「格差是正」に期待も…

今シーズンからヨーロッパの新たなコンペティションとして創設されたカンファレンスリーグ。創設の背景には、いわゆる5大リーグにばかり、多額の収益や資金が集まっている現在の欧州サッカー界の現状があり、とりわけ東欧の国々は「タレント供給国」となるばかり。経済面、リーグレベルでの格差が懸念されるというヨーロッパ全体の実情があった。

そこでUEFAはこれらの問題解決の一つとして、CL、ELに続く第3の大会の設立を提唱してきた。この大会の画期的なところは、小国にもチャンスがあることだ。

UEFAランキング順に出場権が与えられるのは変わりないが、「格差是正」こそがこの大会の目的だ。5大リーグのような列強国には出場枠は1つしか与えられず、CLプレーオフで涙を呑んできたランキング下位の国々に多くのチャンスが与えられる仕組みになっている。UEFAの新たな試みに期待していたが…。

フタを開けてみると、である。2節終了時点ではあるが、上位に立っているのは、ローマ、AZ、フェイエノールト、レンヌ、トッテナム。「たまたま」このコンペティションに参戦することになったが、CL常連組の、おなじみの顔ぶれが次ラウンドに進出してくることは濃厚だ。これでは西高東低、ビッグクラブ主導の流れは変わらないままではないか。

カップ戦維持のためのカップ戦

ここで思い出されるのは先日、レアル・マドリー所属のベルギー代表GKティボー・クルトワがUEFAへの怒りを露わにした以下のコメントだ。

UEFAネーションズリーグ3位決定戦について、「無駄な試合だ。何のために試合をするのかが分からない。この試合は、単なる金儲けのための試合で、僕たちはこのことについてもっと正直にならなければならない」と、UEFAを痛烈に批判。試合数が増えれば、サッカー界は“怪我人だらけになる”と選手たちには休息が必要だと訴えた。

同選手の言葉は真実を捉えていると言えるが、これもフットボールというビジネスがあまりに肥大化しすぎてしまったがゆえだろう。選手の年俸は高騰し、タイトルを勝ち取るためには、その「高級ブランド」を常に複数維持し続けなければならない。多くのスポンサー契約が必要だし、ヨーロッパカップ戦への出場は義務だ。

しかし、全世界で猛威を振るったコロナウイルスの前に、サッカー界も無関係ではいられなかった。各クラブに分配金を支払うはずのUEFAの金庫に余裕はない。カップ戦維持のために新たなカップ戦を構築しなければならないほどだ。

カイザースラウテルンの教訓

そう、カンファレンスリーグなる未知のリーグ創設による格差是正という大義名分はまやかしでしかない。彼らは結局、選手たちを働かせ続けて、私腹を肥やしたいだけではないかと勘繰ってしまう。

サッカー界のインフレの流れを今こそ断ち切らなければならないだろう。この世界は資金力のあるクラブだけで構成されているわけではない。持たざるクラブ、弱者とされるクラブがビッグクラブを打ち破るからこのスポーツは面白いのだ。

奇しくも、20年6月にはドイツ3部の古豪、カイザースラウテルンが事実上の破産を強いられる事態となったばかり。マイスターシャーレ獲得経験もあり、あの「小皇帝」バラックの出身クラブとしても有名なチームだ。 無観客により、入場料収入という財源がなくなったということは多くのクラブ経営を圧迫している。

カイザースラウテルンはチーム解散は免れたものの、これを教訓にしなければならない。小規模でも愛されるクラブは各地に存在している。彼らの未来のことも考えて欲しい。

【関連記事】
・元神童ボージャン・クルキッチ、バルセロナ発神戸着「流浪の旅路」
・バイエルン・ミュンヘン10連覇はブンデスリーガを退屈にする
・三浦知良に花道を、今季出場1分「キングカズ」の功罪と引き際