外厩全盛の今でも重要なステップレース

近年は外厩を利用してぶっつけ本番でGⅠに出走するローテが王道となっているが、唯一例外といっていいのが菊花賞。3歳ではじめて3000mを走るのにあたっては競走感覚が重要、直前にレースを使わないというのは、いくら外厩仕上げが優秀であってもリスクが高い。

昨年でいえばタイトルホルダーがセントライト記念13着から菊花賞を快勝し、同3着のオーソクレースも菊花賞で2着している。2015年のキタサンブラックもこのレースを経由して菊花賞を制しており、ステップレース軽視の近年においては異質ともいえる重要なトライアル重賞だ。

セントライト記念過去10年,ⒸSPAIA


セントライト記念について直近10年でみるとダービー組が6勝、ラジオNIKKEI賞組が2勝、夏の条件戦をつかってきた馬は2勝と少数。3着以内馬30頭のうち、前走からのレース間隔が中9週を超えていたのが23頭と多い。

例外の7頭のうち4頭は9年前のユールシンギングとダービーフィズ、10年前のスカイディグニティとダノンジェラート。残りの3頭はすべて前走2勝クラス組、うち2頭が2勝クラス勝ちから、残り1頭は3着からの出走だった。つまり、夏の上がり馬を狙うなら2勝クラスで勝ち負け以上が最低条件、1勝クラスをようやく勝ち上がったくらいではまだまだ間に合わない、ということだ。実際、過去10年で前走1勝クラス組は【1-0-2-39】と苦戦している。

今年の登録馬は半分近くの6頭が前走1勝クラスから出走してきており、ほぼ馬券になった例がないパターンに当てはまる。プリンシパルS2着の実績があるキングズパレスや、小倉芝2000mでレコードが出た1勝クラス・国東特別勝ち馬のガイアフォースなど、面白い馬たちが出走してくるが、過去の例を見る限りは苦戦が予想される。

下り坂を有利に運べる馬を探せ

また、このレースは逃げ切りを狙うのがなかなか難しい重賞だ。一昨年はバビットが逃げ切っているが、前半1000mが62.6秒という超スローペースによるもの。中山外回りといえば2コーナーから残り200mまで延々と下り坂を下りつづけるコース形態で、逃げは常にせっつかれる形になり余裕がなかなか生まれない。

そう考えるとやはりアスクビクターモアに逆らう理由があまりない。他に逃げてきそうな候補が複数いるため、逃げて5着に敗れた皐月賞のようなレースをする必要もない。2番手から抜け出して勝利した弥生賞や、同じく2番手から3着に粘り込んだダービーのような走りができれば、人気でも軸として逆らうのは難しいところだろう。

相手候補も京成杯勝ちがあるオニャンコポンあたりも有力だ。面白いのは夏を戦った組から前走2勝クラス月岡温泉特別を勝ってきたラーグルフ。ホープフルS3着のあと弥生賞、皐月賞と後方から届かないレースが続いたが、もともとホープフルSでは5番手からレースをしていた馬だ。

前走、直線が長い新潟で差し切り勝ちを決めたのは成長の証。新潟と中山ではコースの違いが大きいものの、以前の実績から中山がまったく駄目というわけではない。差しをモノにした今となっては、むしろ外回りでよりスパートが楽になる可能性がある。注目したい。

<ライタープロフィール>
佐藤永記
20代を公営ギャンブラーとして過ごし、30歳から公営競技の解説配信活動を開始。競馬を始め多くの公営競技ファンに各競技の面白さや予想の楽しみを伝えている。現在はYoutubeで配信活動を続けながらライターとして公営競技の垣根を超えて各所で執筆中。

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