オグリキャップやタイキシャトルも制した秋のマイル王決定戦

エリザベス女王杯は、三冠牝馬ジェンティルドンナを母に持つジェラルディーナが勝利。さらに、グレード制を導入した84年以降では初となるGⅠでの2着同着。記憶にも記録にも残る一戦となった。

さて、今週は阪神競馬場でマイルCSが行われる。過去にはオグリキャップやダイタクヘリオス、タイキシャトルやアグネスデジタルといった馬たちが勝利してきた秋のマイル王者決定戦。

4歳世代からは白毛のアイドルホース・ソダシをはじめ、シュネルマイスターやソウルラッシュ、ダノンザキッドなど面白いメンバーが集結。さらに3歳世代からはダノンスコーピオンやセリフォスら、5歳世代からはサリオスやウインカーネリアンなど、色とりどりの才能が集まった。今回はそんなマイルCSの歴史を振り返る。

1番人気の苦難の歴史、このまま終焉を迎えるか

マイルCS過去5年間の優勝馬,ⒸSPAIA


この5年間で1番人気馬は2勝。2010年代は1番人気が全敗。1番人気馬にとって鬼門とも言えるGⅠだったが、2020年に京都競馬場の改修による阪神開催となったタイミングで、ついにグランアレグリアが1番人気馬の連敗を10でストップした。翌年の2021年もグランアレグリアが勝利し、1番人気での連勝を成し遂げている。

この状況を阪神開催によるものと見るか、グランアレグリアという天賦の才を持つ名牝によるものと見るかが、大きなポイントとなりそうだ。過去の1番人気馬ではオグリキャップやダイワメジャー、サッカーボーイたちが期待に応えた一方、アドマイヤコジーンやダイタクリーヴァ、バンブーメモリーといった実力派が敗れている。

ただ、1番人気馬が苦戦しているとは言え、驚くほどの穴馬が激走するかといえばそうではない。単勝二桁人気の馬が馬券圏内にきたのは、2011年フィフスペトル(11番人気)の2着が最後となっている。グランアレグリアが連覇した近2年も、昨年は2着が2番人気シュネルマイスター、3着は5番人気ダノンザキッドと平穏決着、一昨年も2着に3番人気インディチャンプ、3着に5番人気アドマイヤマーズと、上位人気馬の好走が続いている。

エイシンアポロンが池添騎手と掴んだ念願のGⅠ勝利

過去にはタイキシャトルやアグネスデジタル、ゼンノエルシドといった「マル外(外国産馬)」が次々に勝利してきたマイルCS。しかし、近年は内国産馬の勝利が続く。なかでも近4年はステルヴィオ、インディチャンプ、グランアレグリアとノーザンF生産馬が連勝している。

最後に勝利したマル外は、2011年のエイシンアポロンだ。同馬はアメリカのSilk and Scarlet Syndicate生産、父はGiant's Causeway、母父はSadler's Wellsという血統だ。力強さを感じさせる馬体を持ち、素質馬として早くから注目を集めた。

小倉でデビューしたエイシンアポロンは3戦連続で小牧太騎手が騎乗したものの、重賞初挑戦となった4戦目・デイリー杯2歳Sでは池添謙一騎手に乗り替わりとなる。そこで5番人気2着と好走したものの、1番人気で小牧騎手騎乗のリディルに敗北。さらに京王杯2歳Sでの勝利を挟んで挑戦した6戦目・朝日杯FSでは果敢に先行するも、またしても1番人気で小牧騎手騎乗のローズキングダムに差され、2着に敗れてしまった。

年が明け3歳になると弥生賞、毎日王冠では2着になるも、皐月賞11着、NHKマイルC9着、天皇賞(秋)17着と、GⅠクラスでは苦戦。厳しい日々が続いていた。

そんなエイシンアポロンが久々の勝利をあげたのが、4歳の富士S。初出走となったGⅢで勝ち星を掴むと、その次走マイルCSでは小牧騎手騎乗のリディルらを相手に勝利を収めた。鞍上の池添騎手にとっては、2003、04年のデュランダル以来3度目のマイルCS勝利。エイシンアポロンはその後ふたたび勝利をあげることなく引退となったが、好位から抜け出す力強いGⅠ制覇の瞬間は、今でもファンの目に焼き付いている。

騎手にも注目したい一戦

池添騎手は2019年のインディチャンプでもマイルCSを制覇している。マイルCSはリピーターや連覇をした馬も多いが、騎手にも同じことが言える。池添騎手以外にも、横山典騎手がトロットサンダー、タイキシャトル、カンパニーで3勝をあげ、武豊騎手はサダムパテック(2012年)とトーセンラー(2013年)で連覇を達成。ここを得意とする騎手を探すのも面白そうだ。

前走・毎日王冠で復活を果たしたサリオスは、2015年にモーリスでマイルCSを制したムーア騎手とのコンビで挑戦。2019年朝日杯FS制覇以来、2度目のコンビ結成となる。先週のエリザベス女王杯では外国人騎手が馬券圏内を独占したが、今回はどうなるだろうか。

グランアレグリアとのコンビで同レースを連勝中のルメール騎手は、マル外のシュネルマイスターに騎乗予定。前走・GⅢ京成杯AHで久々の勝利を挙げたファルコニアは、池添騎手とのコンビで参戦する。

今年も3歳馬から大ベテランまでがズラリと揃ったマイルの大一番。果たして波乱が巻き起こるのか、それとも平穏に決着するのか。ぜひ、ご注目いただきたい。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

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