「先行有利」というよりは

4月30日(日)に京都競馬場でGⅠ天皇賞(春)が行われる。昨年の覇者で日経賞を圧勝したタイトルホルダー、2年連続天皇賞(春)2着のディープボンド、今年はさらにアスクビクターモア、ボルドグフーシュ、ジャスティンパレスと昨年の菊花賞上位馬が全て出走し、近年まれに見るハイレベルなメンバーが揃った。

天気は残念ながら雨の予報が出ているが、久しぶりの地元京都でのGⅠ開催ということで筆者自身高揚が抑えきれない。雨も味方にどの馬が盾の栄誉を勝ち取るのか。今回は脚質と人気別成績を元に予想を組み立てた。

脚質別成績について、過去10年のうち京都開催だった8回分のデータを基に分析した。

京都開催時の過去8回(2013-2020)の脚質別成績,ⒸSPAIA


主な好走脚質は先行【3-6-4-15】、中団【3-2-4-51】のどちらかになっている。この2脚質については後ほど詳しい分析をする。逃げは【1-0-0-8】と複勝率11.1%止まりになっているが、GⅠ・7勝馬キタサンブラックは逃げ切っており、人気の逃げ馬は抑えておかないといけない。

道中後方から勝つケースはまれで、2015年ゴールドシップのようにマクリ【1-0-0-2】を決めないといけないため難易度が高い。そもそも後方の馬【0-0-0-32】はほとんどが人気薄で、スパート以前にスタミナ切れということも多い。長距離実績のない差し、追込馬は無視して問題ない。

詳しいデータを取るため先行、中団組を人気別に精査してみると、傾向がハッキリ表れた。

京都開催時の過去8回における脚質×人気別成績,ⒸSPAIA


5番人気以内に推され、中団から進めた馬が【3-1-2-12】と取りこぼしが多いことが読み取れる。キズナが2年連続で追い上げに失敗して着外に敗れているほか、サトノダイヤモンドが外から伸びきれず3着など、直線だけの勝負で伸び負けるケースが多い。

一方、5番人気以内に支持された馬が先行すると【3-3-2-3】複勝率72.7%と優秀な成績になっている。先のキタサンブラックの例からも、長距離実績のある馬が前でスパートを決めれば上位入線することは当然であり、この傾向は今後も変わらないだろう。

ジャスティンパレス、ディープボンドは前走でも5番手以内を先行しており、逃げ馬タイトルホルダーはキタサンブラックと同様に長距離GⅠ馬。データ上有利になるのはこの3頭だろうか。馬券の中心に据えつつ、相手を選んでいきたい。


圧巻のレーティング124、雨も味方に無事に回れば

◎タイトルホルダー
菊花賞、天皇賞(春)を勝利し長距離実績は言わずもがな。今年初戦の日経賞を軽く圧勝し順調な滑り出しを見せている。その日経賞では不良馬場を後半3F12.5-11.9-12.4とあまりペースを落とさずにまとめており、後ろは為す術がなかった。

レーティング124ポンドをたたき出したことも納得の内容で、他の先行馬が負かすには非常に難易度が高い。3番枠と逃げ候補の中で1番内側を引いたことはプラスで、雨ももちろん好材料。先頭で走れば負けるシーンが想像できない。

◯ディープボンド
前走の阪神大賞典は5着。馬体重がプラス10kgと太め残りであったことと、スローでキレ負けしたことが敗因で今回上積みは大きい。菊花賞4着や京都新聞杯制覇など京都経験があることは強みで、跳びが大きすぎて加速しにくい当馬にとって、下り坂で自然と加速できる京都に替わることもプラス。一昨年、重馬場の阪神大賞典を圧勝したように雨は歓迎。タイトルホルダーにどこまで迫れるか。

昨年の7馬身差2着はカラ馬の影響もあったもので、今年は間違いなく差が縮まるが、アタマとなるとタイトルホルダーのミス待ちになる。特にマイナス要素がないため、人気落ちする今回は単勝も握っておきたい。

▲ジャスティンパレス
阪神大賞典では内で揉まれながらも直線突き抜けて快勝。しかし当レースは2000m通過が2分8秒2と過去10年の阪神大賞典で最も遅く、余力を残しやすかったことが勝因と考える。タイトルホルダーをはじめ、逃げ候補が何頭かいる今回は前走ほどのスローは見込めない。

ハイペースになった菊花賞に目を向けると、最後に止まったアスクビクターモアを差せずの3着までだったことから、後続の切れ味を削ぐタイトルホルダーとの勝負では分が悪いと見る。雨もマイナス。

△ボルドグフーシュ
阪神大賞典では普段より前の競馬をした結果2着まで。菊花賞でも早めのスパート実らず2着。早めに加速できる能力の高さはあるが、直線でもうひと伸びできるだけのキレが無く、4角の位置がそのまま結果に直結している。ディープインパクトのように捲り切れたら1着もあり得るが、今回のメンバー相手に4角先頭は無理がある。

消アスクビクターモア
菊花賞はハイペースを前で押し切り。内容は評価出来るが最後3ハロンは11.9-12.2-12.9と根性で踏ん張ったもので長距離はあまり合っていない印象を受けた。稍重のセントライト記念を取りこぼし、不良馬場の日経賞を大敗するなど雨は大幅マイナス。3200mで馬場が悪化するとスタミナが保たないと考えた。

馬券はタイトルホルダー、ディープボンドを1着に据えた◎◯-◎◯▲△-◎◯▲△の三連単12点と、ディープボンドの単勝で勝負する。予想としてはタイトルホルダーに逆らいづらいが、心情的にはディープボンドが残り少ないチャンスをつかむことに期待したい。

天皇賞(春) 予想印
◎タイトルホルダー
◯ディープボンド
▲ジャスティンパレス
△ボルドグフーシュ

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
25年以上の歴史がある京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。

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