壁に衝突!事故原因は調査中

北京冬季五輪開幕まで3カ月を切り、一歩間違えば命の危機につながるアクシデントが起こった。

五輪組織委員会は11月9日、北京北部の延慶に新設したそり競技会場「国家スライディングセンター」でポーランドのリュージュ男子選手が練習中に事故に見舞われて左脚を骨折し、病院で手術を受けたと発表した。

ロイター通信など海外メディアによると、本来は開いているはずのフェンスに激しく衝突。国際オリンピック委員会(IOC)のサマランチ・ジュニア調整委員長は9日の記者会見で、組織委や国際リュージュ連盟が事故の原因を調査中だと明らかにした。

大けがを負ったのはポーランドのマテウシュ・ソホウィチュ選手で、2018年平昌冬季五輪のリュージュ男子1人乗りで27位に入っている。

同選手は本番で使用されるコースに慣れるため行っていたテスト滑走中、長めの男子のコースと女子のスタート地点の合流場所で壁に衝突。地元メディアに「信号は青だったのに、トラックの途中でいきなりバリアーが目に入った。そりから投げ出されたから、滑降のスキーヤーみたいに体を丸めてポジションを取った。反応できていなかったら、悲劇的な結果に終わっていたかもしれない」とコメントした。

さらに「衝撃の後、脚を見たら骨が飛び出しているのが見えた」とも。五輪までに復帰を目指すが、精神的なショックも大きく、全治がどの程度の怪我なのかは不明だ。

2010年バンクーバー五輪では死亡事故も

リュージュを巡っては、2010年バンクーバー冬季五輪でジョージア代表(当時グルジア代表)のノダル・クマリタシビリ選手が公式練習中に死亡する事故が起こっており、今回はその悲劇を呼び起こすものになった。

当時は報告書も発表され、事故死は「操作ミス」を含む複数の原因が絡んでもたらされたとした。そりが例外的な角度で壁にぶつかったために同選手が空中に飛ばされるなど、これまでになかった事態が起きたという。

そりに乗って氷上のコースを滑り、タイムを競うボブスレー、リュージュ、スケルトンの3競技で最もスピードが出やすいのは両脚を前にして仰向けに乗るリュージュ。唯一走ってスタートしないものの、コースによっては最高時速が150キロを超え、1000分の1秒単位で争われる。

リュージュはフランス語で「木ぞり」の意味。危険性と隣り合わせの種目でもあり、1964年インスブルック五輪で正式競技となった。最近は技術の進歩により、シャーレ(選手が寝る部分)は強化プラスチック製、刃に当たる滑走部のシーネが鉄製となっている。

北京組織委の緊急対応に不満「無能だった」

一方、海外メディアによると、今回の事故でポーランド選手は、現場にいた五輪組織委のスタッフが「無能だった」とも指摘。緊急時の対応手順を心得ていない様子だったと明かし「彼らは何をすべきかが全く分かっていなかった」と不満を口にした。メンタル的なトラウマをどう克服するかも今後の大きな課題になりそうだ。

事故の原因はどこにあるのか。これが五輪開幕までに透明性を持ってクリアに解明されないと、各国の選手も不安が高まるばかりだろう。

IOC調整委員会のサマランチ・ジュニア委員長は今回の事故を「非常に残念」と表現。北京のコースについては「安全性と質の両面で、飛び抜けて高い評価を得ていた」とした上で「この事故から得られる教訓も多くあるはずだ。それを生かしたいし、そのための対応する時間は十分にある」と説明している。

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