安田記念出走予定馬の参考レース

6月4日(日)、東京競馬場では安田記念(GⅠ・芝1600m)が行われる。春のマイル王を決める一戦に、今年は10頭のGⅠホースが登録、豪華メンバーが揃った。出走を予定している馬たちの主な参考レースを過去10年データとともに振り返っていく。


ドバイターフ【データ:A メンバーレベル:A】

過去10年の成績【1-1-1-3】勝率16.7%、連対率33.3%、複勝率50.0%

ドバイデューティーフリー時代の2014年にジャスタウェイが勝利。ドバイターフとなってからは勝利こそないが、2019年はアーモンドアイが3着、2022年にはシュネルマイスターが2着となっている。

今年のドバイターフは日本からセリフォス、ダノンベルーガ、ヴァンドギャルドの3頭が出走。スタートから逃げたのはエルドラマで、スローペースで各馬が一団となって流れた。

直線は内から抜け出したネーションズプライドに外からロードノースがジリジリと迫り、追い比べとなった。しかし、ゴール前はロードノースが地力の高さを発揮して振り切り、ドバイターフ3連覇を達成。勝ちタイムは1:47.39、後方から追い込んだダノンベルーガが0.75馬身差の2着という結果だった。

2023年安田記念に出走するセリフォス,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)



セリフォスは道中中団の外を追走して5着。直線ではロードノースに迫る勢いで見せ場を作ったが、残り200mを切ったところで失速した。1800mは長い印象で、得意のマイル戦に戻れば力は上位と言えるだろう。


高松宮記念【データ:A メンバーレベル:B】

過去10年の成績【2-0-1-8】勝率18.2%、連対率18.2%、複勝率27.3%

高松宮記念からの参戦は2勝。最多タイの勝利数となっている。2013年の勝ち馬ロードカナロア、2020年の勝ち馬グランアレグリアはどちらもGⅠを複数勝利しているスターホースだ。

レースはキルロードが逃げて、2番手以下も一団の展開となった。直線は真ん中から抜けたファストフォースが、外から迫るナムラクレアの追い上げを封じて勝利。雨が降り続いた影響で不良馬場、勝ちタイムは1:11.5を要した。

連覇を狙ったナランフレグは4着。道中は15番手追走、直線は各馬が外に進路を取るなかで開いた内を突くも、勝ち馬から0.3秒差だった。マイル戦は昨年の安田記念以来。昨年の同レースは9着に終わるも1着のソングラインと0.4秒差で、距離に関しては問題ない。

メイケイエールは5番手から運ぶも直線で失速して12着。道悪が合わなかった印象を受ける。週間予報ではレース当日は雨の影響が残る可能性が高まっている。また、当初はヴィクトリアマイル出走を予定していたが、左前脚のフレグモーネで回避して安田記念に目標を切り替えた。この点もマイナス材料だ。


ヴィクトリアマイル【データ:B メンバーレベル:A】

過去10年の成績【1-4-0-10】勝率6.7%、連対率33.3%、複勝率33.3%

2着が4回と勝ちきれない印象を受けるが、2022年はソングラインが優勝している。また、連対率と複勝率はハイアベレージだ。

今年のヴィクトリアマイルは雨は降っていたが良馬場で行われた。最内枠からロータスランドが逃げ、外からソダシが2番手につける展開となる。

残り150mでロータスランドを交わし、先頭に立ったソダシがそのまま押し切るかと思われた。しかし内からスルスルと伸びてきたソングラインが、ゴール前でアタマ差捉えて勝利した。同馬は昨年、ヴィクトリアマイル5着から安田記念を制したように、使って良くなるタイプという印象もある。連覇なるか、注目が集まる。

2023年安田記念に出走するソダシとソングライン,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)



ソダシは2着に敗れたものの、マイルCS以来の休み明けの一戦ということを考慮すれば、マイル戦では一線級の力を示した。こちらも休み明け2戦目の上積みは大きい。

7着ナミュールは向正面で左右から挟まれて接触する場面があり、結果的に10番手からのレースとなった。直線でも外からジリジリ伸びてはいるものの、勝ち馬からは0.6秒差。不利があったにせよ、もう少し前に迫ってほしかった。


マイラーズC【データ:C メンバーレベル:C】

過去10年の成績【1-0-4-32】勝率2.7%、連対率2.7%、複勝率13.5%

2019年にインディチャンプが勝利、過去10年で4頭が3着に入っているものの、出走頭数も多いため率自体は低くなっている。

レースはシャイニーロックが逃げ、2馬身離れた2番手にビーアストニッシド、3番手にダイメイフジが続く展開で、前半800m通過は46.1。外回りコースの坂を下り、直線へとさしかかった。

ゴール前は粘るシャイニーロックの外からソウルラッシュ、ガイアフォース、大外にシュネルマイスター、最内からはマテンロウオリオンと5頭が横に広がる大接戦となった。勝ちタイム1:31.5で制したのはシュネルマイスター。上がり32.9の末脚で2021年毎日王冠以来の勝利を飾った。東京マイルは得意とするコース。この勝利をきっかけに連勝を狙う。

2023年安田記念に出走するシュネルマイスター,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)



2着はガイアフォース。昨秋にセントライト記念を勝利した後は菊花賞、AJCCと2200m以上のレースを使われており、初のマイル戦だった。しかし距離短縮も全く問題にせず、中団からレースを進めてシュネルマイスターにクビ差まで迫った内容は評価できる。

3着ソウルラッシュは昨年のマイラーズC1着、富士S2着、マイルCS4着と安定感が光る。今回は強力なメンバーが揃うが、堅実に走ってくるだろう。

5着マテンロウオリオンは開幕週で内が残る馬場を味方につけての好走。現状の力は発揮しての0.2秒差だと言える。

9着ジャスティンスカイは3連勝で挑み、上がり33.4を使ったが伸びを欠く内容だった。現時点では除外対象となっており、そもそもGⅠではまだ荷が重そうだ。


大阪杯【データ:C メンバーレベル:A】

過去10年の成績【0-1–2-13】勝率0.0%、連対率6.3%、複勝率18.8%

GⅡ時代を含めて勝利はなく、2013年ショウナンマイティの2着が最高成績。GⅠ昇格後に3着内に好走したのは、2018年スワーヴリチャードのみとなっている。

レースは逃げたジャックドールが前半1000m通過58.9というラップを刻む。4角で外からポジションを押し上げたダノンザキッドが直線で徐々に差を詰め、ゴール前では大外からスターズオンアースも追い込んできたが、ハナ差押し切った。武豊騎手の見事な騎乗がGⅠ初制覇へと導いた。

2023年安田記念に出走するジャックドール,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)



デビューから一貫して2000mを使われてきたが、初めてマイル戦に挑む。今回もマイペースで逃げることができればしぶとさを発揮するだろう。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。

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