牝馬特有の事情で……

現在JRAに古馬の牝馬限定GⅠは2つある。ご存知の通りヴィクトリアマイルとエリザベス女王杯なのだが、ヴィクトリアマイルが繁殖時期を過ぎようとするあたりの時期なのに対し、エリザベス女王杯は繁殖時期の半年近く前で出走馬も揃いやすい。また、3歳馬が牝馬三冠から転戦することもあって、筆者としては「女王決定戦」といえばエリザベス女王杯のほうがしっくりくる。

ただ、今年も京都ではなく3年連続で阪神開催。コースに影響されやすいデータから過去傾向を分析するのはあまり得策ではないので、今年は別の切り口から考えたい。

エリザベス女王杯過去10年、馬齢別成績,ⒸSPAIA


牝馬の場合、引退後の繁殖入りについて考えなくてはいけない。エリザベス女王杯での馬齢別成績を過去10年で見てみると6歳以上の活躍が難しく【0-1-0-18】となっている。GⅠで好走するような牝馬はたいてい5歳までで繁殖入りしてしまっていることが多い。

5歳は【2-2-1-48】と、勝ち馬や馬券圏内の馬はいるものの、率で見ると勝率、連対率、複勝率いずれも3歳【2-4-2-27】、4歳【6-3-7-50】と比べて一気に数字を落としている。4歳までで引退する有力牝馬の多さも伺える。迷ったら若い馬、というのは頭に入れておきたい。

同一馬主の多頭出しに注目

そして牝馬特有の「繁殖入り」についてもう1点考えたいのが、馬主という要素。特にクラブ法人など、多数の競走馬を保有している有力馬主になればなるほど、牝馬の引退タイミングをしっかり管理していることが多い。

逆にいえば、繁殖入りが早い傾向にあるにもかかわらずエリザベス女王杯に複数頭を出走させられるということは、それだけ有力馬を所有しているわけで、勝算のある馬がいる可能性も高いということだ。

昨年は個人馬主のアカイイトが勝利したが、2着は社台RHのステラリア、3着もキャロットファームのクラヴェルで、社台RHは4頭出し、キャロットファームも2頭出しであった。

2019年、20年に連覇しているラッキーライラックも、19年はサンデーレーシング4頭出し、20年は2頭出し。20年2着のサラキアもシルクレーシングの2頭出しであった。

今年はサンデーレーシングが3頭、ウインが3頭。このあたりが同一馬主の多頭出しになる。サンデーレーシングはラッキーライラックの実績もあるので、3頭(アンドヴァラナウト、ジェラルディーナ、スタニングローズ)には注目しておいたほうがよさそうだ。

ウインは過去10年でのべ5頭が出走し、最高着順は2020年のウインマリリン4着であるが、この年も実はウインマイティーとの2頭出しであった。登録の3頭(ウインキートス、ウインマイティー、ウインマリリン)がいずれも5歳馬なのは気になるところだが、こちらも注目したい。

オッズ次第だが、筆者はサンデーレーシング3頭−ウイン軍団3頭のワイドをフォーメーションで狙う9点を買ってみたい。多頭出しは誰かしら馬券圏内になりやすいが、同一馬主内での好走馬は1頭だけであることが多いので、敢えて同一馬主のワイドは買わない作戦でいってみようと思う。

<ライタープロフィール>
佐藤永記
20代を公営ギャンブラーとして過ごし、30歳から公営競技の解説配信活動を開始。競馬を始め多くの公営競技ファンに各競技の面白さや予想の楽しみを伝えている。現在はYoutubeで配信活動を続けながらライターとして公営競技の垣根を超えて各所で執筆中。

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