東京五輪代表は惨憺たる結果に

陸上の「リレー侍」こと、男子400メートルリレーの日本代表メンバーが大きく替わりそうだ。今夏の世界選手権(米オレゴン)代表選考会を兼ねて開かれた日本選手権では、新戦力が台頭した一方、これまでリレーを支えてきた「常連」がふるわなかった。新しいリレー侍は、誰になるのか。

男子100メートルは予想外の結果となった。昨年の東京五輪の男子400メートルリレーメンバーは1人も表彰台(3位以内)に上がることができなかった。

東京五輪の1走で昨年の日本選手権覇者でもある多田修平(住友電工)は10秒41で準決勝敗退。左太もも肉離れのケガから完全に回復することが出来なかった。

2走だった山縣亮太(セイコー)はケガで欠場。3走の桐生祥秀(日本生命)は10秒27で6位だった。準決勝は着順では決勝に進めず、タイムでかろうじて救われるなど、本調子とはかけ離れた走りだった。

アンカーの小池祐貴(住友電工)が4人の中では最もタイムがよくて10秒19。それでも4位だった。ちなみに、リレーのサブメンバーで入っていたデーデー・ブルーノ(セイコー)も10秒25で準決勝敗退。東京五輪のリレー侍は100メートルでことごとく敗れ去った。

サニブラウンが復活優勝、3位には強心臓の柳田大輝

優勝したのはヘルニアの影響で東京五輪出場を逃したサニブラウン・ハキーム(タンブルウィードTC)だった。東京五輪のエース候補だった23歳は10秒08で3年ぶりの頂点に。準決勝では世界選手権の参加標準記録を100分の1秒上回る10秒04をマークし、今回日本選手権男子100メートルで唯一の世界選手権代表内定を勝ち得た。

サニブラウンの優勝は予想通りだったが、2、3位の選手はフレッシュな顔ぶれとなった。

2位は24歳の坂井隆一郎(大阪ガス)が10秒10の自己ベストで入った。関大出身で社会人3年目となる坂井はそこまで知られた存在ではなかった。これまでの自己ベストは大学4年でマークした10秒12。学生時代の全国タイトルと言えば2019年の日本学生個人選手権ぐらいだった。

社会人に入って伸び悩んでいたが、昨年になって10秒1台で再び走れるようになり、今季も10秒2台を出すなど、好調をキープしていた。スタートダッシュを得意とするスプリンターだ。

3位は大学1年生の柳田大輝(東洋大)が入った。高校2年の時から日本選手権で2年連続7位に入った若手のホープ。東京五輪はリレーメンバーの補欠だった。普段は桐生と練習する18歳は決勝で10秒16の自己ベストをマークした。練習では桐生に「世代交代ですか」と話すなど、先輩をいじる強心臓の一面を持つ。

200メートルは社会人1年目の上山紘輝が優勝

リレーメンバーを選ぶのは100メートルの結果からだけではない。同じ短距離種目の200メートルの結果も考慮される。その男子200メートルも意外な結果が待っていた。

優勝したのは近大卒の社会人1年目、上山紘輝(住友電工)だった。タイムは自己ベストタイの20秒46。上山は学生時代に大きなタイトルはなく、いきなり日本王者に登りつめた。

100メートルは得意ではなく、200メートルのスペシャリスト。世界選手権参加標準記録の20秒24は突破していないものの、世界ランキングでの出場は可能な位置にいる。リレーでもメンバー入りの可能性は高い。

200メートルで2位に入ったのは100メートルで4位だった小池。この結果からも、小池がリレーメンバーに入ることは間違いない。昨年の東京五輪を知るスプリンターは、1人は必要で、それは小池になるだろう。走りを見ると本調子とは言えないが、東京五輪のメンバーから総入れ替えになるのは避けたいところだ。

坂井隆一郎の1走、エース・サニブラウンの2走は堅い

誰がどこを走るのだろう。

1走はスタート型の選手が担う。これまでは山縣、多田がその役目を果たしてきたが、今回の日本選手権の結果を見ると、坂井しかいないだろう。

2走はエースで、かつ200メートルも走れるような選手が理想だ。となれば、サニブラウンが適当だろう。

3走、4走は微妙だが、東京五輪でもアンカーだった小池が4走、若い柳田が3走ではないだろうか。200メートルが本職の小池がカーブを担う3走、直線で柳田の走力を活かす手もあるだろうが、経験のある小池をアンカーに置く方がチームがまとまるかもしれない。

リレーの代表メンバーは、6月30日ごろに決まる予定だ。東京五輪では金メダルを期待されながら途中棄権に終わった日本代表。リレー侍が新たなスタートを切る。

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