中長距離の有力馬が集結

今週は上半期競馬の総決算・宝塚記念。昨年の年度代表馬エフフォーリアや、菊花賞と天皇賞(春)を制したタイトルホルダーといった4歳の有力馬が激突する。さらに三冠牝馬デアリングタクト、ドバイターフを制したパンサラッサ、同じく海外帰りのオーソリティなども参戦。5歳のディープボンドは天皇賞(春)で2着2回、有馬記念でも2着など善戦が続いているが、ここで悲願のGⅠ制覇を目指したいところだ。

過去にはサイレンススズカやメジロライアン、メイショウドトウやナカヤマフェスタといった名馬たちが、ここでGⅠ初制覇を果たしてきた。もちろんディープインパクトやオルフェーヴル、テイエムオペラオーやグラスワンダーといった実績馬も勝利している、魅力溢れる一戦だ。今回は宝塚記念の歴史を振り返る。

昨年1番人気が6連敗を脱出

宝塚記念過去5年間の優勝馬,ⒸSPAIA


ここ5年で1番人気は1勝。2020年サートゥルナーリア(4着)、2018年サトノダイヤモンド(6着)、2017年キタサンブラック(9着)など、2015年〜2020年まで1番人気馬が6連敗を喫していたが、昨年クロノジェネシスがその流れを断ち切った。過去にはディープインパクトやオルフェーヴル、サイレンススズカらが1番人気で勝利している。

2018年には7番人気ミッキーロケットが勝利。2着には香港のワーザー(10番人気)、3着には重賞未勝利馬ノーブルマーズ(12番人気)が食い込み、三連単の配当は4925.6倍にのぼった。他にも2020年には12番人気モズベッロが3着、2021年には7番人気ユニコーンライオンが2着など、伏兵の好走は少なくない。

また、2017年1着サトノクラウン、2着ゴールドアクターの関東馬ワンツー以降、関東馬が馬券圏内に入ったことはない。2021年カレンブーケドール(4着)、2020年ブラストワンピース(16着)やグローリーヴェイズ(17着)、2019年レイデオロ(5着)、2018年サトノクラウン(12着)など、実力派が敗れている。

時代を切り拓いた名牝、スイープトウショウ

ここ3年はリスグラシュー、クロノジェネシス(2連覇)と牝馬が3連勝中。2021年は3着レイパパレ、4着カレンブーケドールと掲示板5頭のうち3頭が牝馬という結果になった。古くは1996年、1997年ダンスパートナー、1998年エアグルーヴと3年連続で牝馬が3着になり、2015年には10番人気デニムアンドルビー(2着)と11番人気ショウナンパンドラ(3着)が好走するなど、牝馬の躍進も目立つ一戦である。

そして2005年の勝者スイープトウショウもまた、牝馬である。この勝利は1966年エイトクラウン以来、39年ぶり史上2頭目の、牝馬による宝塚記念制覇という偉業であった。今は牝馬が強い時代と言われて久しいが、当時は中距離王道路線で牡馬を撃破する牝馬が登場したことは大きな衝撃だった。

スイープトウショウはデビュー戦から3歳シーズン終了まで、出走したレース全てが牝馬限定戦という一貫したローテーションを歩む。阪神JFや桜花賞で5着、オークスで2着など悔しい思いをした馬だったが、秋華賞で2004年桜花賞馬ダンスインザムードらを相手に勝利。念願のGⅠ制覇を果たし、続くエリザベス女王杯では1番人気5着に敗れたが充実したシーズンを過ごした。ここまで全てのレースで人気、着順どちらも上位5番以内に入り、気性の荒さなどはあれど非常に安定した戦績を残している。

しかし4歳シーズン開幕戦となった都大路Sで初めて牡馬と激突すると、1番人気に支持されながら重賞未勝利馬にも先着を許し、5着と敗北。掲示板は確保したものの、続く安田記念では同期ダンスインザムードが3番人気になるかたわらで10番人気と評価を落とす。そこで2着と波乱を巻き起こしたが、評価が盛り返すことはなく、宝塚記念では11番人気に甘んじていた。

2005年の宝塚記念はタップダンスシチーやハーツクライ、ゼンノロブロイなど牡馬の一線級が勢揃い。さらにアドマイヤグルーヴやスティルインラブとひとつ上の世代の名牝も参戦する豪華メンバーだった。レースでは、早めに仕掛けたリンカーンとゼンノロブロイをかわし、猛追してきたハーツクライをクビ差しのいでゴールイン。スイープトウショウとハーツクライという名馬同士の決着で、馬連は113.9倍の万馬券になった。

今年は見られるか、念願のGⅠ制覇

スイープトウショウの活躍は、3歳チューリップ賞からコンビを組んだ相棒・池添謙一騎手の存在が欠かせない。宝塚記念といえば、2003年ヒシミラクルと角田晃一騎手、2009年ドリームジャーニーと池添謙一騎手、2011年アーネストリーと佐藤哲三騎手、2016年マリアライトと蛯名正義騎手など「名コンビ」での勝利もことさら多い印象を受ける。

2001年に勝利したメイショウドトウと安田康彦騎手も、まさに名コンビだった。前年の宝塚記念2着から、天皇賞(秋)、ジャパンC、有馬記念、天皇賞(春)と、全て2着。テイエムオペラオーに負け続けた善戦ホースが念願の勝利をあげた感動の宝塚記念として、今もなお語られている。

今年も牝馬が好走するのか、GⅠ未勝利馬が悲願を達成するのか、それとも王道を歩んできたチャンピオンホースが強さを見せつけるのか──。今年の宝塚記念でどのようなドラマが待っているのか、ご注目いただきたい。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

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