キルロードの課題

高松宮記念 馬場/展開バイアス:−,ⒸSPAIA


【高松宮記念】
開催最終日、かつ深夜まで降り続いた雨の影響で重めの馬場コンディションでの競馬。ただ、内目が極端に悪くなることもなかったため、極端なトラックバイアスは認められない。レースはレシステンシアが先手を取って前後半3F33.4-34.9。前傾1.5秒は過去10年で3番目に速いペースだが、向正面追い方向の風が吹いていたことを考慮すれば例年とそう差のない展開だっただろう。

3着馬キルロードは3番手からしぶとく粘って17番人気の下馬評を覆す。パフォーマンスを落とした馬が多かったことも事実だが、今回のメンバーであれば実績通り地力上位の評価を与えるのが妥当だろう。ただ、詰めて使った方がいいタイプで、中3週以内で(3.5.2.1/11)の好実績。今回は高松宮記念以来の実戦となる点が課題だろう。

13着馬ライトオンキューはキルロードの内で流れに乗ったが、直線で伸びきれず。過去最高馬体重タイ、かつ初ブリンカーなど敗因を一つに絞ることはできないが、7歳馬だけに全盛期ほどの走りは期待しづらいか。

17着馬レイハリアはレシステンシアにハナを叩かれ、少々スムーズさを欠く競馬に。直線でも挟まれる不利を受けており、着順ほど悲観する内容ではなかっただろう。

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。

GⅠ級の好時計

【春雷S】
1着馬ヴェントヴォーチェは好位馬群で我慢を利かせ、直線では逃げ馬を楽々交わして3馬身差の快勝。勝ち時計1.06.8は2012年スプリンターズSでのロードカナロアに0.1秒差まで詰め寄る好時計で、当時の2着馬カレンチャンとは同タイムだ。骨瘤等で出世が遅れたが、地力は重賞クラスでもヒケを取らないだろう。

ナムラクレアの距離適性

【桜花賞】
忘れな草賞と同日の開催。本レースは外回りの芝1600m戦ではあったが、内回りと同様に内の馬のアドバンテージが大きいトラックバイアスであった。「内有利」。レースはカフジテトラゴンが先手を取り、前半1000mを桜花賞の過去10年平均と同じ58.8秒で通過。内有利のトラックバイアスの分やや前が有利ではあるが、展開による極端な有利不利はなかっただろう。

3着馬ナムラクレアは1枠1番からの好位粘り込み。トラックバイアスの恩恵は大きかっただろう。ただ、本馬は3代母Coup de Genie、母父Storm Cat、父ミッキーアイルというスピード血統だけに、芝1200mに替わってのパフォーマンスアップは大いに期待できそうだ。

新興勢力に期待

ヴェントヴォーチェは前走春雷SがGⅠ級の好時計。胸が深く腹袋も立派で、タフな消耗戦には滅法強いタイプだ。逃げ馬の多い今回のメンバーなら持ち味が存分に活きるだろう。3歳牝馬ナムラクレアは距離短縮が魅力。トラックバイアスが味方したとはいえ桜花賞3着も立派で、適距離ならさらに高いパフォーマンスが期待できるだろう。

注目馬:ヴェントヴォーチェ、ナムラクレア

ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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