逃げ馬に要注意!

2021年の競馬も4回東京を迎え、最終局面に突入する。クラシックは完結、各カテゴリーのチャンピオンを決める戦いが繰り広げられる。その開幕週は伝統のGⅡ毎日王冠。天皇賞(秋)の優先出走権がかかるステップレースながら、そのあとのマイルCSを展望するレースでもある。

安田記念を勝ったダノンキングリーと3歳マイル王シュネルマイスターがここから始動、この再戦が今年の主軸になる。ここでは過去10年間のデータからレース傾向について考えていく。


過去10年毎日王冠人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気は【7-0-0-3】勝率70%と勝つか馬券圏外か極端。負けた3頭はショウナンマイティ、ワールドエース、3歳時のソウルスターリング。古馬2頭はGⅠ勝ちがなかった。ただし勝った7頭のなかにも当時、GⅠ未勝利馬もいるので、見極めはそう簡単ではない。1番人気以外は5番人気以内の複勝率が比較的高く、6番人気以下が3着以内に入る可能性はあるものの、総じて堅実な結果が多い。


過去10年毎日王冠年齢別成績,ⒸSPAIA


シュネルマイスターが該当する3歳【3-3-0-11】勝率17.6%、複勝率35.3%がトップ。同馬はNHKマイルCを勝っているため、斤量は2キロ増の56キロ。古馬の基本重量との差がない。過去には同じくNHKマイルCを勝ったカレンブラックヒルが56キロで勝ち、ケイアイノーテックが5着に負けている。

ついで4歳【4-2-5-21】勝率12.5%、複勝率34.4%がいい。しかし4歳は全体的に手薄で、ここも勝負になるのはポタジェぐらい。デビュー以来すべて3着以内の堅実派で、左回りの中距離戦は得意条件。馬券には入れておこう。注目のダノンキングリーの5歳は【2-2-3-22】勝率6.9%、複勝率24.1%と勝率が物足りない。シュネルマイスターに逆転を許すシーンまで想定しておきたい。


過去10年毎日王冠脚質別成績,ⒸSPAIA


秋の東京開幕週という設定からレースでの位置取りに注目する。逃げた馬は【2-2-1-5】勝率20%、複勝率50%と高い好走確率を誇る。古馬中距離路線のステップレースらしく、例年スローペースになる公算が高く、逃げは要注意。しかし今年はどの馬が逃げるのか判断しにくいので、展開予想には気をつかいたい。

以下、先行と中団はほぼ互角で、レース上がり600m最速を記録すると【4-4-1-4】勝率30.8%、複勝率69.2%。安田記念の上がり600mタイムでグランアレグリアに次ぐ2位だったダノンキングリーなど決め手のある馬には注目したい。


安田記念1着馬は【0-2-1-2】

ではここからは前走成績を見ながら、好走パターンについてさらに掘り下げていこう。


過去10年毎日王冠前走クラス別成績,ⒸSPAIA


まずはダノンキングリー、シュネルマイスターなど多くが当てはまる前走GⅠ【5-6-3-39】勝率9.4%、複勝率26.4%に注目。ここはしっかり取捨を鮮明にしたい。


過去10年毎日王冠前走安田記念組成績,ⒸSPAIA


有力馬が該当する前走安田記念は【1-3-2-19】勝率4%、複勝率24%とそこまで良くない。GⅠ組は、日本ダービー、NHKマイルCといった3歳限定戦からここに来る馬がいい。安田記念を使ったシュネルマイスターはどうだろうか。

この点について安田記念での着順別成績を見ると、1着【0-2-1-2】複勝率60%、2着【1-1-0-3】勝率20%、複勝率40%と勝ち負けを争ったレベルの馬が好走する。ただし安田記念1着馬の勝利はない。

グレード制導入後の84年以降、08、09年のウオッカなど前走安田記念を勝った馬が毎日王冠に出走すると、【0-4-1-4】。連勝した馬はいない。年齢データも合わせ、ダノンキングリーの単勝は危険かもしれない。とはいえ、連軸向きは間違いない。

またシュネルマイスターの安田記念3着は直近10年で【0-0-0-1】。15年8着クラレント1頭なので、サンプル不足。目標はマイルCSかもしれないが、相手関係を考えれば、評価を落とすのは危険だろう。


過去10年毎日王冠前走宝塚記念組成績,ⒸSPAIA


安田記念と同じ6月のGⅠ宝塚記念は【0-1-1-7】複勝率22.2%とさらに悪い。ここも着順別成績を見ると、宝塚記念4着以内だった馬の参戦はなく、6〜9着【0-0-1-3】、10着以下【0-1-0-3】でともに複勝率25%。東京替わりで息を吹き返す馬を狙いたい。

ちなみにヴァンドギャルドが当てはまる海外GⅠ組は【1-0-0-2】。13年エイシンフラッシュが前走香港のQE2世C・2着からここを勝った。ドバイターフ2着のヴァンドギャルドはどうだろうか。

最後にサマーシリーズ組について。前走GⅢ組は【3-3-5-36】勝率6.4%、複勝率23.4%、馬券圏内なら可能性は十分ある。しかし、その内訳はエプソムC【3-1-2-7】、関屋記念【0-2-0-3】が主要で、新潟記念だった馬は【0-0-2-8】とやや落ちることを覚えておきたい。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース公式コメンテーターを務める。共著『競馬 伝説の名勝負 1995-1999 90年代後半戦』(星海社新書)。


毎日王冠インフォグラフィック2,ⒸSPAIA



《関連記事》
・デアリングタクト、コントレイルも敗戦の春競馬 「雨の日の競馬は荒れる」は本当なのか
・上手な付き合い方のコツは?ルメール騎手の「買える、買えない条件」
・「関東馬の復権」「G1のルメール・川田・福永理論」 2021年上半期のG1をデータで振り返る