3分の1が引き分けの異例のシーズン

今季J1リーグは、例年と比べて引き分け試合が多い。延長戦が廃止された03年以降、リーグ全体の引き分け数の比率は25%前後で推移し、30%を超えたシーズンはない。ところが今季ここまでの比率は33%、おおよそ3試合に1試合がドローになる異例の多さなのだ。

中でも、引き分けを示す「△」コレクターになっているのがサガン鳥栖、浦和レッズ、北海道コンサドーレ札幌の3チーム。16節までの結果一覧には鳥栖と浦和が9つ、札幌が8つの△が並ぶ。実に半分以上の試合で勝ち切れておらず、勝点でいうと16〜18点も逃している…。

3チームの引き分け試合スコア


J1最多引き分け数は、昨季の湘南ベルマーレが記録した「16試合」。ただし、新型コロナウイルスの影響による特別措置で前年にJ2降格が発生せず、20チームが参戦したシーズンだったため、例年より4試合も多かった。今季と同じ18チーム、全34節の戦いでは20年の鳥栖の「15試合」が最多となる。

その一昨季の鳥栖は、16節を終えた時点では5分けだった(21年の湘南は同時点で7分け)。すなわち数字だけを見れば、今季の△コレクターたちは、最多記録を更新する可能性が十分あるわけだ。

沼から抜け出しそうなサガン鳥栖の兆候

プロとして喜べない最多記録を、2年ぶりに鳥栖が塗り替えるかもしれない。今季は開幕から3戦連続ドローのチームが、鳥栖をはじめ、札幌、サンフレッチェ広島、アビスパ福岡の4つもあった。

過去に3チームで同じ事象は起きたが、4チームは史上初めてのこと。その後、鳥栖は2戦連続引き分けが2度あり、5勝6分け2敗とドローが先行。順位は8位で上位を追う。

引き分けた9戦の内訳を見みると、0-0が5試合と最も多い。走行距離、スプリントの両トラッキングデータの首位に立ち、自慢の走力で全方位からボールを奪いにかかる堅陣を張ってクリーンシートをつくり、総失点もリーグで5番目に少ない(16点)。

一方で得点力が低いのかと思いきや、総得点もリーグで5番目に多い(21点)。15節の鹿島アントラーズ戦では、3点リードから逆転され、後半アデショナルタイムに追いつくという4-4の壮絶な打ち合いを演じている。

チームコンセプトとして走力への依存が高いだけに、猛暑の夏場を乗り切れるかの不安はある。ただ、攻守のバランスをより磨いていけば、引き分けの沼から抜け出せるのではないだろうか。

沼にドはまりの浦和レッズ、得点力が鍵に

浦和は、5節ジュビロ磐田戦(4-1)からACLを挟んで3か月近く、J1の舞台で勝利から遠ざかっている。その間、実に8分け1敗。14節の対鹿島を1-1で終えたことで、同一シーズン7試合連続引き分けの新記録を達成した(福岡は昨季35節から今季3節のシーズンまたぎでタイ記録)。

とはいえ、暫定首位の横浜FMとは3点のビハインドを追ってからキャスパー・ユンカーがハットトリックを達成して3-3、先の2位・鹿島、4位・柏レイソルとの上位陣との対戦も同点に。ゲーム運びも勝てないのが不思議に思うくらい、基本的にはコントロールできている。総失点数も鳥栖と同じ16点と少なく、半分近くの7試合がクリーンシートだ。

そう考えると、いわゆる塩試合を演じる諸悪の根源になっているのは「ゴール数」だろう。総得点は15点で下から数えて4番目。守備がある程度堅く、得点力が伸び悩んでいるのは危ない症状といえる…。20年、21年の「引き分け王」鳥栖も湘南も、同じ症状が見られていたからだ。

20年の鳥栖はシーズン終了時に総失点7位・総得点15位、同じく21年の湘南は総失点9位・総得点15位の成績であり、それぞれ5位と12位(札幌、清水エスパルスも並ぶ)の今の浦和と重なる。本気で得点力アップの策を講じなければ、このまま勝ち方を忘れて、引き分けロードを歩み続ける恐れがある。

重症化の危険性をはらむ北海道コンサドーレ札幌

8分けの札幌は、6節に浦和と1-1で引き分け、開幕6試合連続ドローのJ1記録を更新した。トンネルを抜けた後は引き分けが減り、4勝2分け4敗とイーブンの成績を収めているが、直近2戦は連敗と決していい状態ではない。

引き分けの中身は、無得点ドローは3試合と比較的少なく、1-1、2-2で終えたゲームが計5試合ある。さらに深掘りすると、その5戦中の3戦で先制後、相手の反撃を受けて同点劇を演じられ、耐久性のなさを露呈した。

また、攻撃陣に興梠慎三らケガ人がいる影響もあるが、追加点を奪うだけのパワーも足りない様子。それらが総得点15点(リーグ12位)、総失点26点(リーグ最下位)の数字に表れている。

現在の順位は11位と14位の浦和よりも高い位置にいるが、このまま攻守両面の軸がぐらつけば、ドローではなく負けが込み、下位へ飲み込まれる危険性も。どうテコ入れを図るのか、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督の腕の見せ所である。

これだけ引き分けが多いのは、王者・川崎Fがすでに4敗を喫するなど、J1各チームの実力が例年以上に拮抗しているからかもしれない。ただ裏を返せば、“決めるべき時に決められる”選手が少ないのも事実。特に日本人ストライカーたちの奮起が待たれる。

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