レギュラー候補筆頭の青木は40歳のシーズン

昨シーズンのヤクルトはリーグトップの625得点を叩き出した打線がチームを牽引した。このオフに外国人野手の補強はなく、アクシデントがなければという注釈がつくものの、昨シーズンと同じような顔ぶれで開幕を迎えることになりそうだ。

その陣容を見ると、背番号「27」を継承した正捕手の中村悠平、内野は西浦直亨と元山飛優が争う遊撃をのぞくとオスナ(一塁)、山田哲人(二塁)、村上宗隆(三塁)がほぼレギュラー当確。外野もリードオフマンに定着した塩見泰隆(中堅)とサンタナ(右翼)は確定的で、ベテランの青木宣親(左翼)も実績からすると開幕時はスタメンに名を連ねることだろう。

だからといって遊撃以外のポジションに争いがなく、無風状態かというとそんなことはない。これまでチームを引っ張ってきた青木が、この1月に40歳を迎えた。昨シーズンも規定打席に到達したとはいえ、試合終盤に代走や守備固めで退くことが多かった。仮に今年は乗り切れたとしても、今後のチームを考えるといつまでも青木に頼りっぱなしというわけにはいかない。若い選手が”打倒青木”としてレギュラー奪取を目指すのが健全だ。

その青木超えを目指すことになりそうなのが、高卒4年目を迎える右の長距離砲候補・濱田太貴と代打で川端慎吾を凌ぐ出塁率を残した宮本丈のふたりである。

濱田は二軍で村上宗隆を凌ぐ本塁打率を記録

濱田は昨シーズン苦しんだ。オープン戦では村上と並んでチームトップタイの4本塁打を放ち開幕一軍は当確かと思われた。しかし上半身のコンディション不良で無念の離脱。4月上旬に二軍で復帰したものの、4月28日を最後に戦列を離れ公式戦に出場することはなく、復帰はフェニックスリーグだった。プロ3年目で初めて一軍出場がなく二軍でもわずか13試合の出場に終わっている。

濱田は高卒2年目の2020年に一軍で3本塁打(100打数)、また二軍ではあるが同年に11本塁打(リーグ5位タイ)を放っている長距離砲候補だ。同年の本塁打率(二軍)は、18.82(207打数/11本塁打)で、村上がルーキーイヤーに二軍で記録した21.47(365打数/17本)を上回っている。

ちなみに山田の高卒2年目時は一軍で1本塁打(44打数)、二軍でもなんと0本塁打(147打数)だった。かつての山田や村上(1年の差はあるが)を本塁打率では上回っていた。

一方で出塁率は高くなく、一軍では2020年に105打席でわずか5四球しか選べず、出塁率.238。二軍でも2020年が.308、昨シーズンは.313だった。打撃面では選球眼が課題となってくる。

ヤクルトは山田や村上、岩村明憲に池山隆寛ら日本人の長距離砲が内野手に多い。一方、外野手で30本塁打超を記録した選手は、1988年の広沢克己が最後で平成以降1人もいない。これはセ・リーグの中でもっとも遠ざかっている。

濱田自身も今年すぐに30本塁打は難しくとも、将来的にクリアするためにそのきっかけを掴むシーズンとしたいところだろう。

宮本は「2番・左翼」でスタメン経験

長距離砲候補の濱田に対して、宮本は広角に打つことができるアベレージタイプだ。SPAIAのデータによると昨シーズン逆方向への打球は35%。これはチーム内の同じ左打者と比較すると川端(38%)には劣るものの、青木(32%)と村上(32%)を上回っている。

また、対右投手は打率.283(60打数17安打)、対左投手は打率.300(10打数3安打)となっており、打席数は少ないが左投手を苦にしていないのも強みだろう。

そんな宮本だが優勝決定後の2試合では、青木の代わりとして「2番・左翼」でスタメン出場。左翼でのスタメンはシーズン初であり、プロ入り後でも2試合目のことだった。試合前の練習では福地寿樹コーチと左翼の位置で話し込む場面もあり、入念な準備を行っていた。

その2試合で7打数3安打(1本塁打)、2四死球と役割を果たし守備でも破綻はなかった。与えられたチャンスを逃さずしっかりと結果を残した印象だ。また代打打率.313、出塁率.452の勝負強さは言わずもがな、ここぞの場面ではピンチバンターとしての起用もあり小技にも長けている。

青木が務めてきた「2番」にそのまま入れ替わるのであれば、濱田よりも出塁率の高い宮本のほうが打線は機能しそうだ。青木が昨シーズンの開幕直後に離脱した際、高津臣吾監督は右・左の違いはあれど、小技もできる中村を2番に据えた。濱田は出塁率よりも長打力が売りとなり、どちらかというとクリーンアップや下位打線で起用したいタイプになる。濱田を起用するとなれば打線の組み換えもセットとなりそうだ。

追われる青木は新型コロナウイルスの影響もあり、村上や宮本、西浦との合同トレーニングは行わず単独で自主トレを行っている。来たるべきシーズンに向けて、「もっといい成績を残したい」と意気込んでおり、簡単にレギュラーを明け渡すつもりはない。

高津監督はどのように考え選手たちを起用していくのだろうか。球史に残る大打者・青木に右の長距離砲候補・濱田、そして自身の自主トレの門下生でもあった宮本が挑む左翼のポジション争いが熱い。

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