ヒモ荒れに要警戒

秋の中山開幕週を飾るのは京成杯AH。グレード制導入後の1984年から開催時期は変わらず、関東圏に秋を告げる重賞として定着してきた。同時にサマーマイルシリーズ最終戦でもあり、夏の終わりも感じる。夏と秋の境目とあって、夏の総まとめ、あるいは秋への出発点という陣営の思惑が交錯する。使う側の意図の違いもまた、我々の頭を悩ませる。データは過去10年間のものを使用する。ただし、14年は新潟代替。全体像をつかむためにひとまとめにした。

過去10年京成杯AH人気別成績,ⒸSPAIA


中山のハンデ戦、波乱のイメージがある割には1番人気【3-0-1-6】勝率30.0%、複勝率40.0%は健闘しているともいえる。以下、2番人気【2-1-2-5】勝率20.0%、複勝率50.0%から4番人気【2-0-1-7】勝率20.0%、複勝率30.0%までで8勝。7番人気1勝、13番人気1勝と単勝高配当も散見されるが、上位人気馬にアタマ候補がいるなら、無難にいくべきか。一方で6番人気【0-2-1-7】複勝率30.0%など2、3着はどこからでも入れる。手広くいきたい。

過去10年京成杯AH年齢別成績,ⒸSPAIA


4歳【2-0-2-20】勝率8.3%、複勝率16.7%に対し、5歳は【5-5-2-39】勝率9.8%、複勝率23.5%と優勢。6、7歳がそこそこ好走している点も要注意。最近は馬体のケアや出走間隔など競走馬が息長く活躍できる環境が整い、必ずしも4歳有利ともいえなくなった。このレースに限らず、今後は年齢のデータも変化していくだろう。

カギはやっぱり中京記念

夏のまとめと秋への出発、交錯する異なる意図。これは実際、どちらがこのレースで結果を出すのか。この点について前走データを中心に探っていきたい。

過去10年京成杯AH前走クラス別成績,ⒸSPAIA


前走クラス別成績では前走GⅠは【1-2-2-15】勝率5.0%、複勝率25.0%と好走すれど、勝ちきれずという傾向に注意したい。昨年でいえばNHKマイルC3着グレナディアガーズが1番人気3着、前走ヴィクトリアマイル9着で中山巧者のマルターズディオサが4番人気8着だった。実績馬が休み明けにびっしり仕上げてGⅢ出走は考えにくく、割り引いて考えたい。

今年該当するクリノプレミアムはヴィクトリアマイル16着以来の出走。前走ヴィクトリアマイルは【0-1-0-3】。2着は16年ヴィクトリアM15着カフェブリリアントだ。16着だったクリノプレミアムも好走可。春は中山牝馬S1着。好走候補に入れたい。

過去10年京成杯AH前走サマーマイルシリーズ組レース別成績,ⒸSPAIA


前走クラス別で目立つのは前走GⅢ【5-7-7-68】勝率5.7%、複勝率21.8%。このうち前走サマーマイルシリーズ出走馬は【4-5-6-56】。その内訳は関屋記念【2-5-4-47】勝率3.4%、複勝率19.0%、中京記念【2-0-2-9】勝率15.4%、複勝率30.8%で中京記念が優勢となっている。

とはいえ今年の中京記念は小倉芝1800mなので、つながらないのではと考えるが、昨年も同じパターンで中京記念6番人気2着のカテドラルが、7番人気と人気を落として1着。侮れない。もっともカテドラルはどちらかというと、1800mは守備範囲外で、得意のマイルに替わっての激走だった。

今年は1着ベレヌス、3着ファルコニア、4着ミスニューヨーク、7着シャーレイポピーが出走予定。ベレヌスは中距離中心も前々走の谷川岳S2着をどうみるか。ファルコニアは4走前からマイル戦3、2着とGⅡ・マイラーズC3着。デビュー以来距離短縮時2、4、2、1、3着、マイル替わりはよさそうだ。

ミスニューヨークは昨年ターコイズS1着。このレースは前後半800mの差が2秒もあった前傾ラップ。ハイペースに乗じてという側面は否めず、ここも展開に注意したい。シャーレイポピーは2、3勝クラスを阪神マイルで連勝。オープンのマイル戦は米子S7着。クラス慣れが見込めれば、そろそろ好走はある。

過去10年京成杯AH前走中京記念組着順別成績,ⒸSPAIA


その中京記念での着順別成績は1着【0-0-0-2】、2着は【2-0-1-2】といいが、3着【0-0-0-1】、4着【0-0-0-1】、6〜9着【0-0-1-0】。サンプル数が少なく微妙。ここはそれぞれのマイル替わりでのパフォーマンスの上げ下げを検討して判断したい。

過去10年京成杯AH前走関屋記念組着順別成績,ⒸSPAIA


新潟から中山へ。同じマイル戦でも別競技といっていいほど適性が変化する関屋記念組は素直に3着以内が【2-1-3-8】勝率14.3%、複勝率42.9%と好成績。シュリはここに該当する。シュリはマイル戦4勝の実績がある一方、大敗もありムラ駆けタイプ。連続好走があるかどうか判断しにくい。関屋記念は前後半800m48.4-44.9と新潟らしい超スローの上がり勝負。逃げて2着のシュリは恵まれた面も大きい。

なお同じGⅢでもサマー2000シリーズ【1-0-0-1】、サマースプリントシリーズ【0-1-0-2】。エプソムCは【0-0-0-3】で、ダーリントンホールが該当する。さらに前走オープン・リステッドは今回距離短縮だと【0-0-0-9】。今年はメイS5着のインテンスライトが当てはまる。

2022年京成杯AHインフォグラフィック,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。


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