1972年大会以来2度目、2022年にも決定?

新型コロナウイルスの影響で史上初めて1年延期された東京五輪・パラリンピックが今夏に閉幕したばかりというのに、2030年冬季五輪・パラリンピックの開催地に早くも札幌市が最有力となっている。

コロナ禍の強行開催で五輪離れが広がる国内世論との隔たりも懸念されるが、東京五輪では暑さ対策でマラソン・競歩の開催地を急きょ東京から札幌に移転。国際オリンピック委員会(IOC)は「大会運営の実績と安定」を高く評価しており、早ければ2022年にも「札幌開催」が固まる見通しだ。

実現すれば1972年札幌冬季五輪に続き2度目の開催。これまでの経緯を簡単に振り返ると、2014年11月に札幌市が2026年大会の招致を表明。しかし2018年の北海道地震で断念し、目標を2030年に切り替えた。

既存施設を活用するため開催地を分散し、スピードスケートとスキーのアルペンはそれぞれ北海道の帯広市とニセコ地区で実施し、ボブスレーやスケルトンなどのそり競技は長野市で行う計画。2020年1月、日本オリンピック委員会(JOC)が2030年大会の国内候補地を札幌市に決定している。

ライバルはバルセロナや米ソルトレークシティー

では札幌のライバルはどこになるのか。2028年夏季五輪のロサンゼルス招致に成功した米国は、ソルトレークシティー開催の目標を2030年から2034年大会に変更する可能性があり、ピレネー・バルセロナ(スペイン)は2030年以降も見据えた将来的な開催に興味を示す段階。

2010年大会を開催したカナダのバンクーバーも取り沙汰され、ウクライナは将来的な冬季五輪招致を決めたと発表されたが、開催年を特定せずにIOCの助言を得ながら開催計画を練る「対話」段階に入った。ただ、いずれの候補も決め手に欠ける。

近年の冬季五輪はコスト増大で特に招致熱の冷え込みが浮き彫りになり、2022、2026年の冬季五輪は住民投票による否決などで撤退が相次ぎ、最終的にそれぞれ2候補の争いとなった。

2022年は北京、2026年はイタリアのミラノ・コルティナダンペッツォに決まったが、IOCバッハ会長は招致改革で選定の仕組みを大幅に変更する新方式が導入し、開催地決定は原則7年前とした規定を撤廃。有力都市を早めに確保する狙いでIOCが早めに一本釣りするプロセスになったことで、札幌に白羽の矢が立ちそうなのだ。

札幌の課題はコスト削減と来春の住民アンケート

札幌市が2030年冬季五輪・パラリンピック招致を実現する上で、大きな課題は市民の支持だろう。2014年10月の1万人対象のアンケートでは「賛成」「どちらかといえば賛成」が66.7%を占めたが、新型コロナ禍による東京五輪・パラリンピックの1年延期などで「平和の祭典」に対する見方は大きく変化している。

2026年大会の開催地に決定したミラノ・コルティナダンペッツォは住民投票で賛成8割以上を獲得。一方で巨額の財政負担を懸念して住民の反対が上回り、招致を撤回する都市は欧米などで相次ぐ。

札幌市は2020年に検討していた2度目のアンケートは東京五輪の1年延期に伴い、2022年春にずれ込んでおり、この結果がどう出るかも注目されている。

五輪経費は大幅減も巨額赤字が懸念材料

札幌市は2016年10月、当初の開催概要計画を発表し、経費を4537億円と試算。2019年7月には経費を3100億〜3700億円に圧縮できるとの見通しを発表した。

さらに経費を最大で全体の2割強に当たる約900億円削減し、2800億〜3000億円にできる見通しだが、開催コストはどこまで膨らむか不透明な部分も多い。

東京五輪・パラリンピックの開催経費は大会の1年延期と新型コロナ対策で膨らみ、延期前の1兆3500億円から1兆6440億円とした予算計画が公表されている。

東京大会は新設6施設のうち、年間収支で黒字の見込みはコンサートなどに活用できる有明アリーナ(江東区)のみ。1998年の長野冬季五輪で会場となったそり競技場「スパイラル」(長野市)は総事業費101億円をかけて建設している。

2018年から製氷を休止するが、それまでは維持費が年2億2000万円。そのうち1億円を国が助成したが残りは長野市の負担だった。

札幌冬季五輪の開催計画でそり競技はスパイラルを利用することで長野と札幌両市が合意したものの、長野市は再稼働や改修の費用を原則払わない方針だ。札幌市は国に求めることも検討するが、コストの費用負担も今後の争点になりそうだ。

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