傾向解説

2019年以来4年ぶりに京都芝1600mに舞台を戻すマイルCS。内回りと外回りが替わるエリザベス女王杯ほどではありませんが、阪神開催時からの適性変化は把握しておきたいところです。本記事では血統面を中心に、マイルCSのレース傾向を整理していきます。

まず紹介したいデータは3歳馬の成績について。データの通り、2000年以前は3歳馬を買うだけでプラス収支を計上できるほどでしたが、2001年以降は一転して苦戦傾向が続いています。これには2000年以前は3歳馬のエイジアローワンスが2kgだったのに対し、2001年以降は1kgに減量したことが関係しており、斤量差がダイレクトに結果に影響を与えています。

ただ、これは月と距離による設定。11月以降だと、マイルCSとチャンピオンズC以外の古馬混合GⅠでは2kgのエイジアローワンスが継続しています。近年は競走馬と育成法の早熟化から以前よりも3歳馬の好走は増えていますが、ほかのGⅠよりも3歳馬の好走が難しいことは変わりないです。

3歳馬の成績(〜2000年:2kg減/2001年〜:1kg減),ⒸSPAIA


<3歳馬の成績(〜2000年:2kg減/2001年〜:1kg減)>
1991〜2000年【2-4-5-22】勝率6.1%/連対率18.2%/複勝率33.3%/単回収率180%/複回収率170%
2001〜2010年【0-1-3-33】勝率0%/連対率2.7%/複勝率10.8%/単回収率0%/複回収率42%
2011年〜【3-1-2-38】勝率6.8%/連対率9.1%/複勝率13.6%/単回収率60%/複回収率40%

また、京都外回りコースは直線入り口で馬群がバラけやすいことから全馬が力を出し切りやすく、それは層が厚い芝中距離路線組の好成績にも繋がっています。距離短縮組に限らず、近走でレベルの高い芝1800m以上で実績を残している馬には注意が必要です。

前走距離別成績(2013〜19年/単勝オッズ19.9倍以下),ⒸSPAIA


<前走距離別成績(2013〜19年/単勝オッズ19.9倍以下)>
距離延長【1-3-1-12】勝率5.9%/連対率23.5%/複勝率29.4%/単回収率34%/複回収率71%
同距離【3-3-1-11】勝率16.7%/連対率33.3%/複勝率38.9%/単回収率181%/複回収率90%
距離短縮【3-1-5-12】勝率14.3%/連対率19.0%/複勝率42.9%/単回収率94%/複回収率119%

血統面ではRound Tableに注目。冒頭でも触れた通り、内回りと外回りが替わるエリザベス女王杯ほどダイナミックな適性変化がないマイルCSですが、残り600mからの瞬発力勝負になりやすい阪神マイルと、3角の下り坂から徐々にペースが上がる京都マイルでは求められる適性がやや変わります。

そんな条件下で強さを発揮するのがRound Tableという血であり、本レースでは同馬の血を母父に持つCaerleonが古くから好成績を挙げています。他ではPrincely Giftなども好走馬を多数輩出。総じて柔軟でスピードのある血統に注目したいところです。

Round Table(2013〜19年/単勝オッズ19.9倍以下),ⒸSPAIA


<Round Table(2013〜19年/単勝オッズ19.9倍以下)>
Round Table【3-1-4-8】勝率18.8%/連対率25.0%/複勝率50.0%/単回収率222%/複回収率155%


血統解説

・セリフォス
先行粘着型が多いダイワメジャー産駒ですが、Le Havre産駒の母シーフロントの影響が強く、フランス牝系らしい鋭い切れ味が本馬の強みです。スローペースの芝1600〜2000mがベストで、昨年は阪神芝1600mでのスローペース戦を勝利しました。外回りコースなら京都でも守備範囲でしょう。さらに、昨年は3歳での勝利。前哨戦を使えなかった点は不安ですが、能力的には今年も無視できない素質馬です。

・シュネルマイスター
母セリエンホルデは2016年独オークス馬。父Kingmanは欧州のマイルGⅠを爆発的な瞬発力で制しています。本馬は芝1600〜1800mでの瞬発力勝負がベストではないでしょうか。Round Tableの6×7を持ち柔軟性も十分。近走は差し遅れも多いですが、京都外回りなら馬群も捌きやすいでしょう。

・ナミュール
近年勢いに乗るヴィートマルシェ牝系に属し、半兄ヴェスターヴァルトは2020年ファルコンS3着馬、半妹ラヴェルは2022年アルテミスS優勝馬という良血です。上からノヴェリスト、ハービンジャー、キタサンブラックといずれも瞬発力に欠ける父の産駒ですが、このきょうだいが見せる爆発的な末脚がヴィートマルシェ牝系の良さといえるでしょう。3年連続好走のペルシアンナイトを出したハービンジャー産駒という点も魅力。過去最高馬体重で富士Sを制しており、成長力にも大いに期待が持てる一頭です。

2023年マイルCSに出走する注目馬の血統と評価,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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