昨季J2得点王ウタカが爆走中

もうすぐ折り返し地点を迎える今季J1リーグで、35歳前後の「アラ35(アラウンド・サーティファイブ)」の高齢外国籍選手が元気だ。38歳のピーター・ウタカ(京都サンガF.C.)は、上田綺世(鹿島アントラーズ)と並び得点ランクのトップを走る。

34歳の守護神、キム・ジンヒョン(セレッソ大阪)は現在J1通算336試合に出場、外国籍選手最多出場記録を更新中。キャリアの晩年を迎えているはずの彼らが輝きを失わず、エースやキーマンになっているのが、今季J1の特色の一つではないだろうか。

J1リーグの主な35歳前後の外国籍プレーヤー


ベテラン外国籍プレーヤーの中で、No.1の活躍を見せているのが元ナイジェリア代表のピーター・ウタカだ。昨季J2得点王の勲章を掲げ乗り込んだJ1の舞台で、衰えをまったく見せずに8得点を積み上げている。

シュート数38本もリーグ1位、1試合平均シュート数は3.7本のリーグ2位。しかも、劣勢の状況の多い京都でそれを実行しているのが、ウタカの凄いところ。出場13試合中、12試合がフル出場とスタミナロスも見られない。チーム内での得点割合57.1%の京都の大エースが、16年サンフレッチェ広島在籍時以来となる2度目のJ1得点王へ邁進中だ。

パトリック(ガンバ大阪)、ウェリントン(湘南ベルマーレ)の両ブラジル人長身FWは共に来日10年目の34歳。ここまで各々の得点こそ1点のみだが、エアバトルの強さは健在。今季の敵陣空中戦ランキングではパトリックが1位、ウェリントンが2位で追う。相変わらず、相手ディフェンスの脅威になっている。

なお、パトリックはあと11得点で外国籍選手5人目の100ゴールに到達する。

キム・ジンヒョンら韓国の熟練GKが君臨

GKの「アラ35」は、3人そろって元韓国代表の守護神。現在2位・鹿島アントラーズのゴールを守る37歳のクォン・スンテは、見事な復活を果たしている。18年のACL制覇へ貢献するも一昨季から沖悠哉に定位置を明け渡し、20年7試合、21年5試合の出場にとどまった。

ところが今季、開幕スタメンの座を勝ち取ると、総合力の高いゴールキーピングと声による統率力で不動の存在へ。攻撃陣のタレントに目を奪われがちだが、クォン・スンテなくして鹿島の好調ぶりは語れない。

首位・川崎フロンターレの正GKチョン・ソンリョンは、クォン・スンテと同い年。川崎F在籍7シーズン目に入ったが、常に最後尾からチームを支え、4度のリーグ制覇を遂げている。

今季もゴールの門番として仁王立ち、高い集中力を保って敵の逆襲に素早い飛び出しで対処。ピンチの場面ではセービング技術が光る。DFジェジエウの長期離脱の影響がある中、川崎Fの失点数(12点)がリーグ3番目に少ないのは、背番号1の好守に依るところが大きいだろう。

そして5月18日のヴィッセル神戸戦で、チョン・ソンリョンはJ1通算200試合出場を達成した。

同郷の先輩の記録を34歳にして大きく上回るのが、C大阪のキム・ジンヒョン。5月3日、11節のサガン鳥栖戦で、FWマルキーニョス(元鹿島、元横浜FMなど)の持っていた333試合のJ1通算出場記録を更新し、金字塔を打ち立てたのだ。

J1連続試合フルタイム出場も4年以上続き、曽ケ端準(元鹿島)の244試合、西川周作(浦和レッズ)の200試合の両名手に次ぐ、181試合で歴代3位。残念ながら12節・ジュビロ磐田戦での負傷交代で、その記録はストップしてしまったが、今季1試合平均セーブ数は3.1本と多く、鋭い反応は色褪せない。桜の絶対的守護神は、通算出場記録をどこまで伸ばすだろうか。

イニエスタの超絶技巧が今季も炸裂

MFで奮闘中なのが、来日10年目、外国籍選手のJ1通算出場記録5位(270試合)のレオ・シルバ(名古屋)だ。今季は心機一転、5シーズン過ごした鹿島から移籍。昨季は一昨季に比べて先発出場数が9試合減り、衰えは隠せないかと思いきやリーグ開幕から全試合先発出場が続く。36歳のブラジリアンは、「ゲームコントロールは彼に任せている」と長谷川健太監督からの信頼が厚い。

1試合平均タックル数3.2回(リーグ12位)、ロングパス成功率71%(1試合平均ロングパス数5.3回)のデータからも、攻守両面でカギを握る存在であることが垣間見える。そのため、相手チームも名古屋の“頭脳”を警戒。中盤の底の選手であるにもかかわらず、被ファウル数は24とリーグ5番目に多いのだ。

チームは13位と状況は良くないが、老獪なプレーメーカーのパフォーマンスは冴えている。

トリを飾るのはスペインの至宝、アンドレス・イニエスタ。5月11日の誕生日で38歳、アラフォーに差し掛かり、負傷やコンディション調整のため出番は限られているとはいえ、異次元のテクニックは錆びつかない。

誕生日直後の13節・鳥栖戦では1得点1アシスト。左クロスを完璧なトラップで受けて右足で先制ゴラッソ、続いて汰木康也の得点を優しいタッチの右足アウトサイドキックで導く。勢いに乗った神戸は2点を加え、ゴールラッシュで待望の今季リーグ戦初勝利を飾る。

Jリーグ公式のデータ、PA内へのスルーパス成功+PA内からのクロス成功+ラストパスの合計値を出場試合数で割った数値「1試合平均チャンスクリエイト数」は、現在2.3のリーグ6位。このスタッツは、ボックス内でのプレー精度、質が高い証し。フル出場でなくともコンスタントに試合に絡めば、攻撃のタクトを握り、リーグ17位に沈むチームを救ってくれるに違いない。

こうして見ていくと、DF以外のポジションで「アラ35」外国籍プレーヤーたちの躍動が顕著であることが分かる。ただ、外国籍選手の高齢化が進む一方で、海外から「日本ではベテラン助っ人でも容易く試合に出られる」という印象を持たれても良くない。ハイレベルの魅力的なリーグであることが、Jリーグの発展には必要だからだ。

そのためにも、同僚の日本人選手たちは彼らを良いお手本としつつも、スタメン争いを挑まなければならない。

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