能力差を縮めるのは枠番

来春の勢力図を決める戦いはいくつかある。東京スポーツ杯2歳Sは間違いなくその一つだ。ここを勝てば、クラシックの主役へと評価が一気に高まるが、実際は勝ち方が大事であり、内容とシチュエーション次第では人気先行で終わることが多い。

過去10年、1番人気は4勝。勝ち馬はワグネリアン、コントレイル、ダノンザキッド、イクイノックスとすべてGⅠ馬になった。2番人気はイスラボニータ、ブレスジャーニー、4番人気サトノクラウン、スマートオーディンで、人気が落ちるとGⅠ馬の割合は減っていく。5番人気以下でこのレース(現在の名前に変わった1997年以降)を勝った馬のうち、GⅠ馬は中山大障害を勝ったニシノデイジーと08年のナカヤマフェスタしかいない。

世代上位の馬たちが集う登竜門的レースで1、2番人気に支持されるだけの根拠をもち、実際にその戦いを勝ち抜いた馬こそが、クラシックの主役になる。データは過去10年分を使用する。

東スポ杯2歳Sの人気別成績,ⒸSPAIA


人気の傾向は基本、人気順通りで、1番人気【4-1-2-3】勝率40.0%、複勝率70.0%、2番人気【2-4-0-4】勝率20.0%、複勝率60.0%、4番人気【2-3-1-4】勝率20.0%、複勝率60.0%といった感じだ。

8番人気1勝は18年ニシノデイジー。同馬は札幌2歳S覇者だったが、人気薄での勝利だったためか、この人気にとどまっていた。基本はこの時点で能力上位と評される馬が素直に走る。これは実力がストレートに表れやすく、ごまかしがきかない東京芝1800mという舞台設定も影響している。後半、特にゴール板までしっかり末脚を使えないと勝てない。

東スポ杯2歳Sの枠番別成績,ⒸSPAIA


能力差を埋めにくい舞台ではあるが、唯一、その差を縮めるために使えそうなデータが枠番だ。1枠【4-0-3-4】勝率36.4%、複勝率63.6%、3枠【3-1-2-6】勝率25.0%、複勝率50.0%と内枠が優勢になる。4枠【0-0-0-13】、5枠【0-2-1-11】複勝率21.4%を挟み、6枠から外は計3勝で、複勝率も内枠より低い。少頭数になる年が多く、内枠の母数が少ないのもあるが、それを差し引いても内枠がいい。距離ロス軽減が能力差を埋める。一発に賭けるのであれば、内枠からピックアップしよう。


ポイントは前走1800m新馬勝ち

今年もシュトラウス、フォルラニーニなどノーザンFの期待馬がズラリと並ぶが、それでも抜け出せるのはただ1頭しかいない。厳しきクラシックの栄光へ向けた勝ち抜き戦はすでに始まっている。では今年、抜け出せるのはどの馬だろうか。

東スポ杯2歳Sの前走クラス別成績,ⒸSPAIA


シュトラウスが当てはまる前走GⅢは【2-1-0-9】勝率16.7%、複勝率25.0%。この内訳はサウジアラビアRC【1-0-0-0】、札幌2歳S【1-0-0-5】となる。シュトラウスのサウジアラビアRCは16年ブレスジャーニーが連勝を飾った。札幌2歳Sからの1着も前述したニシノデイジーの連勝。重賞組は前走勝利が条件だとすると、シュトラウスは傾向と一致しない。

東スポ杯2歳Sの前走新馬、距離別成績,ⒸSPAIA


キャリア1戦の前走新馬は【5-3-3-22】勝率15.2%、複勝率33.3%。その距離傾向は1800m【5-2-1-15】勝率21.7%、複勝率34.8%、1800m以外【0-1-2-7】となる。

キャリア1戦1勝馬の2戦目はかなり難しく、ここでリズムを乱す馬が案外多い。裏を返せば、ここを突破できれば、格上のレースでも戦えたりする。そんな難しいキャリア2戦目を重賞で迎えるのはハードルが高く、極力条件を変えず、まだ競馬に慣れない馬を刺激しすぎない方がいい。ゆえに、同距離が強いと推測できる。

新潟芝1800mデビューのファーヴェント、阪神芝1800mデビューのサークルオブジョイあたりが有力だろう。なるべく条件を変えないという意味では、左回りで直線が長い新潟で走ったファーヴェントか。とはいえ、中央場の阪神芝1800mデビューは【2-0-1-2】勝率40.0%、複勝率60.0%と好成績なので、サークルオブジョイも評価しよう。

フォルラニーニの前走中山芝2000m新馬は【0-0-0-1】。サンプルが極めて少ないため、これは根拠にはならないが、中山芝2000mからのコース替わりは条件変更の度合いが大きく、戸惑わないか心配だ。エピファネイア産駒は東京芝1800m【13-12-10-95】勝率10.0%、複勝率26.9%だが、前走中山芝2000mだと【1-0-0-8】と好走確率を落とす。

東スポ杯2歳Sのデータ,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。


《関連記事》
・【競馬】芝ではキタサンブラック産駒、ルメール騎手が圧倒 東大HCが東京巧者を徹底検証
・武豊騎手、JRA重賞350勝までの道のり 節目の重賞勝利を振り返る
・2023年に産駒がデビューする新種牡馬まとめ 日本馬の筆頭・レイデオロは「ディープ牝馬」との配合で期待