伝統の長距離重賞

今週日曜は東京芝2500mを舞台に、GⅡアルゼンチン共和国杯が行われる。今春のダイヤモンドSを制覇し、天皇賞(春)3着の実績があるテーオーロイヤル、出走メンバー中唯一のGⅠ馬、古馬初対決で3歳世代の強さを証明したいキラーアビリティの二強ムードだが、悲願の重賞初制覇を目指すヒートオンビート、決め手は衰え知らずの古豪ユーキャンスマイル、夏の札幌でオープンを勝ったボスジラ、ハーツイストワールなど、伝統の長距離重賞に18頭が集結した。

来週からの8週連続GⅠを控えた谷間の週にあたるが、ここをステップにジャパンCや有馬記念で好走した例も多数あり、ビッグレースに向けて見逃せない一戦となる。今週も的中を目指して過去のデータから馬券戦略を考えていく。

独特な「ハンデ戦GⅡ」の性格

アルゼンチン共和国杯・前走クラス別成績,ⒸSPAIA


<アルゼンチン共和国杯・前走クラス別成績>
条件戦【4-6-9-43】勝率6.5%/連対率16.1%/複勝率30.6%
OP・リステッド【2-3-2-59】勝率3.0%/連対率7.6%/複勝率10.6%
GⅢ【0-0-1-25】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率3.8%
GⅠ・GⅡ【13-10-7-122】勝率8.6%/連対率15.1%/複勝率19.7%
※現コースとなった2003年以降

アルゼンチン共和国杯は「ハンデ戦GⅡ」という独特の性格をもっており、条件戦上がりの馬からGⅠ格の実績馬まで様々な臨戦過程を踏んだ馬が一堂に集うレース。対戦経験の少ない馬たちの力量比較がカギとなる。ここではコース改修後の2003年以降における前走クラス別成績を参考に、好走確率の高い馬を探していく。

上記で区分した際に、最も複勝率が高いのは意外にも前走条件戦組。出走馬がいなかった2020年を挟み、2015年以降6レース連続で3着以内馬を出している。今年はカントル、ブレークアップ、レインカルナティオの3頭が該当する。この組で強調できるのは前走先行した馬【4-3-5-13】複勝率48.0%。このうち前走東京芝2400mで勝っていると【1-2-1-1】複勝率8割を記録しており、ブレークアップに食指が動く。

OP・リステッド組は微妙。今年は6頭の出走があるが、どれも積極的には買いにくいところ。特に札幌日経OPと丹頂Sからの臨戦は【0-2-0-39】複勝率4.9%と厳しい。5番人気以内だった馬が5頭しかいないという事情はあるものの、ハーツイストワールとボスジラはヒモ程度に考えた方がよいだろう。GⅢ組は輪をかけて苦戦。出走した26頭中唯一の3歳馬であり、唯一の前走1着馬だったセダブリランテス(2017年3着)以外は馬券に絡めていない。

前走GⅠ・GⅡ組は13勝と格の違いを見せているが、好走率自体は高くなく精査が必要となる。期間を過去10年で見直すと3着以内が16頭出ているが、このうち15頭が4番人気以内。人気を落とした馬の巻き返しはほとんどない。「4番人気以内」「4歳以下」「前走6番人気以内」を満たした馬は【6-0-1-1】と圧倒的で、まず間違いなく4番人気以内に入るであろうテーオーロイヤルがここに該当する。

GⅠへの足掛かりに

◎テーオーロイヤル
未勝利勝ちから直行した青葉賞では15番人気ながら勝ち馬から0秒1差の4着と能力の片鱗を見せていた。昨年中京の1勝クラスから中長距離戦で4連勝、うちダイヤモンドSはメンバーが低調だったとはいえ格の違いを見せる勝ち方だった。次走一気に斤量が4kg増となった初GⅠの天皇賞(春)は勝ち馬タイトルホルダーには千切られたが3着を死守。着実に力をつけている。前走のオールカマーは1〜4着が道中内を通った組という中で、外々を回しながら直線で見せ場のある5着なら及第点といえる内容。秋GⅠへの弾みをつけたい。

◯ブレークアップ
重賞初挑戦となった京都新聞杯10着以降は条件戦から再始動し、中長距離戦をコツコツと走り続けてきた4歳馬。2走前のジューンSは緩い逃げから、残り800m以降11.4-11.2-11.3と厳しいラップを踏み、後続に脚を使わせての2着。勝ち馬ヴェラアズールの豪脚に屈したものの、同馬は次走の京都大賞典を制覇したように相手が悪かった。前走の六社Sはスタートでヨレて他馬と接触し、番手からの競馬となったが、ゴール間際で前を差し切ってのオープン入り。東京芝2400m戦を使った前2走の内容は上々で、今の充実度と54kgのハンデなら重賞でも通用の素地はある。ノヴェリスト産駒は2500m戦で複勝率4割近い数字をマークしており、積み重ねてきた経験をぶつける格好の舞台だ。

▲キラーアビリティ
ホープフルS勝ち馬で、出走馬唯一のGⅠウィナー。皐月賞は13着に大敗したものの、ダービーは後方から末脚勝負に徹して6着。天皇賞(秋)で3着と結果を出したダノンベルーガとは0秒6差で、古馬相手でも即通用していい。ただ皐月賞では向こう正面で掛かるしぐさを見せるなど気性の若さが災いしているタイプでもあり、2500mへの距離延長はプラスとはいえない。秋初戦となる今回はまさに試金石の一戦で、同馬の成長度合いとともに、3歳世代のレベルまで測りたいところ。

以下ハーツイストワール、ディアマンミノル、レインカルナティオに印を回す。馬券は◎から印への馬連とする。

▽アルゼンチン共和国杯予想▽
◎テーオーロイヤル
◯ブレークアップ
▲キラーアビリティ
△ハーツイストワール
×ディアマンミノル
×レインカルナティオ

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

《関連記事》
・【アルゼンチン共和国杯】テーオーロイヤルは消し! ハイブリッド式消去法で残ったのはヒートオンビートら4頭
・【アルゼンチン共和国杯】基本的に軸は上位人気から 複穴候補は昇級初戦のブレークアップ
・【みやこS】ラジオ日本賞組の3着内率100%! 好データ満載ウィリアムバローズに要注目