1日最大80球、連続する2日間で120球以内

近年、野球を取り巻く環境が大きく様変わりしている。一昔前の投手は先発完投が美学とされてきたが、今では分業制が確立。高校野球では怪我防止を目的として球数制限やタイブレークなどが導入されてきた。

それは中学野球も例外ではない。これまで数多くのプロ野球選手を輩出してきたボーイズリーグは2022年、イニングによる投球制限から、1日最大80球、連続する2日間で120球以内とするガイドラインを制定した。

連続する2日間で80球を越えた場合は、3日目の投球禁止、3連投(連続する3日間)する場合は1日の投球数を40球以内とし、4連投(連続する4日間)は禁止するなど、選手の肩肘を守るために、球数制限によるルールの細分化に踏み切った。

投げ込みは1日40〜50球、週250球程度

これまで全国大会に春夏合わせて10度出場している福岡県北九州支部の強豪・八幡南ボーイズの徳野晴美監督(67)も、球数制限導入に賛同する。

「怪我をさせたら終わり。だから、今の時代は投げ込みとかはできない」。東筑高校から専修大学に進み、JR九州では監督も務めた経験を元に、その時代に合わせた指導を行ってきた。

以前は投手陣に1日に100球、土日の試合も含め、週に500球ほどの投げ込みを課していたが、近年では1日40〜50球、週に250球ほどになったという。

「土日に試合があると、月曜がノースローで、火曜は練習が休み。水曜は投げさせるか投げさせないかこちらが決める。週末の試合が雨で中止になると、週に3、4日はノースローになる」と苦笑いを浮かべる。

1年生全員に投球練習、1学年で投手8人目標

球数制限導入によって大事になってくるのが、投手の頭数だ。ボーイズリーグはダブルヘッダーが組まれることが多く、投手は何人いても困ることはない。そこで徳野監督は、入団した1年生全員に投球練習をさせ、1985年ドラフト1位で近鉄に入団した東筑高校の後輩でもある桧山泰浩投手コーチに適性を見極めさせる。

施設も充実しており、雨天時でも練習できる室内練習場や、4人が同時に投げられるブルペンを2カ所完備。1学年で8人ほどの投手育成を目指している。

4人ずつ投げられるブルペン

筆者提供


もちろん、全国大会出場を念頭に練習を行うが、一番の目的は、怪我なく高校へ送り出すことだ。そのため、八幡南ボーイズでは、ウォーミングアップで棒を使ったストレッチや、反復横跳びなどを1時間かけて入念に行い、怪我の防止や基礎体力向上を図る。

また、定期的に管理栄養士による栄養指導講習会を行い、食育の大切さを父兄や部員に伝えている。

「自分がこれまで培ってきた根性野球を否定はしません。ただ、投げ過ぎで肘と肩を痛めて野球を辞めていった同級生もいっぱいいる。今は科学的なトレーニングもある。これだけバッティング技術も上がっているんだから、投手一人じゃもちませんよ」。

野手はフラフープを使い、ゴルフスイングのような体の使い方を意識付け

外野手出身の徳野監督は、野手の育成にも力を注ぐ。「投手と違って打者はバットを多く振ったからといって腰が痛くなることはないから。野手の指導法は何も変わっていない。バットを振って、毎日ノック」と笑うが、ここでも自身の指導法をアップデートさせてきた。

「スイングの仕方が変わったよね。俺達の時代は杭を打つように上から打てと言われてきたけど、今は違う。(球筋の)ラインにバットの軌道を入れなさいという教え方をしている」。そのため、フラフープを使い、大げさに言うとゴルフスイングのような体の使い方を意識させているという。

フラフープを使って行う打撃指導をする徳野監督

筆者提供


「練習は厳しく、公式戦は楽しく」をモットーとする八幡南ボーイズは、3学年で60人ほどの部員数をキープし続けているが、近年の少子化による野球人口の減少により、人数が足りずに試合ができないチームも少なくない。それによって指導者が不足していくことも危惧している。

「こういう組織は国がちゃんと補助しないといけない。野球の監督やコーチはみんな無報酬。若い人たちがしっかり教えたくてもできない」。怪我を防ぐためのルール改正ももちろん大切だが、選手や指導者がいてこそ成り立つのもまた事実。その裾野を広げ、守っていくことこそが野球界の発展につながっていく。

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