守る形でアジア選手権がスタートした。

ただ、やはり石川祐希の欠場の影響は大きく、初戦2試合は苦戦した点も多く見られた。だが、日本の若い選手たちが意地を見せ、勝利で終えることができた。

3戦目より出場した石川 完全復活を世界に見せつける

石川の怪我の状態を心配するバレーボールファンは多かった。しかし、予選3戦目のインド戦から出場した石川祐希は、第1セットが始まるとすぐに3本連続サービスエースを決めてその存在感をアピール。怪我からの完全復活をアジア、そして世界に見せつけた。石川の存在は大きく、インド戦は圧勝のストレート勝ちで終えた。

予選を1位で通過した日本は順位決定戦の初戦で中国と対戦。石川の活躍がありながらも、中国の強いサーブで連続失点を許し、日本の攻撃は高いブロックに阻まれる展開が多くなり、1‐3で敗れた。

しかし、その後は敗戦を引きずらずに自分達のバレーを展開し、オーストラリアに3‐0で勝利。次の準決勝・チャイニーズタイペイ戦では、石川の大活躍がチームを鼓舞し、見事2大会ぶりの決勝進出を決めた。

準優勝に満足しない石川の描く未来とは

決勝の対戦相手は、前回王者であり東京五輪でも対戦した「イラン」。東京五輪では3-2という互角の戦いの末、日本が勝利し8強入りを果たすことができた。今大会でもやはりこの試合は激戦となり、1・3セットはデュースまでもつれこむ展開となった。

石川は攻守ともに体を張ったプレーを見せてチームを牽引し、石川に続いてチーム全員が奮闘を見せたものの、イランが繰り出す高い攻撃に翻弄されてストレートで敗戦。東京五輪の借りを返される形となった。

アジア選手権は2位までに入れば、来年8月から開催される世界選手権への出場権を獲得できるため、日本も次の切符を手にすることができた。だが、優勝だけを見ていた石川は「最後の1点、2点を取り切る力が付かないと世界では勝っていけない」と厳しい表情を浮かべた。

石川が主将を務めた今シーズンは、近年の男子バレー日本代表がしばらく遠のいていた高い成績を残している。しかし、石川が見ているのは世界のトップに立つことだけだ。今後、各々で成長を遂げて世界と渡り合える力を得たメンバーが再度集まった時にはどのようなチームとなっているのだろうか。これからの男子バレー、そして石川祐希の成長に注目していきたい。

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