狙いは前に行ける馬

京都芝1200mは向正面の半ばからスタートして3角の頂上を目指していくコース。このため2019年のセイウンコウセイのように初ブリンカー着用で序盤からがっつりと掛かって暴走でもしない限りは、前半のペースが上がりにくく、昨秋の京阪杯のように前後半で差のない平均ペースになることが大半だ。

芝1200m戦はハイペースになることが大半なので、平均ペースだと前が残ることが多い。実際に京都で行われた過去10年では逃げ馬が2着4回。先行馬は5勝、2着2回、3着2回とタフな馬場でも前に行った馬が活躍している。ここも前へ行ける馬が有力と見る。


能力値1〜5位の紹介

2024年シルクロードSのPP指数一覧,ⒸSPAIA


【能力値1位 ルガル】
今回と同舞台の、京阪杯2着馬。前走の京阪杯は出遅れたが、しつこく押して好位の外まで挽回した。3〜4角でも好位の外で進めて直線へ。序盤で追われるとジリジリと2列目まで上がり、ラスト1Fで先頭のビッグシーザーを捉えたが、外からトウシンマカオにかわされ、2馬身差の2着だった。

前後半3F33秒7-33秒7だが、連続開催17日目で時計が掛かっていたことを考えると速い流れ。またCコース4日目で内よりも外が伸びる馬場で、ヴァトレニとハナを争いながら最内を追走し、最後の直線で外に出したビッグシーザーは次走の淀短距離Sで1着。2列目の外を追走したグレイトゲイナーは次走のカーバンクルSで2着と巻き返している。

つまり、ルガルは前走時、馬場の良い外目を走ってはいたが、前半で出遅れて無理をさせたぶん、終いが甘くなったということ。ルガルの弱点はゲートが甘いこと。しかも今回は斤量57.5kgのハンデを背負う。出遅れた場合に、前走ほど挽回するのが楽ではないと見ている。しかし、不良馬場の橘Sでも2列目の外から抜け出して5馬身差で圧勝しているように、現在の京都の重い芝にも対応できる。新興勢力多数のここでは能力値1位タイとなるだけに対抗候補だ。

【能力値1位 アグリ】
昨年の阪急杯で重賞初制覇した。同レースは11番枠からまずまずのスタートを切り、二の脚で一旦先頭に立ったが、内のメイショウチタンがかなり抵抗したため、同馬を行かせて外からプレッシャーをかけて行く形。3〜4角でもメイショウチタンの半馬身外で進め、直線序盤で楽々と競り落として先頭。食らいついてきたダディーズビビッドにクビ差まで迫られたが、3着馬に2馬身半差をつけて勝利した。

前走の阪神Cでは3着。先行争い激化で前後半33秒1-35秒0のハイペースになった。テンに置かれて中団の内目に入れて追走したことで、展開に恵まれ3着と善戦した。しかし、本馬は昨年の阪急杯のように前で流れに乗ってこそのタイプ。芝1400mの前走ですら前に行けなかったのだから、芝1200mのここではまず、後方からの追走になるだろう。芝1200mで前有利の展開となった昨秋のセントウルSで2着に善戦してはいるが、ベストは芝1400mだけに、その点の割引は必要だ。

【能力値3位 エターナルタイム】
4走前の2勝クラスをひとクラス上の指数で勝利し、前々走の多摩川S(3勝クラス)ではオープン通用レベルの指数で勝利した。その多摩川Sでは1番枠からトップスタートを決めたが、そこから無理をさせず、前にショウナンアレスを入れて3列目の最内を追走。3〜4角も最内を通って直線へ。序盤でショウナンアレスの外に出してラスト2F目で追い出されると2番手まで上がり、ラスト1Fで先頭のニシノラブウインクを捉えて1馬身半差で完勝した。

前走の富士Sはユニコーンライオンが逃げようとしたところをダノンタッチダウンがハナを主張し、前が飛ばす展開に。本馬は3番枠から好スタートを決めて、最序盤はユニコーンライオンの外。そこから好位の中目まで控えたが、その位置でもオーバーペースで6着に敗れた。ただ最後の直線では、追い出しを待ってラスト2F目でバテた馬をかわし、ラスト1Fで先頭に立ったところで甘くなり、一気に失速している。これを見ると、本質的にマイルはやや長いのではないか。芝1400m以下でこそと見ており、休養明けではあるが本命候補だ。

【能力値4位 トゥラヴェスーラ】
2022年の阪急杯の2着馬。同レースでは1番枠からまずまずのスタートを切って好位を狙ったが、外の各馬の二の脚が速く、内に切れ込んで来たため、コントロールしながら下げて中団の最内を追走した。3角手前から中団各馬が外から位置を押し上げたために、3角では後方2列目まで位置が下がったが、最後の直線では進路を最内に絞ってするすると2列目まで上がった。ラスト1Fで先頭のダイアトニックの外に出して、クビ差まで迫った。

最後の直線でダイアトニックが好位から最内のスペースをこじ開け、トゥラヴェスーラはそれを追いかけていた。ダイアトニックが抜け出さなければ、詰まっていたというギャンブル的な騎乗だったが、驚きの好走だった。ここでメンバー最速の上がり3Fタイムを記録しているように、しっかり伸びてくる末脚がある。

本馬は不良馬場で行われた昨年の高松宮記念でも3着。同レースでは逃げ、先行馬が壊滅する展開に恵まれた結果だが、馬場の悪化した最内を通って、2着ナムラクレアに半馬身差まで迫ったことは評価できる。また、重馬場で行われた一昨年の高松宮記念でも、後方から最短距離を立ち回ってクビ+ハナ+クビ差の4着に好走しているように、重い馬場なら芝1200mでも対応できる。今回は外の16番枠だが、上手く内目を立ち回ればチャンスは十分ある。

【能力値5位 メイショウソラフネ】
前走の淀短距離Sの2着馬。前走は11番枠からまずまずのスタートを切って軽く促し、2列目の中目付近を追走した。そこから一列下げて3角で内に入れ、4角最内で直線へ。直線序盤で外に誘導し、ビッグシーザーを追いかけるようにして進出。ラスト1Fでも同馬との差は詰められず結局1馬身半差の2着だったが、逃げて甘くなった内のカルネアサーダはかわした。

前々走のスワンSでは2列目の外を追走していたが、立て直された前走では一変。一列下げて、脚を溜めたこともあって変わり身を見せた。今回は前走時よりも馬場が重く、逃げ、先行馬が手薄。ある程度、勝ちに行く可能性もあるだけにそこが課題だが、ここでも上手く脚を溜めればチャンスはある。

【能力値5位 オタルエバー】
昨秋に3勝クラスの北陸SとリステッドのラピスラズリSを連勝して勢いに乗っている。前走のラピスラズリSは8番枠から五分のスタートを切ってじわっと2番手のジャスパージャックの後ろまで進出して好位の中目を追走。3〜4角で前のスペースを詰めて4角ではブレーキ気味で直線へ。3列目の中目から外に誘導して追い出されるとそこでは置かれたが、最後までしぶとく伸び続けて半馬身差で勝利した。

ここでは戸崎圭太騎手らしく、4角で前のスペースを詰め切ったために、直線序盤で進路取りに苦労していた。4角の立ち回りがスムーズだったら、もっと楽に勝てていた可能性が高い。また前々走の北陸Sでは1番枠からやや出遅れ、そこから押して最内からじわじわ好位まで挽回していったが、3〜4角では内で包まれて進路がない状態。序盤で中目に誘導しても前が壁で、さらに外に誘導しても壁。ラスト1Fで再び中目に誘導し、狭い間を割って伸び、ハナ差で勝利した。

前々走は重馬場で前後半3F33秒3-後半3F36秒1とかなりのハイペース。3〜4角で動けずに我慢したことで脚が溜まったとも言えるが、スムーズではなかったのも事実。ゲートが不安定な面はあるが、二の脚で挽回しても最後にそこまで甘さを見せておらず、前々走でタフな馬場にも対応しているだけに侮れない。


穴馬は内枠から楽に前に行けるリバーラ

開幕週としては時計が掛かっていた前々走の函館スプリントSは、8番枠からゴリゴリ押して前半3F33秒0とかなりのハイペースで逃げ、外から追い込んだキミワクイーンから0秒6差と好走した。3走前のフィリーズレビュー時もそうだったが、前半から飛ばして行き過ぎたために、崩れてしまっている。特に前々走はもっと脚を溜めていれば掲示板は狙えていた内容だった。

前走のカーバンクルSでは好位の外を追走し、残り300m付近から大失速。シンガリ負けを喫してしまっているが、着差は0秒8差と致命的な大敗でもなく、長期休養明けの影響もあったはず。4歳牝馬で斤量54kgとハンデが軽く、長期休養中に成長しているなら、ここで一変しても不思議ない。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ルガルの前走指数「-20」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.0秒速い
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

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