GPトリノ大会でSP7位から大逆転V

フィギュアスケート男子で18歳のホープ、鍵山優真(オリエンタルバイオ・星槎)は昨シーズンにシニアデビューし、初出場の世界選手権(3月・ストックホルム)でいきなり銀メダリストに輝いた逸材だ。北京冬季五輪シーズンの今季もシニア2年目のジンクスを覆し、持ち前の驚異的な爆発力を見せている。

11月6日、トリノで行われたグランプリ(GP)シリーズ第3戦、イタリア大会ではショートプログラム(SP)で7位と大きく出遅れながら、フリーで2種類計3度の4回転ジャンプを鮮やかに決めて自己ベストの197.49点で1位となり、SP上位6人をごぼう抜きする演技で合計278.02点をマークして大逆転優勝。

GPシリーズで、7位からの巻き返しは2006年スケート・カナダのステファン・ランビエル(スイス)以来で、17.36点差は過去最大の逆転劇だった。

鍵山はGPデビューだった昨季のNHK杯に続いて2勝目。北京五輪テスト大会のアジアンオープントロフィー(10月、中国)に続く国際大会2連勝になった。

大乱調のSP、ノーミスのフリー

SPは得意の4回転ジャンプが決まらず、大乱調で80.53点。自己ベストの100.96点より20点以上も低く、シニア転向後の国際大会では最低スコアだった。

どん底から逆襲を期したフリーは古代ローマの剣闘士が題材の映画「グラディエーター」。戦いに向かう勇気や希望を表現する演目だ。

冒頭の4回転サルコーに成功すると、勢いに乗った。4回転―3回転の2連続トーループはGOE(出来栄え点)3.26点を引き出す完成度の高さ。演技後半にも4回転トーループに成功し、最後にトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を軽やかに着氷させると、思わず満面に笑みがこぼれた。

ノーミスでこれ以上ないリベンジ達成だ。4回転ループへの挑戦はSPの低迷を受けて回避したが、自信を持つスピンは最高評価のレベル4を獲得。表現力を示す演技構成点でも音楽の解釈など3項目で9点台をマークし、大逆転勝利につなげた。

銀メダルを獲得した昨季世界選手権からフリーの自己ベストを6.68点も更新し、五輪2大会出場の父の正和コーチとがっちり握手を交わした。

ユース五輪王者、GPファイナルへ前進

次代のエースとして期待される鍵山は2020年冬季ユース五輪王者でもある。高校3年生ながら、スピンやステップの技術、ジャンプの安定感が際立つ。

父に基礎からたたき込まれたジャンプは跳ぶ時の肩の位置や体重移動などこだわりが強く、五輪2大会代表の鈴木明子さんにスケーティング指導も受けるなど表現面の向上にも注力する。

今季のGPシリーズ日本勢初優勝で、上位6人で争う12月のGPファイナル(9〜12日、大阪)進出にも前進した。次のGPシリーズ第5戦、フランス杯(11月19〜21日・グルノーブル)では今回回避した4回転ループも投入し、完成形を目指す。

今季の目標は「五輪の表彰台に上ること」。挑戦者として目の前の演技に集中できれば、さらに得点を伸ばせるポテンシャルも秘めている。浮き沈みはあったが、大きな教訓を得た初参戦の海外GPでの頂点。フィギュア界のサラブレッドは羽生結弦(ANA)や宇野昌磨(トヨタ自動車)の背中を追い、さらなる飛躍を期す。

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