4歳中心もデータは5歳優勢

夏の函館が開幕し、すっかり夏モードのなか、上半期最後の大レース・サマーグランプリ宝塚記念を迎える。例年は休養に入るGⅠ馬もちらほらおり、宝塚記念は手ごろな頭数になることが多い。フルゲートになったのは07、10、20年(10年はコパノジングー取消)の3回。

ところが今年は登録馬がフルゲートの18頭を超え、除外対象が出るという状況。回避馬がなく、最終的に除外が出れば、記録にある限り宝塚記念では初となる。なおフルゲートだった3回の3着以内の人気は3、2、4番人気、8、1、3番人気、2、6、12番人気となっている。データは過去10年間のものを使用する。


過去10年宝塚記念人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気は【3-2-1-4】勝率30%、複勝率60%とまずまず。回数が1着>2着>3着なので、1番人気から入るのであれば、アタマで強気に攻めたい。2番人気【2-1-2-5】勝率20%、複勝率50%、3番人気【2-0-0-8】勝率、複勝率20%。中位も馬券圏内に来るが、10番人気以下【0-2-3-47】複勝率9.6%で穴馬の大駆けも十分ある。


過去10年宝塚記念年齢別成績,ⒸSPAIA


主力は5歳【7-5-4-36】勝率13.5%、複勝率30.8%で数字の並びもきれい。今年はタイトルホルダー、エフフォーリアらが主役だが、4歳【3-1-6-29】勝率7.7%、複勝率25.6%。やや3着が多めな点は気になるところ。6歳【0-3-0-24】複勝率11.1%まではケアしたいが、基本的には5歳、4歳で組み立てるのが理想か。


ディープボンド逆転はあるか

紛れやすい阪神内回り芝2200mという舞台らしく、5歳の経験が4歳の勢いを上回るという輪郭が浮かび上がったところで、ここからは前走成績を中心に傾向をつかんでいく。

過去10年宝塚記念前走レース別成績,ⒸSPAIA


前走レース別成績をみると、天皇賞(春)【4-3-2-30】勝率10.3%、複勝率23.1%、大阪杯【2-1-1-10】勝率14.3%、複勝率28.6%が中心(GⅡ時代除く、以下同じ)。この10年、前走天皇賞(春)組の全滅は19、21年のみ。大阪杯はGⅠ昇格後の17年以降で全滅は18年の1回。この年はサトノダイヤモンド1頭しか出走していなかった。17年以降どちらも全滅という年はなく、この2レースを重視したい。

過去10年宝塚記念前走天皇賞(春)組着順別成績,ⒸSPAIA


まずは天皇賞(春)について。ここは間隔も詰まり、求められる適性が変わってくるので、凡走もあり得るローテ。それが着順別成績に出る。天皇賞(春)1着は【0-0-1-4】複勝率20%。そもそも1着馬の出走が少ない。宝塚記念が半分夏休みモードなのはこういったところ。16年キタサンブラック3着が最高。同馬も翌年は同ローテで9着。間隔が詰まる上に適性も違うとなると、やはり調整が難しい。2、3着【0-0-0-10】もそれを示す。

成績がいいのは4、5着(各1勝)もしくは6〜9着【1-2-1-7】勝率9.1%、複勝率36.4%。10着以下も【1-1-0-4】勝率16.7%、複勝率33.3%。つまり3200m戦にフィットしなかった、適性が中距離寄りだった馬の巻き返しが目立つ。4着ヒートオンビート(除外対象)、5着アイアンバローズ、6着マイネルファンロン、9着メロディーレーンが浮上する。

過去10年宝塚記念前走天皇賞(春)組人気別成績,ⒸSPAIA


ではファン投票1位タイトルホルダーはどうか。正直、2500mの日経賞をスローペースの上がり勝負で逃げ切った戦歴から2200mで割り引いていいか迷うところ。続戦さえ問題なければ、宝塚記念向きのスタミナはある。

そこで前走天皇賞(春)の人気別成績を出すと、2番人気【1-0-1-5】勝率14.3%、複勝率28.6%。困ったことにますます微妙。だったら1番人気【2-0-0-1】勝率66.7%に該当するディープボンドはどうだ。前走2着【0-0-0-5】は気になるものの、宝塚記念と結びつきが強い有馬記念で2着。速い上がりを必要としない舞台設定ならこちらも評価したい。

過去10年宝塚記念前走天皇賞(春)組脚質別成績,ⒸSPAIA


なんとかタイトルホルダーに追い風になるデータを探す。ここまでくると無理筋な気もしなくもないが、前走天皇賞(春)の位置取り別成績をみると、逃げ【0-1-1-1】複勝率66.7%。12年ビートブラック9着を除けば、16年キタサンブラック3着、20年キセキ2着。この2頭は天皇賞(春)2、3番人気でタイトルホルダーと重なる。


エフフォーリア復権と海外組について

次に大阪杯組について。こちらは同じ競馬場の200m違いで天皇賞(春)と比べても親和性が高い。加えて天皇賞(春)をスキップすると、出走間隔も十分とれる。

過去5年宝塚記念前走大阪杯組着順別成績,ⒸSPAIA


ということで、天皇賞(春)とは違い、大阪杯の結果がそのまま宝塚記念に結びつく。昨年のレイパパレのように1着こそ【0-0-1-2】だが、2着が【1-1-0-1】勝率33.3%、複勝率66.7%。ただし、今年2着のレイパパレは登録せず。6〜9着【1-0-0-4】勝率20%まで入れると、1着ポタジェ、7着アフリカンゴールド、9着エフフォーリアが候補にあがる。

エフフォーリア復権はもちろん期待したいが、大阪杯9着はどうしても気になるところ。状態がいま一つだったようで、どこまで立て直せるか、とにかく陣営の手腕を見守りたい。また3、4着のアリーヴォ、ヒシイグアスもデータが乏しく、どちらも中距離型で評価は落とせない。

過去5年宝塚記念前走大阪杯組脚質別成績,ⒸSPAIA


大阪杯の位置取り別成績は先行【1-1-0-2】勝率25%、複勝率50%、中団【1-0-0-3】勝率25%。後方とまくりで【0-0-0-5】。後ろから進んだアリーヴォは平坦ベストなだけにやや苦しい。できれば先行がいいので、エフフォーリア、ヒシイグアスに一目を置きつつ、ポタジェ、アフリカンゴールドをあげたい。

一方で前走大阪杯4番人気以内【2-1-1-3】、5番人気以下【0-0-0-7】とここもグランプリレースらしく人気者が強い。このデータで浮上するのが前走1番人気のエフフォーリア。ポタジェなどほかの出走馬は全て5番人気以下。エフフォーリアのような大阪杯上位人気、6着以下から巻き返した馬というと、17年1着サトノクラウンがいる。

ほかの国内GⅠではVマイル【0-0-3-5】複勝率37.5%。今年は6着だったデアリングタクトが出走予定。Vマイル6〜9着は【0-0-2-3】複勝率40%。この馬とて状態を戻して中距離戦となると侮れない。

最後にオーソリティ、ステイフーリッシュ、パンサラッサの前走海外組について。ドバイシーマクラシック【1-1-2-6】勝率10%、複勝率40%、ドバイターフ【0-0-0-1】、ドバイゴールドCは出走例なし。「海外組」というくくりなら、前走3着以内【2-2-2-5】勝率18.2%、複勝率54.5%、この3頭いずれも勝機は十分ある。

宝塚記念インフォグラフィック2,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。



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