ニシノフラワーやスーパーホーネットらが制した一戦

中山GJは、11歳馬オジュウチョウサンが勝利。10歳だった昨年5着に敗れた中山GJのリベンジを達成し、同レースの6勝目をあげた。皐月賞ではドレフォン産駒のジオグリフ、キタサンブラック産駒のイクイノックスと、新種牡馬のワンツー決着が見られた。

今週はマイラーズC。古くはカツラノハイセイコやニホンピロウイナー、ニシノフラワーやノースフライトらが勝利。2000年以降もカンパニーやスーパーホーネット、ワールドエースといった名馬たちが勝利してきた。

今年は昨年覇者ケイデンスコール、重賞2勝目を狙うカラテやホウオウアマゾン、重賞初制覇を狙うエアロロノアやエアファンディタなど、多彩なメンバーが揃った。混戦のマイル路線を占う上でも見逃せない一戦だ。今回は、マイラーズCの歴史を振り返る。

1番人気馬はGⅠ実績が問われる

マイラーズC過去5年間の優勝馬,ⒸSPAIA


ここ5年で1番人気は2勝。2020年インディチャンプと2019年ダノンプレミアムが人気に応えている。2017、2018年と2年連続で1番人気に推されたエアスピネルはそれぞれ2着、3着と好走しつつも、勝ちには手が届かなかった。同じ冠名を持つエアロロノアも昨年1番人気で5着に敗れ、古くは2007年エアシェイディも1番人気11着に敗れた。

1番人気で勝利したインディチャンプ、ダノンプレミアムは、当時すでにGⅠ馬。対照的に、2014〜2016年に3年連続で1番人気に推されたGⅠ未勝利馬フィエロは、マイルCSで2度の2着など現役屈指の名マイラーだったが、2着、3着、4着といずれも勝ちきれず。引退レースとなった2017年マイラーズCも6着に敗れた。また、2019年にダノンプレミアムが勝利するまでは、2010年から1番人気が9連敗していた。

2015年には馬連153.4倍、2013年には馬連128.8倍、2011年には馬連704.4倍など、隔年で万馬券が飛び出していた。ここ5年は万馬券が出ていないが、それでも昨年3着のカイザーミノルは9番人気、一昨年2着のベステンダンクは7番人気など、必ずしも順当決着というわけではない。ここ数年は人気馬が好走しているが、それだけで本命サイドで決まるレースとは判断しない方が良さそうだ。

スペシャルウィーク産駒でワンツーとなった2010年

2010年マイラーズCは1着リーチザクラウン、2着トライアンフマーチ、4着セイウンワンダーと、前年の牡馬クラシックを盛り上げた3頭が上位に食い込んだ。

2009年クラシックと言えば皐月賞馬アンライバルド、ダービー馬ロジユニヴァースともに父ネオユニヴァースと、"ネオユニ旋風"が巻き起こった年。それと同時に、リーチザクラウンとトライアンフマーチはスペシャルウィーク産駒、セイウンワンダーはグラスワンダー産駒と、1998年クラシック世代のファンにとって胸が躍る血統の馬が多く活躍した年でもある。輸入種牡馬ではなく、日本で活躍した名馬の産駒がクラシックで好走するのも珍しくなくなってきた時代だった。

セイウンワンダーは朝日杯FSの親子制覇を達成すると、皐月賞、菊花賞でも3着と好走。3歳で挑んだ有馬記念でもマツリダゴッホに先着する6着と、様々な条件で強さを見せた。

トライアンフマーチは年明けにデビューし、未勝利を脱出したのが3戦目の3月という遅咲きながら、若葉Sで2着、皐月賞で2着と、母キョウエイマーチから受け継いだ快速っぷりをいきなりの大舞台で披露。その後もマイル路線を中心に活躍した。

リーチザクラウンはトライアンフマーチ、セイウンワンダーが2、3着となった皐月賞で2番人気13着と大敗するも、ダービーでは2着に巻き返した。そこから引退まで、勝ち星はこのマイラーズCのみという戦績ではあったが、引退後は種牡馬となった。セイウンワンダー、トライアンフマーチは種牡馬とならず、リーチザクラウンも種付け数50頭前後という実績で、グラスワンダーやスペシャルウィークの血がさらに次の世代へと受け継がれるのは難しいかに思われた。

しかしジャパンCを制したスクリーンヒーローがモーリスらを輩出し、一気にグラスワンダーの血を広げると、オーストラリア産まれのモーリス産駒ヒトツがヴィクトリアダービー、オーストラリアンギニー、オーストラリアンダービーと豪GⅠを連勝。スペシャルウィークの方も、リーチザクラウンが多いとは言えない産駒から重賞馬キョウヘイなどの活躍馬を輩出して一躍出世を果たすと、今年のUAEダービーをクラウンプライドが制覇。ケンタッキーダービーに挑戦する競走馬の父として海外にも名を広めた。

今や世界でグラスワンダーやスペシャルウィークの血が見られることに、新しい時代の到来を感じる。そしてそしてトライアンフマーチの姪にあたるマルシュロレーヌは昨年のBCディスタフを勝利し、牝系の広がりも感じさせてくれた。

海外で種牡馬として活躍したハットトリック

クラウンプライドは1989年のケンタッキーダービー馬サンデーサイレンス3×4のクロスを持つ。この血統が日本から米国のケンタッキーダービーに出走するのは非常に感慨深い。

反対に、日本から海外に輸出されて成功し、産駒が日本へ輸入されるまでになった名馬と言えば、ハットトリックがいる。ハットトリックはマイルCSと香港マイルを連勝した実績馬で、引退して渡米するとフランスで大活躍したGⅠ馬ダビルシムを輩出。他にも米国やアルゼンチン、ブラジルなどのGⅠ馬を輩出し、世界的な活躍を収めた。

そのハットトリックの産駒であるエアファンディタが、今年のマイラーズCに出走を予定している。エアファンディタは米国からの輸入馬だが、母父も日本で繋養されていたエンパイアメーカーと、なんとも馴染み深い血統を持つ。

ハットトリック自身は2005年マイラーズCで1番人気9着、2007年マイラーズCで11番人気6着と悔しい思いをしているが、エアファンディタは果たしてどのような走りを見せるだろうか。世界との繋がりと日本競馬の発展を感じつつ、ハイレベルなマイル戦を堪能したい。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

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