開幕に出遅れシーズン中も2度の抹消

巨人の坂本勇人内野手(33)がケガに苦しんでいる。左内腹斜筋筋損傷で開幕に出遅れ、シーズン中にも5月に右膝内側側副靱帯損傷、7月には腰痛による2度の登録抹消を乗り越え、8月16日のDeNA戦に5番ショートで復帰した。

坂本は高卒入団2年目の2008年から2017年まで毎年130試合以上に出場。2018年は109試合とやや数字を落としたものの、翌2019年には143試合フル出場を果たした。2020年はシーズン試合数が120試合に短縮されたが、そのうちの115試合に出場している。怪我に強く、試合に出続ける選手だった。

肉体的、精神的にタフな坂本だからこそ、ショートというハードなポジションでの勤続疲労を心配する声が挙がっている。

2021年にも登録抹消された時期があったが、走塁時の右手親指骨折によるものであり、シーズン中に開催された東京オリンピックにも出場して残りのシーズンを乗り越えたことから、今シーズンの離脱は坂本にとっては考えられないものと言えるだろう。

ショートというポジションの過酷さ

ショートというポジションは広い守備範囲と遠い距離を投げるスローイングが求められる。打球が来ない時も外野との連携や投手からの牽制の対応など、常に頭を使いながら動き続けるため選手の体にかかる負担は大きい。歴代の名ショートたちも、現役途中で他のポジションへコンバートされた例が少なくない。

元ヤクルトの宮本慎也は1994年ドラフトで入団し、10年以上ショートで活躍した後、2008年シーズンにサードへコンバート(2013年現役引退)。元阪神・ロッテの鳥谷敬も2003年ドラフトで入団以来、10年以上ショートで活躍し、2016年の途中からサードへコンバートされた(2021年現役引退)。

両者はサードへコンバートされた後にもゴールデングラブ賞を受賞するなど、決して技術が落ちたわけではなかった。それでもコンバートされたのだから、ショートで試合に出続けることがいかに過酷なことなのかがわかる。

一方で、宮本はコンバートされてからも打率3割を記録するなど、打撃にも好影響があった。そして何よりもコンバート後、5〜6年現役を続けられている。

両者とも30代半ばでのコンバート。12月で34歳になる坂本もショートで試合に出続けてきた勤続疲労も考慮し、コンバートを考えるのは選択肢のひとつとして当然だろう。

コンバートするべきかどうか

チームとしては実績のある坂本にベストな状態で長く現役を続けてもらうため、コンバートを提案するだろう。現に一軍復帰する際に原辰徳監督はファーストでの復帰を提案したという。

また、記録の面もコンバートを推し進める要因となる。現在、坂本勇人は2179安打を放っており、長く現役を続ければ通算3000安打も不可能ではない。巨人の宝とも言えるスター選手だからこそ、負担軽減のためのコンバートは考えるべきだろう。

ただ、坂本クラスの選手になると、首脳陣の鶴の一声でコンバートというわけにはいかない。最後に決断するのは本人だ。現在もショートを守り続けており、長年レギュラーを務めてきたショートへのこだわりやプライドがあるのも当然だろう。

坂本はここまで60試合出場。今シーズンはルーキーイヤー以来、15年ぶりに出場試合が100試合を割ることが確定している。来季以降に向け、本人も首脳陣も納得のいく結論が出るか。坂本の野球人生において、重要な局面を迎えている。

※成績は8月29日現在

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