伊藤園レディス優勝で賞金ランク2位・古江彩佳を引き離す

千葉県・長南町のグレートアイランド倶楽部(パー72)で開催されたゴルフの国内女子ツアー「伊藤園レディス」最終日(14日)は稲見萌寧が7バーディー、ノーボギーの65で回り、2位に9打差をつける通算17アンダーまで伸ばして圧勝した。

古江彩佳との2人に絞られた賞金女王レースも、この日の勝利で約1700万円差をつけて大きくリード。その活躍の原動力となっているパターは、当初タイガー・ウッズに使ってもらうために作られたものだった。

2位以下に8打差をつけて迎えた最終18番ホールのグリーン。稲見の約6メートルのバーディーパットはまるで吸い寄せられるようにカップに向かっていった。入ることを確信した稲見は、ボールがカップに転がり込む前に両手を高々と上げる。 このシーンで大きく映っていたのが、ネック部分の三角の形状が特徴的なテーラーメイドの「トラスパター」だ。

このパターは昨年9月の「日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯」で優勝した永峯咲希が使っていたことで注目を浴び、その後女子プロの使用者が増加。今年に入ってからは稲見の活躍もあって、市場では極端な品不足に。3万9600円の定価に対してネットオークションでは6万円を超える価格で出品されているケースもある。

2年前にウッズがテストしていた「トラスパター」

このパターが初めて目撃されたのは2年前の日本だった。しかも、テストしていたのはタイガー・ウッズだ。

日本で初めて開催されたPGAツアー「ZOZOチャンピオンシップ」(2019年10月24〜29日、千葉・習志野CC)。木曜日からの本選に先立ち、月曜日にはスキンズマッチのイベントが開催されたのだが、スタート前の練習グリーンでウッズがテストしていたのが「トラスパター」だった。バックフェースのデザインなどが現在市販されているモノとは異なるが、形状はほぼ一致している。

ウッズはナイキがゴルフ用具から撤退したことに伴って2017年にテーラーメイドと契約した。だがパターだけは長らくスコッティキャメロンを愛用し続けている。

そのウッズに使ってもらうべく製作されたのがこの「トラスパター」。残念ながら、その後ウッズが使うことはなかったが、テーラーメイドの英知を結集して作られた逸品が翌年からの日本女子ゴルフ界を席巻することになったのは、当然かもしれない。

稲見の平均パット数は大幅に向上

稲見のデータを見ると、前シーズン(2019年)はパーオンしたホールの平均パット数は「1.8312」で43位。1ラウンド当たりの平均パット数は「30.887」の94位だった。

それが今シーズン(2020~21年)は「1.760」(2位)と「29.4353」(15位、いずれも伊藤園レディス終了時点)へと大幅に向上した。パーオン率はいずれのシーズンも1位。平均ストロークは「70.9805」から「69.9928」へと約1打も良くなっているのはパットのおかげだと読み取れる。1ラウンドで1打ということはひとつの大会トータルで見ると3〜4打は良くなっているということ。この違いはとてつもなく大きい。

「伊藤園レディス」最終日は27パットでのノーボギーに「自分でもびっくりするぐらい入った」と話し、カップイン前に両手を高々と上げた最後のシーンは「これ入ったわ、と思った」と打ち明けた。

2020〜21シーズンは残り2試合。まさに「パット・イズ・マネー」を地で行った稲見は、早ければ次週の「大王製紙エリエールレディス」で初の賞金女王が決まる。

《ライタープロフィール》
森伊知郎(もり・いちろう)横浜市出身。1992年から2021年6月まで東京スポーツ新聞社でゴルフ、ボクシング、サッカーやバスケットボールなどを担当。ゴルフではTPI(Titleist Performance Institute)ゴルフ レベル2の資格も持つ。

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