舞台替わりで先行勢に好機到来

10月17日(日)に阪神競馬場で行われる秋華賞(GⅠ・芝2000m)。今年は仁川の舞台で行われる牝馬三冠最終戦に16頭が集結した。

メンバーの揃った札幌記念で距離不安を払拭する走りを見せた桜花賞馬ソダシが圧倒的な支持を集めているが、他にもオークス馬ユーバーレーベンをはじめ油断ならない猛者たちがスタンバイ。白毛馬の躍進は終わらないのか、はたまた新たなスターホースが誕生するのか。今週もデータを踏まえて予想してゆく。


過去5年同コースの脚質別成績,ⒸSPAIA


例年は京都競馬場で施行される秋華賞だが、その京都が改修中のため今年は阪神。そこで過去5年の阪神開催、3歳上芝2000m戦をベースとしてレース傾向を探ってゆく(参照期間16年12月3日〜21年6月20日)。

阪神芝2000mはコーナー4つの内回りコースだけあってハイペースとなることは稀。参照レースに含まれる重賞13戦の前半5F-後半5Fタイムを平均してみても60.35秒-59.08秒というバランスで、クラスが上がってもスローペースになりやすいことに変わりはない。加えて直線が短いこともあり、脚質的には先行勢が断然有利。特に逃げ馬は複勝率50%・複回収率174%とずば抜けた良績を残している。逆に後方待機勢は割引が必要で、4角10番手以下ともなれば【1-4-3-116】で複勝率わずか7%。狙える成績ではない。

ちなみに過去10年の秋華賞(全て京都開催)では逃げ馬が【0-2-0-8】、先行馬が【1-1-2-26】と苦戦気味。しかし同じ関西圏にあるとはいえ淀と仁川は全く別の競馬場。京都開催であれば3コーナーから続く下り坂で勢いをつけた馬が差し込んでこれたが、阪神内回りコースで同じことをするのは至難の業。今年に限っては先行勢が馬券の中心とみて、積極的に位置を取りに行く馬を評価したい。


馬場状態によってはソダシに黄信号

過去5年同条件枠別成績(良馬場),ⒸSPAIA


過去5年同条件枠別成績(良馬場以外),ⒸSPAIA


〈過去5年の阪神開催、3歳上芝2000m戦(良馬場)〉
1枠/勝率11.9%/連対率23.7%/複勝率32.2%/単回収率178%/複回収率78%
2枠/勝率9.7%/連対率17.7%/複勝率25.8%/単回収率85%/複回収率86%
3枠/勝率7.9%/連対率19.0%/複勝率23.8%/単回収率28%/複回収率50%
4枠/勝率9.4%/連対率17.2%/複勝率25.0%/単回収率44%/複回収率59%
5枠/勝率8.3%/連対率11.1%/複勝率22.2%/単回収率32%/複回収率47%
6枠/勝率8.6%/連対率14.8%/複勝率23.5%/単回収率26%/複回収率55%
7枠/勝率12.2%/連対率23.3%/複勝率36.7%/単回収率182%/複回収率100%
8枠/勝率4.0%/連対率15.2%/複勝率23.2%/単回収率20%/複回収率56%

〈過去5年の阪神開催、3歳上芝2000m戦(良馬場以外)〉
1枠/勝率0.0%/連対率8.3%/複勝率33.3%/単回収率0%/複回収率52%
2枠/勝率0.0%/連対率7.7%/複勝率15.4%/単回収率0%/複回収率54%
3枠/勝率7.1%/連対率21.4%/複勝率42.9%/単回収率42%/複回収率104%
4枠/勝率6.7%/連対率6.7%/複勝率13.3%/単回収率69%/複回収率52%
5枠/勝率12.5%/連対率31.3%/複勝率37.5%/単回収率83%/複回収率88%
6枠/勝率11.8%/連対率29.4%/複勝率35.3%/単回収率45%/複回収率76%
7枠/勝率27.8%/連対率33.3%/複勝率33.3%/単回収率713%/複回収率210%
8枠/勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率5.6%/単回収率0%/複回収率23%

次に上で参照したデータをもとに枠順成績を調べた。執筆時点の予報では雨の可能性があるので、良馬場とそれ以外を分けて表にしている。まず馬場を問わず文句なしに優秀なのが7枠で、特に稍重以上の場合は勝率28%と群を抜いている。どちらの馬場でも複回収率は100%超となっており、少なくともヒモには必ず含めておきたい。

ただ隣の6・8枠がこれに比肩するほどの成績を残しているわけではなく、外枠全般が有利と断ずることはできない。特に8枠は稍重以上ともなると【0-0-1-17】と連対例がなく、馬場が渋るようなら真っ先に嫌いたい。また馬場状態によって取捨が180度変わるのが1・2枠の内枠。良馬場ならばあわせて勝率11%・連対率21%とまずまず買える成績なのに対し、稍重以上なら勝利例なし、かつ連対率8%と割引材料になってしまう。当日の馬場状態によってはソダシが連から逸する目も想定すべきかもしれない。


前走で嫌った分今回は素直に

◎ソダシ
距離不安を抱えて臨んだ前走・札幌記念(芝2000m)では向正面でブラストワンピースにプレッシャーをかけられて先頭に押し出されるという厳しい展開のなか、ハープスター以来の3歳馬Vを達成。血統的なジンクスも跳ね返し、先行力やスピードの持続力は古馬相手にも引けを取らないことを証明した。スロー濃厚&先行勢有利の阪神芝2000mという舞台は例年の京都芝2000mよりも明らかに向いており、阪神でGⅠを2勝しているようにゴール手前の急坂も苦にしない。枠に一抹の不安を残すものの、良馬場での施行が叶えばまず崩れないだろう。

◯ファインルージュ
オークス以前の走りをみて完全にマイルまでの馬だと思っていたので、前走・紫苑Sでの大楽勝には驚いた。福永騎手曰くフォームを桜花賞時のものに戻したとのことで、それで中山芝2000mで結果を出した以上、今さら距離を不安がることもないだろう。過去10年の秋華賞で紫苑S組は【3-3-0-44】と全体的に振るわないが、「前走3番人気以内×5着以内」という条件を満たせば【3-2-0-4】、連対率56%と信頼に足る成績。このデータに符合することや、ルメール騎手が騎乗すること、さらに好枠の7枠を引いたことを加味すれば重い印が妥当だろう。

▲エイシンヒテン
典型的な逃げ馬で、ローズSでは展開を利して12番人気ながら2着に好走。単騎で楽に逃げていたとはいえ結果を残した。今回も同型不在、コース形態からしてもスローペースは濃厚。前走ほど楽ではないとしてもこの馬の競馬はできるはずで、再びの粘りこみがあっても不思議ではない。前走がフロック視されたオッズになるなら買わない手はなく、前走に引き続き相手候補として買い目に含めたい。

△アンドヴァラナウト
トライアルのローズSを制して臨戦となる夏の上がり馬。そのローズSでは差しに回ったものの、それ以外のレースはほとんど番手で運んでおり前目の位置を取ろうと思えば取れる先行力はある。全姉はOP馬ゴルトベルクで、母グルヴェイグはマーメイドS勝ち馬。エアグルーヴ、ダイナカールへとつながる偉大な牝系だけに血統的なポテンシャルは相当で、一流馬との初対決でも楽しみはある。

それ以外の馬に目を向けると、春のクラシックで堅実な結果を残してきたアカイトリノムスメも当然ケアが必要。穴で狙うなら前走大きく出遅れて全くレースに参加できていなかったホウオウイクセルで、枠・オッズを考慮すると手を伸ばしたくなる。またオークス馬ユーバーレーベンの取り扱いだが、ここでは印を見送りたい。元来差し遅れが目立つ馬で阪神開催はマイナス要素。しかも陣営が弱気なこともあり、人気馬のうちでは最も怪しい存在に映る。

▽秋華賞予想▽
◎ソダシ
◯ファインルージュ
▲エイシンヒテン
△アンドヴァラナウト
×アカイトリノムスメ
☆ホウオウイクセル

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開。秋G1シーズンに合わせ、新入部員募集中。



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