500先発、3000投球回目前の石川雅規

「マイルストーン」という言葉があるが、プロ野球では主として個人記録での「節目の数字」のことを表す。今回は、2022年にマイルストーンが期待できる3人の投手について、見ていくことにしよう。

【500先発 あと12 これまで6人が達成】
石川雅規は、現役最多の177勝を挙げている左腕。昨年は3勝に終わったが、シーズンでは82回を投げ、日本シリーズでも先発するなど円熟の投球は健在だった。史上25人目の200勝にはまだ23もあり、今季中の達成は難しいが、もし達成すれば現時点で最高齢の山本昌の42歳11か月を更新するのは確実だ。

石川はここまで通算504試合に登板しているが、そのうち488試合が先発。これは史上7位タイの記録だ。

NPB先発登板数10傑,ⒸSPAIA


1位の米田哲也から4位の金田正一までは300勝以上を挙げた歴史上の大投手。東尾修、山本昌も200勝投手。石川はこうした投手に次いで7位にいる。あと12試合で史上7人目の500先発。すでに大投手の仲間入りをしていると言ってよい。

昔の投手は先発救援を掛け持ちすることが多かったが、石川は97%が先発登板。三浦大輔などもそうだが、先発救援の分業が進んだ時代の投手なのだ。

【3000投球回 あと47回 これまで27人が達成】
NPBでは5526.2回を投げた金田正一を筆頭に、通算投球回数5000回以上が2人、4000回以上が8人、3000回以上は27人もいる。3000投球回は珍しい記録ではないが、先発、救援の分業が進み、先発投手の投球回も短くなる傾向の現代野球では、毎年200回投げても15年かかる3000投球回はほとんど不可能な数字と言ってよい。

セーブ制が導入され、先発・救援の分業が始まった1974年以降の投球回数5傑を下表にまとめた。

NPB投球回数5傑(1974年以降),ⒸSPAIA


山本昌が3348.2回で1位、石川は2953回で5位だが、21世紀以降のデビューでは最多となる。

近年、NPBの投手は投球回数が減っている。規定投球回数に到達する投手は毎年数人しかいない。NPBでは通算防御率を2000回以上でランキングしているが、現役でこの基準をクリアしているのは、石川のほかに楽天の涌井秀章(2542回)、岸孝之(2166.1回)、日ハムの金子千尋(昨年まで弌大、2012.2回)の3人だけだ。勝ち星につながらなくても地道にイニング数を稼ぎ続けた石川は、偉大な投手と言えるだろう。

宮西尚生は前人未到の400ホールド達成へ

【400ホールド 史上初 あと27】
関西学院大学から2007年大学社会人3巡目で日本ハムに入団して14年、宮西尚生は入団から14年連続で50試合以上登板。日本ハムの投手と言えばダルビッシュ有や大谷翔平など剛腕先発が目立っているが、地道に数字を積み上げてきた絶対的なセットアッパー宮西の貢献度は極めて大きい。

すでに2018年に巨人の山口鉄也を抜いてホールド数歴代1位になっているが、あと27で前人未到の400ホールドに到達する。

NPBホールド数5傑,ⒸSPAIA


ホールドは2005年に導入されたので、それ以降の投手が並ぶが、宮西は現時点で2位山口に100差をつけて断トツのトップ。現役ではオリックス、増井浩俊の158がこれに次ぐから、当面宮西の王座は揺るがない。

昨年は4月末での防御率が10.57と不本意なスタートでセットアッパーから中継ぎに降格となったが、8月以降に9ホールドを挙げ、復活した。

通算セーブでは岩瀬仁紀が407セーブを挙げているが、順調にいけばホールドでも大台突破が期待できそうだ。

【800救援登板 あと16 これまで2人が達成】
宮西はプロ入り以来すべて救援登板でここまで784試合に登板。あと16試合で800救援登板になる。これは史上3人目だ。

NPB救援登板数5傑,ⒸSPAIA


1位は岩瀬仁紀。救援で1001試合に投げている。2位は五十嵐良太、宮西は3位だ。

しかし「一度も先発せずに救援で投げ続けた投手」としては宮西は五十嵐に次いで2位。岩瀬はプロ入り2年目の2000年10月8日の広島戦に先発し、7回を零封して勝利投手になっている。これがなければオール救援で1002試合登板になっていた。

なお、岩瀬はそれ以降引退まですべて救援で投げ、879試合連続救援登板の記録を作った。これに次ぐのが五十嵐の823試合だが、宮西は今季救援で40試合に投げれば、五十嵐を抜いて史上2位になる。

増田達至は史上7人目の100セーブ100ホールド目指す

【100セーブ+100ホールド あと5ホールド これまで6人】
一口に救援投手というが、クローザーとセットアッパーでは準備の仕方は全く異なる。クローザーは最終回に投げることが決まっており、7回あたりからアップ、キャッチボールと準備を始める。

一方のセットアッパーは、起用する順番はだいたい決まっているにせよ、状況によっては緊急登板もありうる立場だ。5回あたりから肩を作るが、一度やめてまた準備ということもある。ロッテでクローザー、セットアッパーを経験した荻野忠寛さんは「体はセットアッパーの方がきついが、プレッシャーはクローザーの方が強かった」と語っている。

救援投手でもクローザーとセットアッパーの適性は異なることが多い。NPB最多ホールドの宮西尚生は373ホールドだがわずか11セーブ、NPB最多セーブの岩瀬仁紀は407セーブだが82ホールドだ。

100セーブ、100ホールドをともに記録した投手は6人だけ。西武の増田達至はあと5ホールドで7人目になる。

なお、日米通算では上原浩治が128セーブ、104ホールドを記録している。勝利数も134勝を挙げており、100勝100セーブ100ホールドを達成しているのは、日本人では上原浩治だけだ。

100セーブ100ホールド達成者,ⒸSPAIA


藤川球児は阪神の勝利の方程式「JFK」の一角を担ったが、この時はセットアッパー。のちにクローザーに転向して絶対的な守護神となった。

増井浩俊は日本ハム時代はセットアッパーだったが2014年、クローザーの武田久が故障したためにクローザーに転向。オリックスに移籍後は、クローザーからセットアッパーと持ち場を目まぐるしく変えた。150セーブ、150ホールド以上は藤川、増井の2人だけだ。

西武の増田達至は、NTT西日本から2012年ドラフト1位で西武に入団。当初から救援投手として、2015年には最多ホールドを獲得するなどセットアッパーとして活躍したが、2016年に高橋朋己に代わってクローザーに転向した。2020年は最多セーブを記録したが、平良海馬が台頭してきたため、2021年シーズン途中からクローザーを平良に任せてセットアッパーに戻っている。

クローザーとセットアッパー、いずれでも実績を残せる投手は、経験値が高いベテラン投手が多い。チームにとっては融通が利くありがたい存在だ。今季の増田はどんな活躍をするだろうか。

※年齢は2022年4月1日時点

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