内枠が断然有利

京成杯AHは内枠の馬が有利。過去10年、馬番13番より外の馬の優勝はなし。2着は2018年ワントゥワン、2020年のスマイルカナの2頭のみ。これは中山芝1600mが緩やかなカーブが続く円状コースで、最初の2角で内に入れないと、終始外々を追走することになってしまうことが多いからだ。

これは高速馬場の時ほど顕著になる。1分30秒7のコースレコードが記録された2012年は、馬番3番のレオアクティブが1着、1番のスマイルジャックが2着、2番のコスモセンサーが4着、5番のファイアーフロートが5着と、ほぼ内枠で決着した。

2019年に1分30秒3にレコードが更新されたが、その年は馬番10番のトロワゼトワルが2角で先頭を取りきり逃げ切り勝ち。しかし、10番人気で3着と好走したのは内ぴったりの競馬をした馬番2番ジャンダルム。4着は3番カルヴァリオ、5着1番プロディガルサン。ちなみに6着は5番ストーミーシーだった。

今開催の中山は土曜日朝の時点でクッション値9.2。さすがにレコードが出るような馬場ではないことが推測されるが、中山開幕週だけにそれなりの高速馬場ではあるはず。枠順確定前はクリノプレミアムを狙うつもりだったが、さすがに13番枠は不利と見て狙いを下げた。

能力値1〜5位タイの紹介

2022年京成杯AH出走馬のPP指数一覧,インフォグラフィック,ⒸSPAIA


【能力値1位 ファルコニア】
スプリングS4着、京都新聞杯3着と3歳時から活躍していた馬。古馬になってからも着実に力をつけ、昨年はエプソムC3着、カシオペアS1着。今年に入ってからの4戦は全て3着以内。カシオペアS以降、リステッドを中心に使われていたが、前々走ではGⅡマイラーズCで3着と好走した。

前々走は3番枠からまずまずのスタートを切り、軽く促されて好位の中目を追走。道中もベステンダンクが単騎気味にペースを引き上げていく中、離れた3番手。最後の直線では2番手ホウオウアマゾンの外からジリジリと伸び、ラスト1Fであと少しのところまで詰め寄ったが、最後にソウルラッシュに差し切られ、ホウオウアマゾンとクビ差の3着。稍重のややハイペースの中で、最後までしっかり食らいついていたのは評価できる。

前走の中京記念はかなりの高速馬場の中、15番枠と外枠を引いてしまった。スタートはまずまずだったが、中団外目を追走し、向正面から勝つために早めに上がって行く競馬。3〜4角で好位の外々とかなりのロスを作ったが、結果は3着と負けて強しの競馬ぶりだった。

このように決定的な弱点もなく、すでに重賞勝ちしていてもおかしくない実力を持っている。安定感と力量はここでは一番勝利に近い存在だ。しかし、今回も内枠有利が予想される中山開幕週の芝1600m戦で、11番枠と外目の枠に入った。また、休養明けの前走で善戦しているため、上積みもそこまで大きくなさそうな点も気になる。

【能力値2位 ベレヌス】
ダートでデビューし4戦消化。その後3歳春の1勝クラス・ひめさゆり賞では休養明け、初芝ながら逃げ切って勝利するという離れ業を演じた。この時点で潜在能力は相当なものがあると感じていたが、逃げないと能力をフルに発揮できないところがあり、その後の出世にやや時間を要した。しかし、昨夏の3勝クラス・博多Sで2馬身差の逃げ切り勝ちを決め、ようやくオープン入りを果たした。

今年に入ってからは逃げて着実に上昇。前走の中京記念(小倉芝1800m)でも、かなりのスローペースでレースを支配し、初重賞制覇を達成した。今回も前走同様に走れば当然チャンスはあるが、今回は前走で能力を出し切った後の一戦。また1番枠も1600m戦だとテンがそこまで速くない本馬にとっては、微妙な面がある。このレースは過去3年、逃げ馬が3連対しているように、逃げ、先行有利な条件設定ではあるが、過信できない面もある。

【能力値2位 ダーリントンホール】
デビュー2戦目に札幌2歳S3着、その後共同通信杯を優勝するなど、若い時から活躍してきた馬。その後クラシック本番では結果が出ず、伸び悩みかなと感じさせる時期もあったが、昨秋の富士Sは休養明けながら5着と好走。成長を感じさせ、その後は重賞でも上位争いするまでになった。

3走前の洛陽Sでは、2番枠からまずまずのスタートを切って楽に先行し、2番手からの競馬。最終的にそこから控える形でスペースを作り3列目の内。3〜4角で2列目の内まで上がり、直線で外に出されるとそこからすっと伸びて先頭にいたベレヌスを交わし、ファルコニアの追撃も振り切り2着に好走。本馬はしばしば出遅れるが、このレースでは上手くゲートを出ておりレース内容、指数ともに上々だった。

その後は大きな疲れも見せず2戦連続3着と善戦している辺り、本馬の底力の高さを感じる。ただ今回は6月以来の競馬。走れない状態ではないだろうが、満点の状態でもないだろう。本命視となると躊躇してしまうが、低い評価をすることもできない。

【能力値4位 ミスニューヨーク】
3歳の夏手前から力をつけ、秋華賞では16番人気ながら5着に好走した馬。ところが不思議なことに、その後はやや人気先行タイプの馬になってしまった。結果が出ないことも多かったが、昨年のターコイズSでは稍重の超ハイペースの中、2番枠から出遅れ最後方から3〜4角の外を回り、最後までジリジリ伸び続け、初重賞制覇を達成した。

今回と同舞台の中山芝1600mを勝利していることは評価できる。しかし、ターコイズSは前半4F45秒4-後半47秒4でラスト1F12秒5と前が大きく失速する流れ。今回は高速馬場で3走前ほどペースが上がらず、逃げ、先行馬がラスト1Fでもしぶとさを見せることが想定される。

本馬は前走中京記念では2番枠からまずまずのスタートを切り、推しながら好位の中目を追走。しかし、最後は伸びあぐねたように勝ちに行くと甘くなる面がある。今回は脚をタメて反撃を狙うことになるだろうが、中山開幕週となると半信半疑なところがある。

【能力値5位 シュリ】
2020年2月の小倉1勝クラスを休養明けながら1クラス上でも勝ち負けになる好指数で勝利し、高い素質を感じさせた。同年9月の3勝クラス・納屋橋Sをオープン級の指数で勝利し、当然ながらその後オープンでも勝ち星を挙げた。

しかし、最近は条件クラスで見せていた輝きを放てないことが多かった。どうしたものかと思っていたが、前走関屋記念では逃げの走りで見事に復活を果たした。

前走は12番枠から好発を切ったウインカーネリアンが控え、2番手外を狙ったこともあり前半3F48秒4-後半4F44秒9の超スローペース。これにより行った行ったが決まった。新潟芝1600mの関屋記念は逃げ切りが決まりやすい舞台だが、中山芝1600mは前半で上手くスローに落とせたとしても、向正面の下り坂で捲ってくる馬もいる。

その上、今回は休養明けの前走でかなり走った後の一戦。そう考えると過信は禁物だ。ただ本馬が条件戦時代から見せていた素質の高さを考えると、今回折り合う競馬でさらに上昇、ということもあるかもしれない。

【能力値5位 クリノプレミアム】
昨年7月の2勝クラス・松島特別では2着に3馬身、3着には5馬身以上の差を付け、オープンに準じる指数を記録して勝利。能力の高さを見せていた。その次走で3勝クラス勝ちは当然としても、オープン入り後は成績不振。一体どうなっているのか。そう思っていたが、今年の京都金杯で5着と復活の兆しを見せた。

その後、中山牝馬Sでは15番人気ながら優勝し、続く福島牝馬Sでも2着した。中山牝馬S当日は終始、中団の最内を立ち回ったミスニューヨークが3着に敗れているように、外が断然伸びる馬場だった。しかし、前半4F48秒4-後半4F46秒6とペースが上がらない中、大外16番枠からゲートを出たなりで中団の外を追走し、4角大外から位置を押し上げて優勝した内容は評価できる。

福島牝馬Sでは、一転して前半4F46秒8-後半4F48秒4の速い流れになった。それを2番枠から好発を決め、好位の中目から最後の直線では早め先頭に立ち、2着に粘っている。前走のヴィクトリアマイルは福島牝馬Sで頑張ったあとの一戦で、疲れが出てしまったようだ。今回は立て直して巻き返しが期待できると考えていた。

しかし、今回は13番枠と外枠に入った。本馬はトップスピードが高いわけでなく、長く良い脚を使う馬で外枠自体に大きな問題はない。ただ、中山開幕週だけにキレとポジションが重要視される競馬となってしまうとマイナスになる。

穴は中山芝1600m巧者のインテンスライト

インテンスライトは昨年1月の中山芝1600mの2勝クラスなど、同コースの好位で流れに乗るレースができた場合は好走が目立つ。中山芝1600mの4走前、3走前の3勝クラスでも好位からの競馬で好走。ハンデ戦なら重賞でも通用可能な指数で走れている。

前々走のダービー卿CTは2番枠から好発を切り促されたが、外の逃げ、先行馬のほうが二の脚が速かった。控えた中団馬群の後ろとポジションが悪くなり6着に敗退。前走のメイSは13番枠から五分のスタートを決め、押して押してハナを主張し、馬場の悪い内を通って5着。近2走は不利な競馬のわりには崩れていない。

今回は近2走の敗戦によりハンデ54Kgと軽く、3番枠と枠順にも恵まれた。この枠でこのハンデなら、得意の中山芝1600mの好位で流れに乗れそうだ。激走の可能性は十分あるとみている。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ファルコニアの前走指数「-20」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.0秒速い●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

《関連記事》
・【京成杯AH】カギは芝1800m戦の中京記念 逆転候補はファルコニア、ミスニューヨークとシャーレイポピー
・【京成杯AH】緩まない中山マイル重賞に強い「デインヒル」内包馬 有力馬の血統を一挙解説
・【京成杯AH】「栗東所属の5歳」「牝馬」が中心 近4年で3連対のデータに合致するミスニューヨーク