下馬評と実際の能力との違い

現在の形になって9年、ホープフルSでの前走京都2歳S組は【1-1-0-11】勝率7.7%、複勝率15.4%とさほど活躍していない。注目は頭数だ。9年で13頭は多いとは言えない。GⅠ前哨戦というより、賞金加算の場ととらえた方がよさそうだ。

実際、このレースで賞金加算に成功した2着以内馬は5頭しか出走していない。勝ち馬の出走は1頭にとどまり、2着馬は【1-1-0-2】、ホープフルSで信頼できる。1、2着の賞金の差がここにあらわれている。GⅢ・2着では来春を考えると足りない可能性が高く、調子の良いうちに賞金加算を目論むため、2着馬の好走確率は高まる。こういった陣営の戦略を読むことは、クラシックを占う2歳重賞において大切なことだ。

データは重賞になった2014年以降9回分。阪神施行2020〜22年も含めて使用する。

京都2歳Sの人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気は【2-2-1-4】勝率22.2%、複勝率55.6%と少し勝ち切れていないが、3番人気【3-1-1-4】勝率33.3%、複勝率55.6%、5番人気【2-1-2-4】勝率22.2%、複勝率55.6%など上位人気の信頼度は高く、6番人気以内とそれ以下では好走率がかなり異なる。基本は上位拮抗と考えよう。ただし、順位づけがあやふやな2歳戦らしく、下馬評と実際の能力がかみ合わない点には注意しよう。

基本は重賞、オープン実績馬

今年は札幌2歳Sから2着パワーホール、3着ギャンブルルーム、アイビーS2着ホウオウプロサンゲなど重賞やオープンで実績を作った馬の参戦があり、未勝利直後のサトノシュトラーセ、ディスペランツァらとの力関係がカギになってきそうだ。

京都2歳Sの前走クラス別成績,ⒸSPAIA


前走クラス別に傾向を探ろう。前走GⅢは【1-0-1-5】勝率14.3%、複勝率28.6%。このうち札幌2歳Sは【1-0-1-2】勝率25.0%、複勝率50.0%と信頼度が高く、3着以内なら【1-0-1-1】。パワーホール、ギャンブルルームはここでも有力だ。

開催最終週の稍重馬場という厳しい条件下で行われた札幌2歳Sは、セットアップが逃げ切り、2、3着も道中2、3番手という差せない競馬だった。着差は4馬身、3馬身半と大きく、どちらも鵜呑みにできない感があるものの、先行力や我慢強さは素直に評価していい。まだまだこの時期の競馬なら、立ち回りひとつでしのぎ切れる。

次にOP・L【2-6-0-7】勝率13.3%、複勝率53.3%について。前走距離でみると、1800m【2-6-0-5】勝率15.4%、複勝率61.5%、2000m【0-0-0-2】なので、アイビーSのホウオウプロサンゲはこれをクリアする。さらに3着以内【2-5-0-3】複勝率70.0%も満たし、同馬は連軸向きといっていい。

6頭立てのアイビーSなので、逃げて2着は信頼できない面もあるが、素質馬ダノンエアズロックを相手に3/4馬身差なら世代上位の力があって不思議はない。とはいえ、今回は未勝利勝ち時のように控える公算もあり、その場合、どれだけリズムを保てるかが課題になるだろう。

京都2歳S、前走新馬のコース別成績,ⒸSPAIA


前走新馬組は同コースの京都芝2000m【2-0-1-3】勝率33.3%、複勝率50.0%、東京芝2000m【0-1-0-0】、京都芝1800m【0-0-1-1】と続く。京都芝2000mはオールナットが当てはまる。半姉がショウナンパンドラの良血馬だが、新馬戦は重馬場でのものであり、まったく同条件とはいえない。試金石だろう。

京都2歳S、前走未勝利の距離別成績,ⒸSPAIA


前走未勝利も距離別の成績を出す。こちらは2000m【0-1-1-7】複勝率22.2%、2000m未満【2-1-1-12】勝率12.5%、複勝率25.0%と同距離が苦戦する。新馬とは傾向が違うので気をつけよう。サトノシュトラーセやディスペランツァらは2000m戦を勝っており、未勝利戦から距離延長組となるとダノンデサイルがいる。データはこちらを推す。

京都2歳Sに関するデータ、インフォグラフィック,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。


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