3季ぶり2度目の総合V、「宇宙人」とも呼ばれる強さ

総合王者の証しである「黄金のワシ」のトロフィーを高々と掲げた。70回目を迎えた伝統のジャンプ週間。25歳の日本代表エース小林陵侑(土屋ホーム)が3季ぶり2度目の総合優勝を飾り、2月の北京冬季五輪へ金メダルの大本命であることを改めて証明した。

ライバルたちから敬意を込めて「宇宙人」とも呼ばれるほどの強さ。1998年長野冬季大会の船木和喜(フィット)以来となるジャンプ個人種目制覇に期待がかかる。

ノルディックスキーのワールドカップ(W杯)ジャンプ男子個人第13戦を兼ねたジャンプ週間最終戦(ヒルサイズ=HS142メートル)は1月6日、オーストリアのビショフスホーフェンで行われ、小林は日本勢で初めて2度目の頂点に立った。

ジャンプ週間はW杯より歴史が深く、1953年に始まった大会。年末年始にドイツとオーストリアで実施し、総合優勝は4戦合計8回の飛躍の合計得点で争う。最終戦は5位で、史上初となる2度目の4戦全勝の完全制覇は逃したものの、高次元の安定感で他の追随を許さなかった。

鋭い踏み切りと美しいバランス感覚

174センチ、59キロの体を自在に操る鋭い踏み切りとバランス感覚の持ち味が今季は研ぎ澄まされている。微動だにしない空中姿勢は美しさが際立つ。

3連勝で迎えたジャンプ週間の最終戦は硬さも出て5位となったが、4戦8回の飛躍の合計得点は2位のマリウス・リンビク(ノルウェー)に24.2点(飛距離換算で約13.5メートル)差。伸び盛りの若手として絶好調の勢いで一気に頂点へ上り詰めた3季前から経験を重ねて勝負強さを増し、歴史ある伝統のタイトルを奪還した。

ジャンプ週間で最多5度の総合優勝を誇るのはレジェンド、ヤンネ・アホネン(フィンランド)。日本勢では1997〜1998年シーズンに船木が王座に就いたことがある。

新型コロナ感染もどこ吹く風の強さ

今季はW杯開幕直後の2021年11月下旬、新型コロナウイルスの検査で陽性判定を受け、フィンランドで隔離生活を強いられた。だが、そんなアクシデントもどこ吹く風の強さ。踏み切りから空中姿勢に移る動作に無駄が少なく、優勝を重ねて安定感が際立っている。

北京五輪のライバルはノルウェー勢や3度のジャンプ週間総合優勝を誇るカミル・ストッフ(ポーランド)あたりだろう。2018年平昌五輪はノーマルヒル7位。まだ当時は世界的には無名だった。

ただ4年間で立場は激変した。2018〜2019年シーズンのW杯で13勝を挙げ、欧州勢以外で初の個人総合優勝。五輪シーズンのジャンプ週間で総合優勝した選手の大半が、そのシーズンの五輪でメダルを手にしているデータもある。

師匠と仰ぐレジェンド、葛西紀明(土屋ホーム)も手にしていない金メダル獲得へ絶対エースが日本を背負う覚悟を決めて大一番に挑む。

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