レース序盤から主導権を握ったのはレッドブル

高速と低速が混在し、道幅が狭いストリートサーキットが舞台の第8戦アゼルバイジャンGP。これまで2勝したドライバーがいないというリザルトを見れば、毎戦荒れるレースになることがわかるはずだ。

前戦悲願のモナコ制覇を成し遂げたセルジオ・ペレス(レッドブル)が勢いそのままに、アゼルバイジャン初の2回目の優勝者となるのか。昨年ここでトップを快走しながらもタイヤバーストで優勝を逃したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がリベンジを果たすのか。はたまた、4戦連続のポールポジションを獲得したシャルル・ルクレール(フェラーリ)が流れを変えるのかに注目が集まった。

スタート時の気温は25度で、上位11名がミディアムタイヤをチョイス。中古のミディアムを履くセバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)を除き、残りの上位10名は新品のミディアムを選択した。

スタートでは2番手スタートのペレスがルクレールをパスし、トップで1コーナーへ。ペレスはオープニングラップで2位のルクレールに対し、1秒2をつけたスタート。1周目で高い集中力を見せる。

DRSが使用可能になると、3位のフェルスタッペンがルクレールに迫っていく。ルクレールもコーナリングの速さを活かし、セクター1、2で差を広げ、長いホームストレートでもフェルスタッペンの先行を許さない。

ルクレールとの差を2秒に広げたところでペレスがタイヤをもたすためにペースをコントロールし、上位3台は1分48秒7のラップタイムで周回を重ねていく。

咄嗟の作戦を決めレッドブルに挑むルクレール、しかしまたしても……

9周目のターン4でカルロス・サインツ(フェラーリ)がコースオフし、ストップ。油圧のトラブルにより戦線を離脱した。このトラブルにより、VSC(バーチャル・セーフティカー)が出された。

ここで2位のルクレールがピットイン。残り41ラップをハードで走り切る作戦に出た。もしくは、さらなるイエローを見越しての作戦とも言える。さらにジョージ・ラッセル(メルセデス)、ピエール・ガスリー(アルファタウリ)など、レッドブル以外の上位勢はみなVSC中にピットインを敢行した。

15周目、ハードタイヤに交換したルクレールが上位2台に迫っていく中、1コーナーでフェルスタッペンがペレスをオーバーテイク。17周目にピットインしたペレスは、5.7秒と少し手間取り3位で復帰。19周目にピットインしたフェルスタッペンは2番手で復帰することに成功した。

20週目、なんとトップを快走していたルクレールがエンジンブロー。なんとかピットロードまで戻り、イエローが振られることはなかったが、フェラーリにとっては今季初の全滅となった。4戦連続でポールポジションを獲得しながら、またしても勝てなかったルクレール。チャンピオン争いを考えると非常に痛いリタイアとなった。

23周目、まだピットに入っていないオコンに抑え込まれていた角田裕毅(アルファタウリ)だったが、ついにオーバーテイク。同じくして中団グループで快走していた周冠宇(アルファロメオ)が、トラブルでピットインしリタイアした。

レース半分の26周目、フェルスタッペンとペレスの差が6秒に拡大する。3位にはラッセルがつけ、自己ベストを出しながら快走。ルイス・ハミルトン(メルセデス)も5位まで上がり、メルセデス陣営のレースラップが良い。

レッドブルが圧巻の1-2フィニッシュ

33周目、ケヴィン・マグヌッセン(ハース)がスローダウンし、ストップ。フェラーリPU勢4台がリタイア。このトラブルでVSCとなった。ここでフェルスタッペンとペレスがピットインし、ともにハードタイヤへの交換で盤石の体制となる。メルセデス勢も続くなか、アルファタウリはステイアウトし、ガスリーが4位、角田が5位となった。

35周目にレースがリスタートすると、タイヤの新しいハミルトンが角田をパスし5位に浮上。その角田にリアウィングのフラップの右半分が開かないDRSのトラブルが発生したため、ピットイン。修理を指示するブラックアンドオレンジフラッグが出され、角田は13番手でコースに復帰した。

ステイアウトし30周以上同じタイヤで走行するガスリーに、タイヤを交換したハミルトンが迫る。なんとか抵抗するガスリーだったが、44周目のターン3でハミルトンが前に出て4位に浮上。これでメルセデス勢が3-4体制となった。

トップチェッカーを受けたのはフェルスタッペン。僚友ペレスに20秒差をつけての圧勝劇だった。2位にはペレスが入り、レッドブルが1-2フィニッシュで5連勝を達成。ライバルのフェラーリがノーポイントのなか、最大ポイントを獲得しチャンピオンシップでも大きな勝利となった。

フリー走行からポーパシングで苦しんでいたメルセデス勢だったが、サバイバルレースを生き残り3-4。安定したリザルトを残したものの、ポーパシングの影響は大きいようで背中の痛みを訴えていたハミルトンは、レース後マシンから抜け出すにも一苦労だった。

昨年に引き続き、上位フィニッシュを果たしたガスリーが5位。低迷していたガスリーにとって弾みをつける結果となった。一方、DRSのトラブルがなければガスリーに次ぐ6位でのフィニッシュが確実だった角田は、悔しい結果に終わった。

次戦は1週間後のカナダGP。時間がないなか、フェラーリは相次いで起こったPUトラブルと油圧系のトラブルを解消することができるだろうか。フェラーリの英雄、ジル・ヴィルヌーブの名前がつくサーキットで、フェラーリが復活を果たす姿も見てみたいものだ。

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