伊藤洋輝:日本代表に新たな攻撃パターンを生む新世代のCB

アジア最終予選を突破し、カタールW杯出場を決めたサッカー日本代表。予選突破はしたものの、ベンチメンバー主体で臨んだ3月29日の最終戦は格下のベトナムに苦戦して1対1の引き分けに終わった。

W杯まで残された時間でチーム力を高めるには、主力メンバーに劣らぬ新戦力が求められる。ファンやメディアの間で待望論も巻き起こる4選手をピックアップした。

1995年5月12日生まれの伊藤洋輝(いとう・ひろき)は、ジュビロ磐田の下部組織でプレイし、高校生時にトップチームへ昇格。2018年3月にプロデビュー。名古屋グランパスへのレンタル移籍を経てジュビロで活躍し、2021年6月には遠藤航も所属する独シュツットガルトへ期限付き移籍を果たす。

当初シュツットガルトは育成枠の選手として獲得した模様だが、伊藤は予想を上回るパフォーマンスを披露してトップチームのCBに定着した。現在22歳の若さでレギュラー格の選手としてプレイし、ブンデスリーガの今季新人選手のベスト11などにも選出されている。一部メディアでは、2022年1月時点でシュツットガルトが買い取りオプションを行使し、完全移籍したとも報じられている。

伊藤の魅力の一つは、攻撃の組み立てだ。左足での長短のパスの精度が高く、左右へのサイドチェンジはもちろん、後方から最前線のFWへ正確なロングパスを供給できる。一気に得点チャンスを創出でき、日本代表に新たな攻撃パターンを生み出してくれるはずだ。

伊東は各世代の日本代表に招集された経験を持っているが、フル代表は未招集の身。CBの一人としてフィットすれば守備の安定感が増し、冨安健洋(アーセナル)を左右のSBで起用するプランも試しやすくなる。

川辺駿:盤石のボランチ陣に加えたい遅咲きの攻撃的ボランチ

川辺駿(かわべ・はやお)は1995年9月8日生まれのMFだ。サンフレッチェ広島出身で、2021年7月にスイスのグラスホッパーへ移籍。ボランチを主戦場とするが、トップ下としてシャドーストライカーのプレイもできる。

ドリブルで前へボールを運ぶ能力や裏抜けに優れ、ミドルシュートも得意とする。現フル代表のレギュラー格である守田英正(サンタ・クララ)、田中碧(デュッセルドルフ)、遠藤とは異なる色を出せる選手だ。

川辺は現在26歳でやや遅咲きの感はあるものの、来シーズンより、英プレミアリーグのウォルヴァーハンプトンに加入することが決定済み。五大リーグの中でも激しいリーグでプレイする経験値は、何物にも代えがたい魅力だろう。

日本代表には、2021年のW杯アジア2次予選などに招集されるも、最終予選では声がかからず。まずは、守備強度の低下が目立つ柴崎岳(レガネス)に代わる中盤のバックアッパーとして試したい選手だ。

奥川雅也:オーストリア&ドイツで研鑽積む両足使いの攻撃手

奥川雅也(おくがわ・まさや)は1996年4月14日生まれで、京都サンガを経て2015年にオーストリアのザルツブルグへ移籍。ザルツブルグから複数回のレンタル移籍を経験するなど海外でのキャリアは長い。2021年にブンデスリーガのビーレフェルトへ移籍すると、4試合連続ゴールを記録するなどして注目を集める。

ポジションは、両足を自在に使いこなせるためドリブルやシュート、パスの展開エリアが広く、一列目・二列目の左右どこでもプレイできる。裏抜けも得意とし、シャドーストライカー的にトップ下でも起用される。

ビーレフェルトは降格圏に停滞しているが、少ないチャンスで8得点をマーク。大迫勇也(ヴィッセル神戸)がブレーメン在籍時に記録したブンデスリーガ年間最多得点記録に並ぶ活躍を見せている。

4月17日のブンデスリーガ30節・バイエルン戦(0-3で敗戦)にも右MFでフル出場。VAR判定で取り消しになったが、あわやゴールというシュートも放っている。上述の伊藤同様、ドイツ代表の主力であるバイエルンのメンバーと日常の試合で戦っている経験は大きい。

フル代表に招集されてもおかしくない実績と実力だが、日本のフル代表には未だ未招集。20年11月に一度招集されたものの、コロナ禍の影響で招集取り消しの憂き目に遭った。W杯本戦までにテストされる可能性が高い選手の一人だ。

鈴木優磨:“ポスト大迫勇也”に最も近い万能型FW

原と同じ1999年4月26日生まれのFW鈴木優磨は、昨季ベルギー一部のシント=トロイデンで17得点をあげて欧州の別リーグへのステップアップも噂されたが、コロナ禍も相まってか話がまとまらず、2022年1月に古巣の鹿島アントラーズへ出戻り移籍を果たした。

一番の魅力は得点力だ。ヘディングでの競り合いにも強く、好機と見ればペナルティエリアの内外から得点を決める積極性とパンチ力がある。加えてシント=トロイデンで海外のDFと渡り合った経験を糧に、得点力はさらに磨きがかかっている。

また得点にはこだわらず、ポストプレイができる上、左右に開いてサイドから展開するプレイもできる。ピッチ内外で我が強い性格と見られがちだが、状況に応じて試合に勝つためのプレイ、味方を活かしたプレイを選択できる選手だ。本人が憧れの選手の一人としてコメントしているように、前線の仕事を何でもこなすスタイルはレアル・マドリードのカリム・ベンゼマに近い。

ポスト大迫候補の一人であり、日本代表に呼ばれてもおかしくない実力の持ち主だ。1トップの先発起用はもちろん、試合が膠着状態に陥った際、途中出場でリズムを変えられるスーパーサブになれる可能性も秘めている。

しかし、森保体制では試合出場が実現していない。2018年11月に一度招集は受けたが、AFCチャンピオンズリーグでの負傷により、招集辞退を余儀なくされた。2020年には、森保一監督を批判したとおぼしきSNSのコメントが話題になり、それが原因で呼ばれていないのではないか、と確執も囁かれている。

森保監督に求められる「決断」

上記に挙げた以外にも、欧州リーグで活躍する日本選手、Jリーグで頭角を現している選手は多く、代表入りしてもおかしくない有力選手が多数いる。

しかし誰か新しい選手を入れれば、誰かを外す必要がある。新戦力がチームにハマれば、最終予選に召集された一部の選手を外さなくてはならない。

情に厚く、保守的と言われる森保監督に、外国人監督のような冷静冷酷な決断を下せるか。W杯本戦までの道筋も注目だ。

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