どれだけ失点を防いだかを示す「RSAA」

同じイニング数で平均的な投手に比べてどれだけ失点を防いだかを示す指標に「RSAA」というものがあり、(リーグ平均失点率−失点率)×投球イニング÷9の計算式で算出できる。RSAAが0より大きい場合は平均よりRSAAの数値だけ失点を防いでいるということになり、0を下回る場合は平均よりもRSAAの数値だけ多く失点していることになる。

今回は、RSAAで優れた数値をマークしたセ・リーグの投手をランキング形式で紹介し、その理由を考察する。

緩急自在の投球が魅力の柳がリーグトップ

2021年セ・リーグRSAAランキング,ⒸSPAIA


リーグトップの数字を記録したのは、中日の柳裕也。今季自身初となるベストナイン(投手部門)やゴールデン・グラブ賞に選出されたほか、初の最優秀防御率、最多奪三振のタイトルを獲得し、飛躍のシーズンとなった。開幕からローテーションを守り、11勝6敗、防御率2.20とシーズンを通じて抜群の安定感を誇り、RSAAは27.9をマークした。

ストレートの平均球速は142.3kmと速くはないものの、カットボールやチェンジアップ、スライダー、カーブなど多彩な球種を操る緩急自在の投球で打者を手玉にとった。多くの投手が球種の割合でストレートが50%近くを占める中、柳はストレートの割合が37.6%と低め。

その一方で、カットボールが21.7%、チェンジアップが17.1%、スライダーが14.9%と球種の割合がバランスよく分散されており、打者が的を絞りにくい要因だろう。ストレートの被打率が.286と高めなのに対し、カットボールは.203、チェンジアップは.171、スライダーは.132と抑え込んでおり、直球があまりよくない分、他の球種でカバーしている。12球団随一とも言える中日投手陣のエースとして、立浪新政権でさらなる活躍が期待される。

制球力に優れた青柳、森下がランクイン

2位にランクインしたのは、自身初となる最多勝と最高勝率を獲得した阪神の青柳晃洋。柳とは差をつけられたものの、19.9をマーク。失点を防ぐという観点からリーグ屈指の投手であることを改めて証明した。防御率はそれまで破れなかった3点台の壁を破り、2.48と飛躍的に向上。今季も先発ローテーションの柱としての活躍が期待される。

持ち球の種類こそ違えど、柳同様に青柳もいくつかの球種をうまく配分している。左打者の外角低めに逃げるように沈むツーシームの割合が最も多く、全投球の約半分の48.2%。次が23.4%のスライダー、12.8%のシンカーと続き、ストレートはわずか11.9%にとどまる。球を動かしながら低めを丁寧につく投球が功を奏した。

3位は東京五輪の金メダル獲得にも大きく貢献した広島の森下暢仁。青柳と同様、丁寧な投球が持ち味で制球力に優れたタイプだ。防御率はルーキーイヤーにマークした1.91から2.98、勝率も.769(10勝3敗)から.533(8勝7敗)と悪化したものの及第点。RSAAは16.0をマークした。

投球の22.9%を占めるカットボールの被打率が.300と振るわなかったが、代名詞とも言える、強烈な縦回転の大きなカーブの被打率は.144をマークし、チェンジアップの奪空振り率は.20.5%と高い。今季はローテーションの柱としてシーズンを通して活躍することはもとより、2023年ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)出場へ向けてアピールしたいところだ。

RSAAに優れた投手は自分から崩れることは少なく、高い確率で試合を作ってくれる。今回上位にランクインした投手たちの引き続きの活躍はもちろん、来季はどんな投手がRSAAの上位に食い込んでくるのか注目だ。

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