バレンティンの60本超えも可能性十分の村上

ヤクルトの村上宗隆内野手(22)が9月13日の巨人戦(神宮)で55号本塁打を放った。1964年の王貞治(巨人)、 2001年のタフィ・ローズ(近鉄)、2002年のアレックス・カブレラ(西武)に並ぶNPB歴代2位の大記録。残すは2013年のウラディミール・バレンティン(ヤクルト)がマークした60本塁打のみとなり、新記録なるか注目が高まっている。

バレンティンが更新するまで55本という記録は、アンタッチャブルな空気さえあった。ローズやカブレラ、1985年に54本塁打を放ったランディ・バース(阪神)らは記録更新を阻むため、相手チームから勝負を避けられたことが伝えられている。

しかし、村上に対してはそんなムードは一切なく、むしろ新記録を期待する空気が充満。助っ人外国人ではなく、22歳の和製大砲という点も大きいだろうが、日本選手最多となる56号はもちろん、60本塁打さえ期待せずにはいられない。

村上が本塁打を打つまでにかかる打数を示す指標「AB/HR」は7.98。約8打数に1本のペースで打つことを考えると、残り15試合なら十分に達成可能だ。

1964年に55本塁打を放った王貞治

単純に本塁打数の比較だと説得力に欠けるのは、時代によって試合数や球場の広さ、投手のレベルなどが違うからだ。そこでセイバーメトリクスを用いて、1964年の王貞治と2022年の村上を比較してみたい。

王貞治の1964年打撃成績


東京五輪の開催された1964年、24歳の王はプロ6年目を迎えていた。9月23日、大洋とのダブルヘッダー第2試合(後楽園球場)で佐々木吉郎から放った55号は通算170本目の本塁打。3年連続でホームランキングとなり、リーグ優勝を逃しながらもMVPに選ばれた。

当時は140試合制で王はフル出場。119打点で本塁打と併せて二冠王に輝いたが、打率は.320で江藤慎一(中日)に3厘及ばなかった。

本塁打を打つまでにかかる打数を示す指標「AB/HR」は8.58。今季の村上は7.98だから、王の方が量産ペースは遅いことが分かる。

出塁率と長打率を足し合わせた、メジャーリーグでは有名な「OPS」は1.176。長打率は単打もカウントされるため、長打率から打率を引いた値、つまり純粋な長打力を示す「IsoP」は.400だった。

打者としての能力を比較するため、四球と三振の指標も見ておこう。出塁率から打率を引いた値、つまり選球眼を示す「IsoD」は.136。三振を1つ喫するまでにかかる打席数を示す「PA/K」は7.40。三振を1つ喫するまでに獲得した四球数を示す「BB/K」は1.47だった。

飛ばす能力では王を上回る村上

続いて、村上の9月14日現在の成績は以下の通りとなっている。

王貞治の1964年打撃成績


127試合に出場した現段階で本塁打数は並び、132打点は王を上回っている。打率.337も王より高く、このままいけば三冠王も有力だ。

「OPS」は1.233で王より上。「AB/HR」は先述の通り、7.98で王よりハイペース。「IsoP」も.424で王を上回っている。本塁打に関する数値はいずれも村上の方が上だ。

ただ、セ・パ両リーグで断トツの106四球を選んでいる村上も「IsoD」は.135で、王にわずかに及ばない。108三振を喫している村上の「PA/K」は5.10で、王の7.40より低い。「BB/K」も0.98で、王の方が上だ。

断っておくが、村上の「BB/K」は吉田正尚(オリックス)、宮﨑敏郎(DeNA)に次いで、規定打席到達者では両リーグを通じて3位と高い数値をマークしている。それでも、当時の王はそれ以上に凄かったということだ。

三振や四球では王に及ばないものの、パンチ力、遠くへ飛ばす能力では、村上は当時の王を超えている。現在、159本塁打を放っており、もし今のペースを保ったままNPBで現役を続ければ、王の持つ868本の世界記録も更新できるのではないか。そんな期待さえ抱かせてくれると同時に、メジャーでどこまで通用するのか見てみたい気もする。

何はともあれ、今やメジャーからも熱視線が注がれる日本の主砲。残り試合、1打席、1球たりとて見逃してはならない。

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