史上初のローテ 芝ダ二刀流は成功するか

日本ダービー 1986年以降,ⒸSPAIA


今年の日本ダービー(以下ダービー)には、史上初のケース「UAEダービーからの転戦」となったドゥラエレーデが出走する。大昔にあったかどうかまでは調べられなかったが、少なくとも1986年以降に「前走海外」は皆無。前走ダートであった馬であれば11頭いたが、いずれも着外。しかし36年でたった11例の事例であり、サンプルが少なすぎて参考にならない。

日本ダービー 過去10年,ⒸSPAIA


ドゥラエレーデをデータで評価できそうなのは、「GⅠホープフルS勝ち馬」であること。過去10年のダービーで、GⅠのホープフルS出走経験組は19頭いるが、それらのダービー成績は【1-0-1-17】である。

正直分が悪いように見えるのだが、馬券圏内に入ったのは、2020年のコントレイル1着(ホープフルS1着)とヴェルトライゼンデ3着(同2着)。近年の2歳は、新馬勝ちや重賞勝ちをした時点で成長を促す休養を入れ、クラシックに臨むローテが主流である。全体でも19例しかないことを考えるとこれもサンプル数は少ないが、主流ではないにせよ、全くダメと考えるのも乱暴だろう。

また、2400mが初である馬がほとんどで、なおかつ東京で開催されるダービーは逃げ切るのが難しいレース。最後にダービーで逃げ切った馬は1997年サニーブライアンまで遡る。だが、逃げ残りであればそこまでレアケースというわけでもない。


逃げにもチャンスあり

直近10年でみると逃げ馬の成績は【0-1-1-8】で、全体で見ると良いとはいえない。このうち、二桁人気で逃げた馬は7頭だが、一桁人気だった馬に絞れば【0-1-1-1】。馬券圏内の例は、2018年エポカドーロ(4番人気)が粘って2着、2013年アポロソニック(8番人気)が3着。ある程度実力のある馬が過小評価され、「ダービーだから逃げ馬は勝手に失速するだろう」と放置されてペース駆けに持ち込めた場合、チャンスはあるようだ。

今年はパクスオトマニカも逃げ馬候補だが、この馬はテンがそこまで速くない。ドゥラエレーデがハナを切るなら、ペースを上げてまで競りかける可能性は低いと思われる。ドゥラエレーデはダートで戦える馬であり、持久力には期待を持てる。筆者とすれば「よくわからないから切る」よりも「魅力があるので買い」だと評価したい。少なくとも、ヒモで迷ったなら入れておきたいところである。

<ライタープロフィール>
佐藤永記
20代を公営ギャンブラーとして過ごし、30歳から公営競技の解説配信活動を開始。競馬を始め多くの公営競技ファンに各競技の面白さや予想の楽しみを伝えている。現在はYoutubeで配信活動を続けながらライターとして公営競技の垣根を超えて各所で執筆中。

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