オミクロン急拡大、北京でも市中感染で厳戒

2月4日に開幕する北京冬季五輪は、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の急拡大で警戒感が一段と強まっている。

中国政府は五輪に向け「ゼロコロナ」戦略で対策を徹底強化してきたが、1月15日には北京で初のオミクロン株の市中感染を確認。北京冬季五輪・パラリンピックの大会組織委員会は2日後の1月17日、五輪とパラの観戦チケットを一般販売しないと発表した。

開幕まで約2週間と迫る中、新型コロナ感染症の流行を受けた緊急措置で、会場での観戦は招待したグループに限定して客席を振り分ける方針。既に海外からの観客受け入れは断念しており、大半の会場が「無観客」となった東京五輪・パラに続き、異例の大会となる。

中国の旧正月にあたる春節(2月1日)の連休は1月31日から2月6日。帰省や旅行のための特別運輸体制「春運」も始まっており、北京市当局は厳戒態勢に入った。

観戦は条件付き、政府機関や国有企業に分配

北京の大会組織委はこれまで中国本土在住者に限ってチケットを販売すると説明してきた。

しかし開幕直前になって一転、1月に入って北京に隣接する天津でオミクロン株の市中感染が出ると、上海や河南省、広東省など、各地に感染者が拡大。陝西省の省都西安市など3都市の計約2000万人がロックダウン(都市封鎖)の状態に追い込まれた。新規の市中感染者は1日数百人程度と欧米や日本に比べ少ないが、大イベント前の祭典ムードはない。

では一般販売しない観戦チケットは具体的にどんなグループを招待するのか―。受け入れる観客の人数などは明らかにされていないが、今回の決定で招待される「観客グループ」は政府機関や国有企業などを通じてチケットを分配する見通しだ。

一方で限られた観客には旅行や出張に一定期間行っていないことや、ワクチン接種など厳格な条件が課される。関係者によると

①観戦の前は14日間北京に滞在
②直前の96時間以内に2回のPCR検査を実施
③開幕式・閉幕式を観戦する人はワクチンを3回接種済み

などの条件もあり、政府機関や国有企業が希望者を募って条件を満たした人にだけ配られるという。組織委は選手や関係者らに対して外部との接触を禁じる「バブル方式」を徹底。観客席の一部を「バブル外」に設定し、観客らに割り振る構えだ。

習近平国家主席が打ち出す「ゼロコロナ」政策にこだわり、オミクロン急拡大でもリスク覚悟で観客を入れるのは、国家主席が異例の3期目を目指す秋の党大会を控え、五輪を「国威発揚」につなげたい狙いがうかがえる。

感染源はカナダの国際郵便?IOCは延期や中止否定

さらに欧米メディアによると、北京市当局は記者会見で、1月15日に初確認されたオミクロン株感染の1例は「国際郵便から感染した可能性を排除できない」との見解を示した。カナダから米国を経て感染者が受け取った郵便物を調べ、陽性反応を検出したという。

しかしカナダのデュクロ保健相は国際郵便が感染源との見方を示したことについて「とっぴな考えだ」と強硬に反論。研究者の見解ではオミクロン株が郵便物の上で生存するのは不可能と指摘され「非科学的な見解」と批判されている。

刻一刻と事態が悪化する中、北京冬季五輪は土壇場での延期や中止はあるのか−。振り返れば東京五輪は史上初の延期が唐突に決まった経緯もある。

国際オリンピック委員会(IOC)は1月5日、各国・地域の国内オリンピック委員会(NOC)とオンラインの会合を開き、北京五輪を予定通り開催すると確約。バッハ会長は「選手の夢が出発数日前に奪われないように、われわれはあらゆる手を尽くさなければいけない」と強調している。

ただ何が起こるか分からないのがこの世界。大会直前や期間中に選手や関係者の感染が拡大する可能性も否定できず、予断を許さない展開が続きそうだ。

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