「イチロー世代」では最多勝

現横浜DeNAベイスターズ監督、三浦大輔はイチローなどと同じ1973年度生まれだ。「イチロー世代」は、名球界入りを果たした小笠原道大や平成唯一の3冠王・松中信彦など素晴らしい実績を残した打者を輩出しているが、投手陣もそうそうたる顔ぶれだ。

イチロー世代(1973年度生まれ)投手の勝利数10傑を下表にまとめた。

1973年度生まれの投手 勝利数10傑,ⒸSPAIA

 

三浦が同世代では最多勝。なお、現楽天監督兼GMの石井一久はMLBで39勝しているので日米通算では石井が182勝で三浦を上回る。

外国人投手では広島、オリックスで投げたトム・デイビーの32勝が最多。セーブは薮田安彦の67だが、外国人を含めると横浜、巨人のマーク・クルーンの177が最多となる。ホールドは薮田の112が最多だ。また、三浦の172勝はNPB歴代では41位だが敗戦数184は12位、勝率.483と負け越している。しかし防御率は3.60と悪くない。

三浦が在籍していた1992年から2016年の横浜(のちDeNA)は、1513勝1906敗62分、平均順位4.68、勝率は.443であり、三浦はチーム勝率を上回る勝率を残している。見方を変えれば、好投しても打線の援護がないなどで、勝利に結びつかない試合が多かったということだ。

同じ期間の巨人の勝率は1870勝1540敗70分、平均順位2.16、勝率.548。巨人の勝率はDeNAより1割ほど高い。もし三浦が巨人に在籍していれば、通算勝利数は211勝程度となり、名球会入りしていた可能性もあっただろう。

球団歴代投手では勝利数3位

三浦は奈良県出身で、高田商時代に頭角を現すが甲子園には縁がなかった。1991年、ドラフト6位で横浜大洋ホエールズに入団した。

当初は目立つ存在ではなく、1年目の一軍登板はわずか1試合だった。しかし翌年以降、徐々に成績を伸ばし、4年目の1995年に初めて規定投球回数に到達。以後、2009年まで15年連続で100イニング以上を投げた。シーズン100イニング以上は25年のキャリアで18回も記録。抜群の成績を残せるわけではなかったが、ローテーションを常に維持し、監督にとっては「いつでも計算できる投手」だった。

三浦は大洋ホエールズから続く球団の歴代投手の中でも、勝利数3位につけている。

大洋・横浜・DeNAの投手 勝利数10傑,ⒸSPAIA

 

球団唯一の200勝投手平松政次、1960年のチーム初優勝時のエースでMVPに輝いた秋山登に次いでの3位。上位2人は野球殿堂入りしている。投球回数は平松に次ぐ2位、奪三振数は歴代1位だ。

主要なタイトルは1997年の勝率1位、2005年の防御率1位、奪三振王の3つだけだが、NPBタイ記録の23シーズン連続勝利など「丈夫で長持ち」の記録をいくつか持っている。オールスター出場は6回、長くチームの「顔」だったのだ。

1998年には12勝(7敗)を挙げ、川村丈夫(8勝6敗)、戸叶尚(7勝8敗)、野村弘樹(13勝8敗)らとローテーションを組み、チームの総力で38年ぶりの優勝、日本一を勝ち取った。

また三浦は打撃も得意で、通算967打数123安打1本塁打44打点、打率.127ながら、112もの犠打を記録している。DH制のないセ・リーグの投手が打席で何をすべきかをよく知っていたのだ。最終の2016年は6打数2安打を記録。歴代4位、投手としては最長の24シーズン連続安打を記録した。

シーズン2年目の「生え抜き監督」

落合博満、古田敦也、松井秀喜から坂本勇人、岡本和真まで、三浦は多くの強打者と対戦し、数々の名勝負を繰り広げてきた。

2015年オフ、同世代で同期の小笠原が中日で引退を宣言して、三浦はNPBでは最後の「イチロー世代」となり、2016年オフに引退。ちなみにイチローその人はMLBで2019年まで現役選手だった。

引退後は解説者を経て2019年から古巣DeNAの投手コーチに就任。アレックス・ラミレス監督のもと投手陣を任される。ラミレス監督は強力とは言えない戦力をうまく使って在任5年間で3回ポストシーズンに進出、選手起用の妙を見せた。

2021年から監督の座を引き継いだ三浦は、筒香嘉智、梶谷隆幸、井納翔一など投打の主力が移籍するなか、戦力をやりくりしながら2年目のシーズンを戦っている。戦況は厳しいが、打線では牧秀悟、佐野恵太らが活躍し、蝦名達夫、森敬斗など若手も台頭。投手陣でも今永昇太がノーヒットノーランを記録、救援では伊勢大夢が台頭し、育成から支配下に戻った田中健二朗が復活するなど、少しずつ戦力が整備されつつある。

チームのことを誰よりも知る「生え抜き監督」の持ち味が発揮されるのは、まさにこれからだ。

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