優勝して評価急上昇した作新学院・今井達也

プロ野球の世界に足を踏み入れるにあたって「甲子園」という舞台は、選手にとって最高のお披露目の場だ。各球団のスカウトが一堂に会する中、トントン拍子に勝ち上がるとともに自身の評価も急上昇した例は少なくない。

近年では作新学院・今井達也(現西武)が好例だろう。夏の甲子園開幕前は履正社・寺島成輝(現ヤクルト)、横浜・藤平尚真(現楽天)、花咲徳栄・高橋昂也(現広島)が「高校BIG3」と呼ばれていた。

しかし、横浜は「事実上の決勝」と言われた2回戦で履正社に敗戦。その履正社も3回戦で敗れ、花咲徳栄も3回戦敗退した。

「BIG3」が全滅した中、勝ち上がったのが作新学院。決勝で北海を下して54年ぶりの全国制覇を果たし、5試合で616球を投げたエース今井は評価を高め、ドラフト前には「BIG4」と呼ばれるようになっていた。

実績断トツの田中将大、不振にあえぐ藤浪晋太郎

現在、プロで活躍する「夏の甲子園優勝投手」は7人。1998年の横浜・松坂大輔(前西武)と2006年の早稲田実・斎藤佑樹(前日本ハム)が引退し、残るは以下のメンバーとなっている。

2005年 駒大苫小牧・田中将大(楽天)
2012年 大阪桐蔭・藤浪晋太郎(阪神)
2013年 前橋育英・高橋光成(西武)
2015年 東海大相模・小笠原慎之介(中日)
2016年 作新学院・今井達也(西武)
2017年 花咲徳栄・清水達也(中日)
2018年 大阪桐蔭・柿木蓮(日本ハム)

7人の中では田中将大が断トツの成績を誇る。メジャーでの78勝を含み、日米通算181勝90敗3セーブ。楽天に復帰した昨年は味方打線の援護に恵まれない不運もあってまさかの4勝に終わったが、防御率3.01と決して悪くなかった。今季順当に白星を積み重ねれば、通算200勝へのカウントダウンも始まる。

逆に心配なのが阪神・藤浪晋太郎だ。高校時代は花巻東・大谷翔平(現エンゼルス)のライバルとして活躍し、春夏連覇を達成。阪神入り後も3年連続2桁勝利を挙げたが、4年目以降は下降線を辿っている。今年は節目のプロ10年目。結果を出さないと後がないことは本人が一番よく分かっているだろう。

高橋光成は昨季11勝、小笠原慎之介は規定投球回到達

前橋育英高の2年生エースとして全国制覇した西武・高橋光成も昨季11勝を挙げて飛躍した。推定年俸は1億1000万円にアップ。今季は2年連続2桁勝利で首脳陣の信頼をより強固にしたい。

2015年に吉田凌(現オリックス)とともに東海大相模のダブルエースとして頂点に立った中日・小笠原慎之介は昨季8勝を挙げ、規定投球回に到達した。吉田も昨季は18試合に登板して1勝1敗4ホールド、防御率2.12の好成績で優勝に貢献している。

西武の今井達也は昨季8勝8敗、防御率3.30。平均150.4キロのストレートを武器に、今季は自身初の2桁勝利を狙う。

花咲徳栄のエースとして埼玉県勢初優勝に貢献した清水達也は、中日入りして4年が経った。昨季はわずか1試合登板にとどまり、プロ通算17試合で3勝4敗。そろそろ一皮むけた姿を披露したい。

2018年に春夏連覇した大阪桐蔭のエース柿木蓮もプロでは苦しんでいる。いまだ一軍登板はなく、昨年は二軍で30試合に登板したものの1勝2敗、防御率6.34だった。夏の甲子園決勝で投げ合った同期のドラフト1位・吉田輝星(金足農)とともに成長が待たれる右腕だ。

智弁和歌山のエース中西聖輝は青山学院大

ちなみに最近10年でプロ入りしなかった夏の甲子園優勝投手はどうしているだろうか。

2014年に優勝した大阪桐蔭のエース福島孝輔は同志社大からHonda鈴鹿に進み、プレーを続けている。2019年に全国制覇した履正社の左腕エース清水大成は早稲田大に進み、2021年優勝の智弁和歌山のエース中西聖輝は青山学院大に進学する。

甲子園優勝は大きな勲章ではあるが、その後の野球人生は人それぞれ。「優勝投手」という肩書が重く感じることもあるだろうが、プレッシャーに打ち勝ってさらに大きな栄光をつかんでほしいものだ。

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