傾向解説

春の目黒記念と同じく東京芝2500mを舞台に行われるアルゼンチン共和国杯。日本ダービーやジャパンCより100m長いだけですが、好走馬の血統傾向は大きく異なります。本記事では血統面を中心に、アルゼンチン共和国杯のレース傾向を整理していきます。

年齢別成績(過去10年),ⒸSPAIA

<年齢別成績(過去10年)>
3歳【2-0-2-1】勝率40.0%/連対率40.0%/複勝率80.0%/単回収率146%/複回収率182%
4歳【5-3-3-22】勝率15.2%/連対率24.2%/複勝率33.3%/単回収率95%/複回収率85%
5歳【1-5-5-42】勝率1.9%/連対率11.3%/複勝率20.8%/単回収率9%/複回収率56%
6歳【2-2-0-34】勝率5.3%/連対率10.5%/複勝率10.5%/単回収率46%/複回収率31%
7歳以上【0-0-0-32】勝率0%/連対率0%/複勝率0%/単回収率0%/複回収率0%

まず紹介したいデータは年齢別の成績。データの通り若ければ若いほど好走率も回収率も高く、特に3歳馬においては過去10年で5戦2勝、3着2回と好成績です。これは、番組構成上の問題。古馬、特に5歳以上の現役トップクラスの馬はGⅠに出走することが多く、その結果アルゼンチン共和国杯のメンバーレベルは低めになる傾向にあります。その反面、3〜4歳馬には賞金が足りない素質馬も紛れているため、基本的には3〜4歳の遅咲きの素質馬を狙うのがセオリーといえるでしょう。

Roberto内包馬(単勝オッズ19.9倍以下・近10回),ⒸSPAIA

<Roberto内包馬のレース別成績(単勝オッズ19.9倍以下・近10回)>
目黒記念【3-3-3-26】勝率8.6%/連対率17.1%/複勝率25.7%/単回収率112%/複回収率96%
アルゼンチン共和国杯【5-4-3-13】勝率20.0%/連対率36.0%/複勝率48.0%/単回収率131%/複回収率121%

東京芝2500mが東京芝2400mと大きく異なるのは、スタート直後から上り坂をこなさなければならない点。当然、長い直線で伸び負けない末脚は必須ですが、瞬発力重視のダービーやジャパンCよりも「如何に直線までスタミナを残せるか」が末脚の伸びに繋がっている印象です。これは目黒記念でも同様の傾向になっています。血統面ではRobertoに注目。データから、東京芝2500m重賞はどちらもRoberto内包馬の好走率が高いです。ちなみに、過去10年で最も人気薄で好走した2018年3着馬マコトガラハッド(11番人気)も母父がRoberto系ブライアンズタイムでした。


血統解説

・ディアスティマ
母スウィートリーズンは2014年エイコーンSなど北米GⅠ・3勝の名牝。母方にBlushing Groomの血を持つディープインパクト産駒らしく機動力に優れ、競馬場を選ばず堅実な走りを見せてくれる点が魅力です。東京芝2500mはベストではありませんが、春の目黒記念では時計差なしの2着。6歳馬ですが怪我で長期休養を挟んでいるため、今回のメンバーでもキャリアは浅い方。目黒記念でヒートオンビートの後塵を拝しましたが、同馬とは斤量差が広がるだけに、逆転の可能性は十分にありそうです。

・チャックネイト
母ゴジップガールは2009年アメリカンオークス馬。母父はブライアンズタイムと血統構成が非常によく似ているRoberto系Dynaformer。さらに、父はアルゼンチン共和国杯で産駒が3勝、2着3回のハーツクライと、相性の良い血を豊富に併せ持ちます。5歳馬ではありますが、キャリア13戦は今回のメンバーで4位タイ(登録全22頭中)と少なめ。まだまだ上積みが見込め、出走予定馬の中では最も傾向に合致した一頭といえるでしょう。

・アーティット
キャリアの浅い4歳馬。5代母Highlightは父ディープインパクトの牝祖でもあり、本馬自身はHighlightの5×5が配合上の最大の特徴です。長距離戦でスタミナを生かす形がベストで、東京芝2500m適性も低くはありません。また、管理する友道康夫厩舎は芝中長距離の直線勝負に滅法強いです。目黒記念では10着と完敗でしたが、まだまだ見限れない素質馬です。

2023年アルゼンチン共和国杯、血統解説,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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