マルゼンスキーやツインターボも制した一戦

宝塚記念はタイトルホルダーが完勝。既に証明済みだった長距離戦での強さだけでなく、中距離戦での実力もしっかりと示した。俄然、秋の凱旋門賞への期待が高まったというファンも多いだろう。

さて、今週はラジオNIKKEI賞。スプリングS3着のサトノヘリオス、デイリー杯2歳Sで2着のソネットフレーズ、毎日杯2着のベジャールらが激突。秋に向け、弾みをつけるのはどの馬か。

古くは「日本短波賞」や「ラジオたんぱ賞」というレース名で施行され、マルゼンスキーやダイナコスモス、ツインターボやシンコウラブリイらを輩出。現在の名前に改称された後もロックドゥカンブやアンビシャスらを送り出してきた。今回は、ラジオNIKKEI賞の歴史を振り返る。

2年連続で馬連の万馬券

過去5年のラジオNIKKEI賞勝ち馬,ⒸSPAIA


ここ5年間で1番人気は未勝利。2016年にゼーヴィントが勝利したのを最後に、1番人気馬は勝利を挙げられていない。2021年ボーデン(6着)や2020年パラスアテナ(4着)のように馬券圏外に敗れることも多く、この5年でも4頭の1番人気馬が4着以下という結果になっている。

2020年、2021年と2年連続で馬連の配当が万馬券になっていて、2019年も馬連が62.4倍と、波乱が続いている。2013年には8番人気ケイアイチョウサンと14番人気カシノピカチュウの決着で馬連404.6倍の4万馬券ということもあったように、馬券的な爆発力を秘めるレースと言える。

また、牝馬はここ5年間で11頭が挑戦しているものの、上述のパラスアテナをはじめ馬券圏内に入っていないのが現状だ。

波乱の立役者になるのはGⅠ経験馬であることが多く、上記のカシノピカチュウは前走NHKマイルカップ9着から巻き返していた。2021年に11番人気2着となったワールドリバイバルは皐月賞12着、2019年に9番人気2着となったマイネルサーパスはダービー11着。牝馬で最後に馬券に絡んだ2016年ダイワドレッサーも9番人気2着だったが、その前走はオークス8着であった。

今年のGⅠ経験馬は人気を集める馬が多そうだが、豊富な経験が大事な一戦ということは引き続き頭に入れておきたい。

長距離GⅠを3勝した名馬フィエールマン

過去のラジオNIKKEI賞の2着馬には名馬が多い。2020年2着パンサラッサは今年ドバイターフを制覇、2011年2着マイネルラクリマは京都金杯やオールカマーなどを制して現在は東京競馬場の誘導馬として人気を集めている。

さらに遡ると、2008年ジャパンC勝ち馬スクリーンヒーローや2006年菊花賞馬ソングオブウインドらも、ラジオNIKKEI賞で2着という戦績を残している。そしてソングオブウインド同様に菊花賞を制したのが、2018年の2着馬フィエールマンである。

フィエールマンの母であるリュヌドールはフランス馬で、イタリアのGⅠリディアテシオ賞を制するなど活躍した名牝。2004年ジャパンCにも挑戦し、ゼンノロブロイの7着に敗れたが、ヒシミラクルやハーツクライらに先着して適性を見せていた。そんな良血であるフィエールマンは新馬戦、条件戦の山藤賞を連勝し、デビュー3戦目となったラジオNIKKEI賞で重賞初挑戦・初制覇を狙った。しかしすでにオープン競走の白百合Sを制していたメイショウテッコンに半馬身差で敗れた。

メイショウテッコンも2019年日経賞を制するなど活躍を果たしたが、対するフィエールマンは2018年菊花賞と2019年天皇賞(春)、2020年天皇賞(春)とGⅠを3勝。3000m以上のレースでは無敗という圧倒的な戦績を残した。さらに2000m戦の天皇賞(秋)でもアーモンドアイに半馬身差まで迫る2着など、トップクラスの能力を示し続けたのだった。そんな才能豊かなフィエールマンですら、デビュー3戦目で制するには難しいレースだったと言えるのかもしれない。

フェノーメノ産駒オウケンボルトも参戦

近年、種牡馬の世代交代が進んでいる競馬界。フィエールマン産駒もいずれラジオNIKKEI賞に参戦してくるかもしれない。

今年はラジオNIKKEI賞2着馬スクリーンヒーローの血を引く、モーリス産駒のベジャールが出走予定。モーリスは昨年も3着馬ノースブリッジを送り出していて、相性は悪くなさそうだ。さらに昨年2着ワールドリバイバルの父であるエピファネイアは、サトノヘリオスやソネットフレーズといった有力馬を送り込む。

出走予定馬の1頭、フェノーメノ産駒オウケンボルトは母父オウケンブルースリ、母母オウケンサクラという血統。5代血統表にはスタミナ豊富なリアルシャダイの名前もあり、長距離戦での活躍に期待がかかる。ラジオNIKKEI賞から菊花賞へと向かうコースに乗れるよう、なんとしても好走を狙いたいところだ。

さまざまな才能を持つ馬たちが集まる一戦。経験豊富な馬が勝つのか、遅れてきた素質馬が勝つのか──。秋を睨んだ3歳馬たちの激突にご注目いただきたい。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

《関連記事》
・【ラジオNIKKEI賞】前走皐月賞は危険信号!? フェーングロッテン、ソネットフレーズで福島開幕ダッシュ!
・【CBC賞】ファストフォース最上位もコースデータからアネゴハダ、ロードベイリーフに好走サインあり!
・「ハンデ重賞」を東大HCが徹底分析! 「.5kg」は激走のサイン