実績十分の3歳vs古馬勢

一時的だが舞台が阪神マイルに移されて3年目。この2年はグランアレグリアが連覇。その走破時計は1:32.0、1:32.6。前後半800mは46.9-45.1、47.6-45.0。京都と同じく阪神マイルも前半は抑え気味に入り、後半、瞬発力が問われる。スタートからゴールまで一定のスピードを求められる東京マイルの安田記念とは対照的だ。

過去2年、マイルCS3着以内6頭のうち、安田記念より着順をあげたのは4頭。春秋連覇の20年グランアレグリアと21年安田記念未出走ダノンザキッドを除くとすべてが該当する。今年は安田記念から2着シュネルマイスター、3着サリオス、4着セリフォス、6着ダノンザキッド、7着エアロロノア、10着ロータスランド、13着ソウルラッシュが挑戦。ここから瞬発力に長けた馬を選んでもいい。データは京都施行も含め、過去10年間を使用する。


過去10年マイルCS人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気【2-2-2-4】勝率20.0%、複勝率60.0%。勝利は連覇のグランアレグリアのみ。複勝率はまずまずも、このデータは少し気になる。とはいえ1着は5番人気以内9頭で8番人気1勝(14年ダノンシャーク)。複勝率ベースでも5番人気以内が強く、基本は上位人気をしっかり検討すべきだろう。


過去10年マイルCS年齢別成績,ⒸSPAIA


ダノンスコーピオン、セリフォス、マテンロウオリオンが該当する3歳は【2-1-2-30】勝率5.7%、複勝率14.3%。17年ペルシアンナイト、18年ステルヴィオ連勝で注目を集めたが、そこまで強調できない。しかし昨年はGⅠ馬シュネルマイスター、ダノンザキッドが2、3着。ダノンスコーピオン、セリフォスは実績面で見劣らない。

古馬勢は4歳【4-5-4-24】勝率10.8%、複勝率35.1%が主力で、5歳【3-3-4-52】勝率4.8%、複勝率16.1%が相手候補だ。昨年2、3着馬とソダシ、ジャスティンカフェ、ソウルラッシュ、ホウオウアマゾンを中心に組み立てたい。


ジャスティンカフェの決め手に注目

安田記念出走馬のうち着順をあげそうな馬を探しつつ、前走成績にも注目し、好走候補をさらに絞っていきたい。


過去10年マイルCS前走クラス別成績,ⒸSPAIA


まず前走GⅠ【5-2-2-24】勝率15.2%、複勝率27.3%。今年はシュネルマイスター1頭だけ。同馬は前走スプリンターズS9着。前走スプリンターズSは【2-0-0-6】勝率、複勝率25.0%。ただし、2着以内【2-0-0-1】、3着以下【0-0-0-5】。見せ場がなかったシュネルマイスターには気になるデータだが、マイル実績を考えればこれを根拠に消しとはいかないだろう。


過去10年マイルCS前走クラス別成績,ⒸSPAIA


次に前走GⅡ【3-5-7-68】勝率3.6%、複勝率18.1%について。その内訳はサリオス、ジャスティンカフェ、ダノンザキッド、ハッピーアワーの毎日王冠【2-1-2-19】勝率8.3%、複勝率20.8%、ロータスランド、マテンロウオリオン、ホウオウアマゾン、ベステンダンクのスワンS【0-4-2-33】複勝率15.4%、ソダシの府中牝馬S【0-0-1-8】複勝率11.1%といったところだ。

毎日王冠組は出走数が多いが、5着以内【2-1-2-10】勝率13.3%、複勝率33.3%、6着以下【0-0-0-9】とくっきり。また毎日王冠4番人気以内【2-1-2-7】勝率16.7%、複勝率41.7%、5番人気以下【0-0-0-12】。サリオス、ジャスティンカフェ、ダノンザキッドがクリアする。

毎日王冠は1:44.1のレコード決着。その価値は最初の200m12.6を除き、すべて11秒台以下のラップ構成にある。まるで安田記念のようなラップになり、上位馬はマイル適性が相当高い。しかし、阪神マイルは冒頭に書いたように、東京とは異質なラップ構成になる傾向がある。サリオスのベストレース朝日杯FSは阪神マイルだったが、これは2歳戦でのもの。マイルCSは5、6着。グランアレグリアとは対照的な適性をもつ。今年も流れ次第だが、信じられるかどうか。

ジャスティンカフェは春から4戦連続上がり最速を記録。なかでも湘南Sでは32.9の決め手を見せたように瞬発力は随一。阪神マイルは2勝クラスを上がり最速で勝ち抜けた舞台だ。ダノンザキッドは昨年3着も、瞬発力勝負向きとはいえない。取捨はサリオスとセットで考えても面白い。

ソダシの府中牝馬Sはサンプル数が少なく、ジャッジは難しい。このレースも毎日王冠と似たラップ構成で、マイル戦向きの持続力勝負になり、ソダシをあと押しした。敗戦は距離の差と割り切れば今回は勝機十分。ソダシは阪神マイルGⅠ・2勝だが、どちらも2着サトノレイナスと0.0差。瞬発力勝負だと分が悪い点には注意したい。

複穴に面白い前走スワンS組だが、3着以内【0-4-2-14】複勝率30.0%。4着以下【0-0-0-19】。今年はロータスランドなど手を出したいところだが、データ上は厳しい。


過去10年マイルCS前走クラス別成績,ⒸSPAIA


前走富士Sは取り扱いに注意。GⅢ時代も含めると【2-3-2-43】勝率4.0%、複勝率14.0%だが、GⅡ昇格後は【0-0-1-7】複勝率12.5%とむしろ好走が減った。(GⅢ時代含む)着順別成績は、他のGⅡ各レースほどは好走、凡走で差がないが、好走馬は勝ちきれず、敗退組が巻き返して勝利する点は抑えたい。今年は1〜4着馬がそろった。連軸向きではある。

今年の富士Sは前後半800m46.0-46.0、1:32.0。1〜3着は仕掛けを遅らせた順で決まった。セリフォスの瞬発力とダノンスコーピオンの正攻法なレース運びは価値がある。ソウルラッシュのマイラーズCは道悪のハイペース。流れを演出したベステンダンクもいるが、ここ2戦は控える競馬。マイラーズCのような流れになるだろうか。

ソダシは白毛で目立つからではないが、出走すれば必ずレース展開のカギになる存在。ここ2年と似たスローペースになるかどうか。流れを味方につけられるのはどの馬か。その駆け引きも十分検討したいところだ。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『テイエムオペラオー伝説 世紀末覇王とライバルたち』(星海社新書)に寄稿。


マイルCSインフォグラフィック2,ⒸSPAIA



《関連記事》
・トップはキタサンブラックの18億7684万円 アーモンドアイは何位?競走馬JRA獲得賞金ランキング
・将来のクラシックホースはデビュー戦で見抜けるか? 3歳限定GⅠ馬の8割以上が新馬勝ち
・クラブ選びや出資馬選定など一口馬主の始め方をご紹介! 毎月かかる費用などお金事情も詳しく解説