吉田正尚不在の試合は11勝13敗2分け

混戦の続くパ・リーグで、2位ロッテについに優勝マジック9が点灯した。14日に行われた首位攻防第3戦、ロッテ・佐々木朗希とオリックス・宮城大弥の注目の同学年対決は、宮城が序盤に失点を重ね、6回無失点の佐々木に軍配。ロッテは残り10試合で1970年以来51年ぶりに灯したマジックを順調に減らしていけるか、まだまだ予断を許さない状況だ。

3連戦を2敗1分けと負け越したオリックスも0.5差で首位はキープしており、チャンスは十分残されている。ただ、ロッテより多い136試合を消化しており、残り7試合しかない。守り続けた首位の座から土壇場で滑り落ちるのか、先頭でゴールテープを切れるのか、マラソンで言えば最後のトラック勝負に持ち込まれたような、球史に残るデッドヒートと言えるだろう。

ここに来て改めて痛感させられるのが吉田正尚の存在の大きさだ。

シーズン序盤は5位に低迷していたオリックスは6月20日に宮城の好投で10年ぶりの8連勝を飾り、楽天と同率首位に浮上。その後も連勝を11まで伸ばし、東京五輪後も首位をキープしていたが、ロッテに逆転されて2位転落したのが9月5日だった。512試合連続出場中だった吉田正尚が左ハムストリングスの筋損傷で抹消された日だった。

そして首位を奪い返したのが10月1日。吉田正尚が戦線復帰した9月26日から6日後だった。しかし、またしても吉田正尚は10月2日のソフトバンク戦で死球を受けて右尺骨を骨折。翌3日に登録抹消された。

ロッテとの3連戦で計5点しか取れなかった状況を考えると、リーグ断トツトップの打率.339をマークしていた吉田正尚不在が重くのしかかる。吉田正尚の不在期間のチーム成績が下の表だ。

吉田正尚離脱中のオリックス成績


9月に吉田正尚不在で戦った試合は7勝9敗1分け。10月3日以降は4勝4敗1分けで、計11勝13敗2分けと2つ負け越している。

吉田正尚の今シーズン中の復帰は絶望的と見られ、ポストシーズンで復帰できるかも分からない。いずれにしても、選手会長でチームの精神的支柱でもある吉田正尚不在で最後まで戦い抜く覚悟が必要だろう。

吉田正尚はリーグトップクラスのwRAA42.5

吉田正尚のwRAAは42.5と高い。wRAAとはリーグの平均的な打者が同じ打席数の場合と比べてどれだけチームの得点を増やしたかを示す指標で、平均的な打者より42.5点分多くの得点を生み出しているのだ。

ソフトバンクの柳田悠岐や吉田正尚のチームメイト・杉本裕太郎らとともにリーグトップクラス。たった一人抜けただけでも得点力への影響は決して小さくない。

吉田正尚の指定席だった3番には球団史上初の10代2桁本塁打をマークした19歳の紅林弘太郎が務めていたが、10月10日のソフトバンク戦で千賀滉大から左手首に死球を受けたため、12日のロッテ戦ではプロ4年目の山足達也が3番で起用された。

紅林は心配された骨折はしていなかったため、13日のロッテ戦からスタメンに復帰したが、死球の影響が打撃に微妙な影響を及ぼさないとも限らない。山足も実績的に吉田正尚と比較すると物足りなさは否めない。吉田の穴は全員でカバーするしかないだろう。

宗佑磨ら日替わりヒーローが穴を埋めるか

12日のロッテ戦では左腕・小島和哉に封じ込まれていたが、8回に宗佑磨が同点2ランを放り込み、辛うじて引き分けた。シーズン終盤の天王山で負けると引き分けるとでは大きく違うだけに、値千金の一発だった。

25歳の宗も杉本や宮城、紅林らとともに中嶋聡監督に見出されて出場機会を増やした「中嶋チルドレン」の一人。日替わりでヒーローが出てくるのは決して偶然ではなく、これまで失敗と成功を重ねてきた延長線上にある。

泣いても笑っても、あと7試合。吉田正尚不在という最大のピンチを乗り越えることはできるのか。25年ぶりの優勝を目指す手負いのオリックスが、運命の7試合に挑む。

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