全米選手権6連覇、2度の転倒も328点台

2月の北京冬季五輪のフィギュアスケート男子で、94年ぶりとなる3連覇の偉業を目指す27歳の羽生結弦(ANA)。その最大のライバルとなるのは、22歳のネイサン・チェン(米国)だろう。

1月9日の全米選手権(テネシー州ナッシュビル)では、ショートプログラム(SP)に続いてフリーも1位の212.62点をマークし、合計328.01点で6連覇を達成した。

世界最高得点を出した2019〜2020年シーズンに使った映画「ロケットマン」の音楽で臨んだフリーは、ルッツ、フリップ、サルコー、トーループの4種類、計5度の4回転ジャンプを組み込んだ演目で勝負。2度の転倒がありながらも、2021年12月の全日本選手権で羽生がマークした合計322.36点を上回る高得点をたたき出した。

2021年12月のグランプリファイナルが新型コロナウイルスの影響で中止となり、久々の実戦でも圧巻の演技を披露。6連覇は1946〜1952年に7連覇したリチャード・バットン以来の記録となった。

夢の4回転半と多彩な4回転の対決

羽生は前人未到のクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)成功と金メダルの両立を目指し、北京五輪へ全身全霊を懸ける。全日本では実戦で初挑戦したが、回転が足りずに3回転半の扱いで両足着氷となった。北京五輪でも同じく4回転半、2種類の4回転で臨み、圧倒的な表現力とともに総合力でチェンの挑戦を受けて立つ構えだ。

一方、世界選手権3連覇中のチェンは5種類の4回転を駆使し、ジャンプの完成度の高さで5位に沈んだ前回2018年平昌五輪のリベンジを誓う。

全米選手権のフリーでは、冒頭の4回転フリップ―3回転トーループは抜群の完成度で、4.87点の高い出来栄え点を引き出した。続く単発の4回転フリップで転倒したものの、その後の4回転は単発でサルコーとルッツを決め、トーループからの3連続ジャンプも成功。ルッツは出来栄えだけで5.59点も加点を引き出した圧巻の出来だった。

終盤にもコレオシークエンスで転ぶという珍しいミスはあったが、2位のイリア・マリニンに25.53点の大差。ただ、表現力を示す演技構成点は5項目中、音楽の解釈など2項目で8点台だった。演技後には苦笑いで頭を抱える場面もあり、大会公式サイトによると「会場の雰囲気を観客と一緒に楽しめたが、完璧な内容でなかった」と課題を残したことを認めた。

2021年10月のグランプリ(GP)シリーズ、スケートアメリカでは3位に沈み、SPのミス連発で17位と出遅れて総合5位に終わった2018年平昌五輪以来の敗戦を喫した。翌週のスケートカナダでは優勝したものの合計307.18点。北京五輪ではこうしたミスも許されず、多少の不安を残していることも確かだ。

金メダルの行方は4回転ジャンプの成否

北京五輪の頂上決戦は羽生とチェンのライバル対決に加え、2018年平昌五輪銀メダルの宇野昌磨(トヨタ自動車)や世界選手権2位の鍵山優真(オリエンタルバイオ・星槎)らの実力者も含めて、史上まれにみる激戦になるのは間違いないだろう。金メダルの行方は、4回転の高難度ジャンプの成否で決まりそうだ。

悪夢のような平昌五輪後、チェンは2018年3月の世界選手権から個人戦では13連勝と負け知らずの強さを誇ってきた。だが、新型コロナウイルスの影響で世界的にも情勢が不安定の中、今季は揺るぎない絶対的な安定感があるとは言い切れない。それでも羽生への敬意やリスペクトを隠さず「ユヅルは常に独創的な発想と方法でこのスポーツを前に進めている」と、誰よりも同じ舞台で競演できることを楽しみにしている。

股関節の痛みを抱えているとの報道もあるが、4年に一度の決戦の舞台。互いがベストの演技をした先にどんな結果が待っているのか。大一番から目が離せない。

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