ハイペースの差し決着

4年連続格上挑戦馬が優勝しているマーメイドS。ハンデ戦、内回り2000m、梅雨シーズンなどが重なり、能力だけではなく適性や調子が非常に重要な一戦である。今年も多くの格下馬が登録してきたが、中には除外対象馬もいるため、まずは実績上位組の参考レースを振り返っていきたい。

【エリザベス女王杯】
連続開催、かつ週中の降雨の影響でタフな馬場状態。レースはシャムロックヒルが先手を取ってすんなり隊列が決まるかと思ったが、ロザムールが主張したため前半3F34.1と速い流れに。道中も緩むことはなく、牝馬限定戦にしては非常にタフな競馬となった。結果的に道中でジッと脚をタメた馬が上位を独占する形に。後有利。

3着クラヴェルは後方のラチ沿いで脚をタメ、向正面で前が開いてもジッと我慢。その分、直線は鋭く伸びて接戦の3着まで浮上した。やや脚を余し気味ではあるが、この競馬なら仕方ないだろう。ただ、展開が向いた感は否めないか。

4着ソフトフルートも後方で脚をタメ、直線は馬群を縫って追い上げる形。クラヴェル同様に展開利は大きい。

5着イズジョーノキセキは掲示板内の馬の中では最も前の位置取り。着差も考慮すると、クラヴェルやソフトフルートとの力関係は逆転可能と見る。

12着ムジカは後方で脚をタメたが、直線も目立った脚は使えず。力差を見せつけられた形か。

中京芝2000mでのスタミナ勝負

2022年マーメイドステークス出走馬の通過位置,ⒸSPAIA


【愛知杯】
積雪の影響で金曜発表時点では稍重馬場だったが、土曜の開催時には良馬場に回復しており、平均程度の時計も出ていた。内外のトラックバイアスも見られず。

レースはアイコンテーラーが引っ張る形で前後半1000m62.3-58.7のスローペース。しかし、中京芝2000mという舞台自体が牝馬には厳しい条件。展開のわりにスタミナが求められる競馬であっただろう。その証拠に距離短縮馬5頭中4頭で1〜4着独占、さらに芝2200m以上勝利実績馬4頭中2頭でのワンツー決着となった。

1着ルビーカサブランカは2008年秋華賞2着馬ムードインディゴの仔であり、2020年阪神大賞典勝ち馬ユーキャンスマイルの全妹という血統。牝馬限定戦では距離が延びるほど優位性が高く、スタミナが求められる条件なら今後も注目の1頭だろう。

2着マリアエレーナは逃げ馬の直後で楽をできた点は大きいが、クロフネ産駒らしく粘り腰でルビーカサブランカとは頭差。斤量差と成長分を考慮すると勝ち馬との力関係は逆転しても不思議ではない。

4着ソフトフルートは後方待機策から上がり3F最速の末脚。展開が変われば着順も入れ替わる力関係であり、本馬がエリザベス女王杯組との物差しになるだろう。

5着馬アイコンテーラーは斤量51キロでの楽逃げ。さすがに展開利が大きかったか。

今年も格上挑戦馬には要注意

マリアエレーナは愛知杯でルビーカサブランカと接戦の2着。しかも、当時はルビーカサブランカの方が斤量が1キロ軽く(今回は同斤量)、成長曲線からも今回は本馬にアドバンテージがある。牝馬限定戦なら地力上位だろう。現時点で除外の可能性があるが、イズジョーノキセキにも注目。エリザベス女王杯後は3勝クラスでくすぶっているが、距離延長で2、3、2、5着と好成績を挙げている通り距離は延びた方がいいタイプ。距離延長、かつ軽斤量ならチャンスありそうだ。

注目馬:マリアエレーナ、イズジョーノキセキ

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。

ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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