中心は4歳勢

牝馬路線は春と秋では顔が違う。東京マイルでスピードを競う春、今年も阪神芝2200mで器用さとスタミナを問う秋。顔ぶれも変われば、レース適性そのものも違う。実績という言葉がときに邪魔しやすい牝馬限定戦。その頂点をかける戦い、今年はどの馬が制するのか、じっくり考えたい。データは京都施行も含め、過去10年分のエリザベス女王杯を使用。阪神施行を念頭にローテーションなど傾向を探る。


過去10年エリザベス女王杯人気別成績,ⒸSPAIA


昨年は人気馬総崩れで10、7、9番人気決着。牝馬の秋、その難しさを思い知った。1番人気は【1-3-2-4】勝率10.0%、複勝率60.0%。この10年で勝利は連覇を決めた20年ラッキーライラック1頭。ツボは3番人気【4-0-2-4】勝率40.0%、複勝率60.0%。5〜7番人気1勝ずつでどこからでも入れる。人気にとらわれないアプローチが必要だ。


過去10年エリザベス女王杯年齢別成績,ⒸSPAIA


今年も秋華賞1、2着スタニングローズ、ナミュールが登録したが、3歳は【2-4-2-27】勝率5.7%、複勝率22.9%。イメージほど勝っていない。主力は4歳【6-3-7-50】勝率9.1%、複勝率24.2%。一方、5歳は【2-2-1-48】勝率3.8%、複勝率9.4%と落ちる。牝馬の好調期間は長くはない。4歳中心に組み立てよう。


今年は結果がつながる府中牝馬S、要注意は札幌記念

ここからは3歳と4歳以上にわけて、好走ローテーションについて探る。

今年は久々にアイルランドからマジカルラグーンが来日。10、11年スノーフェアリーが思い浮かぶ。共通点は3歳、アイリッシュオークス勝ち馬。スノーフェアリーはイギリスオークスも勝ち、ヨークシャーオークス2着。マジカルラグーンはヨークシャーオークス5着。単純に比べれば実績で劣るともとれるが、外国馬はそう単純にはいかない。思えば、スノーフェアリー3歳時の勝利、その強烈な末脚には度肝を抜かれた。3歳牝馬の海外遠征であり、本気度を買いたい。


過去10年エリザベス女王杯前走秋華賞組着順別成績,ⒸSPAIA


話は国内組の3歳馬へ戻す。前走秋華賞は【2-3-1-22】勝率7.1%、複勝率21.4%。今年は1、2、10着馬が登録。その着順別成績は1着【1-0-0-4】勝率、複勝率20.0%と案外勝っていない。勝利は13年2番人気1着メイショウマンボのみ。スタニングローズは続けるか。ナミュールの2着は【0-2-0-3】複勝率40.0%で好走確率はこちらが上。ナミュールが内回り2200m向きかどうかは別途考えるとして、データ上買うならこちらか。10着以下【0-0-0-4】。ライラックにはこの舞台向きの雰囲気もあるが、データ上は手控えたい。


過去10年エリザベス女王杯4歳以上前走クラス別成績,ⒸSPAIA


古馬のクラス別成績は前走GⅡ【8-6-4-65】勝率9.6%、複勝率21.7%が目立つ。今年も古馬で前走GⅠは不在。GⅡ組が多数なのでここをしっかり選びたい。その内訳は府中牝馬S【5-5-3-42】勝率9.1%、複勝率23.6%、オールカマー【2-1-0-9】勝率16.7%、複勝率25.0%、札幌記念【1-0-1-1】勝率33.3%、複勝率66.7%、京都大賞典【0-0-0-13】。


過去10年エリザベス女王杯前走府中牝馬S組着順別成績,ⒸSPAIA


府中牝馬Sからは1着イズジョーノキセキ、3着アンドヴァラナウト以下8、10、15着が登録。着順別成績は1着【1-2-1-4】勝率12.5%、複勝率50.0%のほかに2〜4着まで勝ち馬を輩出。5着も【0-2-1-3】複勝率50.0%。昨年アカイイトが勝ったことで6〜9着【1-1-1-9】勝率8.3%、複勝率25.0%まで抜け目なし。10着以下【0-0-0-14】以外は狙える。

昨年のアカイイトはスローの瞬発力勝負だった府中牝馬S7着だったが、阪神芝2200m特有の持続力勝負でハマったように、府中牝馬S組はレース内容を振り返ることが肝心。今年の府中牝馬Sは昨年とは異なり、200m通過後から10秒台、11秒台がズラリと並ぶ持続力勝負。つまり今年はこの結果が直結する可能性が高く、イズジョーノキセキが筆頭候補。岩田康誠騎手騎乗停止は痛いが、昨年条件馬ながら5着。コース適性は抜群だ。


過去10年エリザベス女王杯前走オールカマー組着順別成績,ⒸSPAIA


オールカマーからは1着ジェラルディーナ、3着ウインキートス、そして6着デアリングタクトが登録。ここは府中牝馬Sと違い、1着【0-0-0-3】、3着出走なし、6〜9着【0-0-0-1】と該当データに乏しい。1着好走なしは牡馬相手のGⅡを勝った反動も考えられる。ジェラルディーナの状態面は確認したい。


過去10年エリザベス女王杯前走オールカマー組脚質別成績,ⒸSPAIA


オールカマー組は位置取りが目安。逃げ、先行【0-0-0-4】、中団【2-1-0-3】勝率33.3%、複勝率50.0%、後方【0-0-0-2】。中山で中団追走から差してきた経験は阪神芝2200mでも活きるだろう。今年はジェラルディーナとデアリングタクトが候補。明らかな叩き台と割り切れば、デアリングタクトもまだまだ買える。

最後に札幌記念。3着ウインマリリン、除外候補だが8着フィオリキアリが登録。札幌記念3着は【1-0-1-0】とたった2頭だが3着以下がない。18年モズカッチャン1番人気3着、20年ラッキーライラック1番人気1着が該当。いずれも1番人気なのは気になるが、ウインマリリンも好走候補の資格十分。

札幌記念はご存じの通り、パンサラッサが逃げ、ジャックドールが追う展開で前後半1000m59.5-1.01.7。3番手で食らいついて3着は内容が濃い。昨年16着は無視できないが、そのときは前走オールカマー1着だった。2年前は同じ阪神芝2200mのエリザベス女王杯4着。昨年はゴールに向かって加速しない特殊パターン。2年前はラスト600m11.9-11.1-11.8で34.8。前走の経験を活かしつつ、本来は軽いレースが合うタイプ。今年は昨年ほどペースが厳しくならない公算が高い。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『テイエムオペラオー伝説 世紀末覇王とライバルたち』(星海社新書)に寄稿。


エリザベス女王杯インフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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